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第四章 勇者パーティー

第九話 勇者パーティー最終試験開始

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「ひぃ……」

 二人はここでようやく恐怖心が芽生えたようだ。

「さっさと帰るんだな。暗殺とか企むようなら、本気でやるよ」

 俺は最後にくぎを刺しといた。身分とプライドだけが高い奴は、懲りずに何か仕掛けてくると思ったからだ。

「ひ、ひぃ」

 二人はそのまま逃げるように部屋から出て行った。

「はぁ……厄介なことにならないといいんだけどなぁ……」

 俺は深くため息をついた。



 コンコン

 数十分後、ドアがノックされた。

「入っていいですよ」

「失礼します」

 そう言って入って来たのはさっきの騎士だった。

「これより試験が始まります。ただ、その前に陛下からのお言葉がございますので、このままコロシアムの闘技場の中心に行ってください」

「分かった。直ぐに行く」

 俺は立ち上がると、控室を出た。
 そして、そのまま闘技場の中心へと向かって歩き出した。



「……やべっ みんな集まってるじゃん」

 闘技場の中心には、既に十一人全員が集まっていた。つまり、俺が最後の一人と言う訳だ。
 俺はやらかしたな~と思いながら、小走りでみんなの元へ向かった。

(あ、あのくそ貴族もいるじゃん)

 試験を受ける人の中に、さっきのくそ貴族、バールとディールがいた。二人は俺を見ると、睨みつけてから視線をそらした。あ、こいつ絶対反省してないな。
 そんなことを思っていると、コロシアムの観客席の中で一番豪華な席に座っていた国王が立ち上がり、口を開いた。

「私の名は、ダルトニア・フォン・ハラン。ハラン王国の国王だ」

 国王がそう言った瞬間、周りの人たちが一斉に片膝をついて、跪くと、頭を下げた。俺も、みんなと同じように片膝をついて、頭を下げた。

「この中から六人が勇者パーティーに選ばれる。健闘を祈るぞ」

 国王はそう言うと、席に座った。

「では、受験番号一番から順に試験を行います。なので、それ以外の方は控室か、観客席でお待ちください」

 国王の横で経っているドレストさんがそう言うと、みんな一斉に立った。俺は、ちょっとだけ遅れてから立った。何か悔しい……

「……じゃ、俺は観客席に行くか」

 俺はそう呟くと、観客席に向かった。因みに、俺の受験番号は十二番だ。

 トントン

 観客席に向かおうとした瞬間、右肩を優しく叩かれた。振り返ると、そこには防具姿のシャノンが居た。

「シャノンか。五日ぶりだな」

「ええ。緊張するけど、合格できるように頑張りましょう」

 シャノンは太陽のように明るい笑顔でそう言った。

「そうだな。俺も、合格できることを祈っておくよ」

「ふふっ ありがとう。それで、ユートはこれから観客席に行くのよね? なら、一緒に見ましょ」

 美女からのお誘い。昔なら即座に頷いていただろう。だが、今はクリスが居るので、うかつに頷くことが出来ない。

(まあ、シャノンも異性として、俺のことを見ている訳ではなさそうだから、特に問題はないな)

 そう思った俺は、シャノンの提案に頷いた。
 そして、そのまま二階にある観客席へ向かった。




 今、最初の一人目の試験が始まろうとしていた。

「互いに魔法師か……」

 受験者は黒いローブを着て、右手に杖、左手に短剣を持っている男性だ。
 一方、相手は軍服のような服装で、右手には杖を持っている男性だ。

「ええ。ただ、相手は宮廷魔法師長。火、水、風の三属性を使う最強の魔法師よ」

「そうだな……どんな戦いになるのだろうか……」

 俺がそう呟いた俊寛、戦いの火蓋が切って落とされた。

 両者、即座に〈火球ファイアボール〉を無詠唱で撃った。そして、時間を利用して、両者詠唱を始めた。どうやら、あれが魔術師同士の基本の戦い方のようだ。

「〈岩石流星群ロックメテオ〉!」

 すると、先に受験者が詠唱を終え、〈岩石流星群ロックメテオ〉を放った。
 空から降ってくる岩石が宮廷魔法師長に当たると思ったその時――

「〈火炎暴風フレアテンペスト〉!」

 カイルから放たれた炎を帯ぶた竜巻が、空から降ってくる岩石を全て破壊した。そして、そのまま受験者を巻き込み、勝負が終わった。

「なあ、あいつ何の魔道具をつけているんだ?」

 あの魔法をくらって耐えられるはずがないと思った俺は、シャノンにそう聞いた。

「魔道具って言うか、ここの闘技場そのものが巨大な古代遺物アーティファクトなのよね。効果は、範囲内で死んだ人の蘇生と回復よ」

「すごいな……」

 俺は腕を組みながら目を見開いた。

「あ、次は私だから、行ってくるね」

「そうか。頑張れ」

「ありがとう」

 シャノンはニコッと笑うと、この場から離れた。
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