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第四章 勇者パーティー

第十九話 王都のダンジョンに入る

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 次の日の朝。俺は王都の外に出ると、冒険者ギルドで調べた方向に進んで、ダンジョンに来た。
 今の俺は、黒龍の靴を履き、白龍の服を着て、黒龍の外套を羽織っている。

「王都のダンジョンということもあり、人の多さはティリアン並だな」

 俺はダンジョンの前に立つと、そう呟いた。

「あ、ユート!」

「おはようございます! ユートさん」

 騎士服姿のシャノンと、白いローブを着たフェリルが俺の前に来た。

「お、シャノンとフェリルか。昨日ぶりだな」

 俺は勇者パーティーの女性陣と合流することが出来た。

「それで、他の奴はまだ来ていないのか?」

「え~と……あ、いた!」

 シャノンが指を向ける先には、防具を着ているバール、ディール、バルザックの三人がいた。みんな荷物をいっぱい持っている。

「それじゃ、〈アイテムボックス〉」

 俺はみんなの荷物を〈アイテムボックス〉にしまった。

「凄いな。これほどの荷物が入るなんて。これだけでもそこそこの贅沢が出来る金が稼げるぞ」

「だが、兄貴は騎士団長を倒せるほどの剣の使い手なんだよな」

「だが、ステータスは魔法師より。流石は兄貴だぜ」

 バルザックは両腕を組んで驚き、バールとディールの兄弟は俺を兄貴と呼んでほめたたえた。
 ちょっと前まで俺のことを見下していた癖にな。
 何か俺が騎士団長をぶっ飛ばしてから態度が変わりだしたんだよ。そこにあの偽装したステータスを見せたらあっという間にこうなっちゃった。まあ、悪い気はしないからいいか。

「それじゃ、入るか」

 準備が終わった俺達は、ダンジョンの中に足を踏み入れた。
 ダンジョンの中は、ティリアンとなじような洞窟だった。だが、分かれ道がいくつもあり、初見では迷ってしまいそうだ。だが、俺以外の人はみんなこのダンジョンに入ったことがあるので問題はない。

「魔物は……弱い奴ばっかだな」

 グリーンゴブリンやスケルトンといっや弱い魔物の代表格が所々にいる。

「このダンジョンは五十階層まであるが、ニ十階層までは手ごたえがないだろうし、さっさと進んだ方が良いな」

 バールの言葉に、俺以外の全員が頷いた。俺は完全に初見なので、頷きようがない。

「ただ、少しでも体力を温存させる為に、陣形はちゃんと組みましょう」

「ああ。万が一ってこともあるからな」

「そうだな。よし、行くか」

 俺はそう呟くと、〈アイテムボックス〉から世界樹聖剣を取り出した。





「〈風之龍息吹ドラゴンブレス〉!」

 先に人がいないことを〈気配察知〉で確認した俺は、〈風之龍息吹ドラゴンブレス〉で先にいた魔物を一掃した。

「兄貴の魔法、初めて見たけど本当にスゲーな」

 ディールは興奮気味にそう言った。

「ふ~魔法をぶっ放すのは気持ちがいいな」

 六階層に下りて、ようやく俺の番になった為、俺は最初に思いっきり魔法をぶっ放した。

「今ので全部倒しちゃったのね。魔物の気配を感じないわ」

「てか、罠を全部破壊してね? 罠が見当たらないんだが……」

 みんな俺の魔法に驚いていた。
 それにしても、このダンジョンは罠の数もバリエーションも多い。ただ、罠の数が増えたことと引き換えに、魔物を倒すとたまに装備を落としてくれた。この階層では鉄製の装備ぐらいしか落とさないが、下に行けば行く程、貴重なものを落としてくれるようになるのだ。

「どんどん先に行くか」

 俺達は更に先へと進んだ。





「今日はここで寝るとしましょう」

 六階層と七階層の間の階段で、俺達は一晩を過ごすことにした。

「それじゃ、出すぞ」

 俺はみんなの荷物を階段の上に置いた。

「それじゃ、これを使いましょう」

 フェリル様は自分の荷物の中から石板のようなものを取り出すと、ここから少し階段を下りた場所に置いた。

「これでよしっと」

 すると、石板がビックラ○トの光に照らされたように大きくなり、やがて階段の上に広くて大きなスペースが出来た。

「そんじゃ、俺もっと」

 バールも石板のようなものを取り出すと、少し離れた場所におおいぇ、広くて平らなスペースを作った。

「こんな便利な魔道具があるんだな」

 俺はその魔道具を興味深そうに見つめてから、その上にテントを建てた。流石は王族貴族Sランク冒険者と言うべきか、みんなのテントも俺と同じく一瞬で建てられるものだった。

「俺はちょっとテントの中でやることがあるから、みんなは先に夕食を食べててくれ」

「? まあ、分かりました」

 フェリル様は訝しみつつも、頷いた。

「じゃ、行くか」

 俺はテントの中に入ると、クリスやノア、そしてクリスの家族と一緒に夕食を食べる為にエルフの里に転移した。何でわざわざそっちで夕食を食べさせるのかって?

 ……だってみんなに会いたいんだもん
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