16 / 29
**16 日常に戻る
聖戦士様たちだが、全員が身の振り方を決めたようである。
攻撃系の技能を持った聖戦士様の多くは、国の軍や神殿騎士の他、魔法学研究所に所属することを希望されたらしい。生産系の技能だった聖戦士様は、それぞれのギルドに所属することにされたそうだ。必要なことはギルドで教えてもらうとおっしゃって、早々に市井に降りられた方も何人かいるらしい。
また、回復魔法の技能をお持ちの方は神殿に残ることを希望されたそうだ。神官になるかどうかは別として、回復魔法や医療系の知識を学ぶのなら、神殿はうってつけだと思う。また、将来は神殿付属の孤児院で働きたいと希望されている方もいらっしゃるとか。
神殿に残られた聖戦士様の中で、3人の方と顔見知りになった。僕が受けている講義に参加されることになったからである。
回復魔法の講義には、タカギ・セーイチとシミズ・マナミ。
薬学の講義には、タカギ・セーイチとヤマグチ・ミクが加わることになった。
3人とも目指している分野は違うものの、医療系の職に就きたいということで、この選択になったらしい。
彼らが初めて参加した講義の日、簡単な挨拶があった。
聖戦士様たちは16~17歳で、コウコウというところに通っていた学生だということ。 自分たちは平民なので、様付けはなしで、とのことだったので、遠慮なく呼び捨てにさせてもらうことになった。
セーイチたちは、チキュウという世界のニホンという国で暮らしていたこと。魔法や技能、モンスターは物語の中のものであり、チキュウには存在していなかったことを教えてくれた。
「ただ、一定の知識や技術が認められると〇〇免許とか〇〇資格というものがもらえるので、それが俺たち的な技能かな、とは思います」
「違いを分かりやすく説明するとぉー、こっちだと〈薬師〉の技能があるって分かったから、薬の勉強を始めるって感じだけどー、あーしらは逆なんよねー。薬の勉強をして資格試験に合格して、薬剤師免許っていうのをもらうって感じ」
「当然だけど、途中で挫折することもあるし、試験に落ちることもあるわけ。じゃあ、勉強が無駄になるじゃんって思うかもしれないけどー、無駄にするかどうかは本人次第だと思うし。同じ技能を持ってても、デキる人とデキない人はいるっぽいしー?」
それは確かに。技能を持っていることと、技能を生かせるかどうかは別の問題というわけだ。なるほど、勉強になる。
だからというわけではないが、今は技能を生かせそうな回復魔法や薬学の講義を受けることにしたが、途中で興味関心が変わって、別の講義を受けることになるかもしれないけど、ヨロシクーとのことであった。ずいぶん軽いが、セーイチたちの感覚では、それが当たり前なのだろう。
マナミとミクの独特のしゃべり方には、聴講生全員がちょっとびっくりしたがすぐに慣れた。そのせいで、はじめは女性の神官たちとも距離があったようだが、少しずつ打ち解けていったみたいだ。ちなみに、セーイチは馴染むのがめちゃくちゃ早かった。ずっと前からいたみたいで、「アイツ、馴染むの早すぎるだろ」とみんなで笑ったのは秘密である。
時間が経つのは早いもので、もうすぐロナウドと出かける日が来るのだが、なんだかだんだんと落ち着かなくなってきた。デートだなんて、ロナウドが言うから。その落ち着きのなさが、態度に出ていたらしい。
「フランク先輩、何か様子がおかしいけど、何かありました?」
「ぐっ! そ、そんなにヘンかな?」
ある日、ロディにこそっと指摘されてしまった。
「なんか、ソワソワしてるなって気がします」
「ぐ……。うぅ……実は……」
バレているなら、仕方がない。誰かに聞いてもらいたい気持ちもあった僕は、素直に白状した。うんうんと話を聞いてくれたロディは、
「ははあ、なるほど。デートなら、ちょっとはオシャレしたいですよねー」
「え? お、おおオサレ?」
「先輩、どもりすぎですよ。そうだなあ。よし。ちょっと僕の部屋に行きましょうか!」
「へ? あ、ちょ、ちょっと……!」
ロディに引っ張られて連れてこられた彼の部屋は……
「広い?」 ロディの部屋は2人部屋みたいだ。
「まあ、親が多めに金を入れてくれてるもんで……待遇がちょっといいんですよね」
声がちょっと皮肉っぽいな。表情は見えないけど、親子仲に問題があるのかも? くらいの想像はできた。神殿には、そういう訳ありで入ってくる人も多いらしいから。
「無責任かもしれないけど、僕は他人に迷惑を掛けないことを前提に、ロディが幸せになれる方法を探せばいいと思うよ。親子でも、別の人間なんだし、分かり合えるとは限らないらしいから」
母の言葉である。聞かされた時は、ふ~んとしか思わなかったけど、今思い出すと、母の過去に何があったんだろう? ってちょっと気になる。
「いいんですかね、ボクは幸せになっても」
「いいに決まってるじゃないか」
何を言ってるんだ、この後輩は。
攻撃系の技能を持った聖戦士様の多くは、国の軍や神殿騎士の他、魔法学研究所に所属することを希望されたらしい。生産系の技能だった聖戦士様は、それぞれのギルドに所属することにされたそうだ。必要なことはギルドで教えてもらうとおっしゃって、早々に市井に降りられた方も何人かいるらしい。
また、回復魔法の技能をお持ちの方は神殿に残ることを希望されたそうだ。神官になるかどうかは別として、回復魔法や医療系の知識を学ぶのなら、神殿はうってつけだと思う。また、将来は神殿付属の孤児院で働きたいと希望されている方もいらっしゃるとか。
神殿に残られた聖戦士様の中で、3人の方と顔見知りになった。僕が受けている講義に参加されることになったからである。
回復魔法の講義には、タカギ・セーイチとシミズ・マナミ。
薬学の講義には、タカギ・セーイチとヤマグチ・ミクが加わることになった。
3人とも目指している分野は違うものの、医療系の職に就きたいということで、この選択になったらしい。
彼らが初めて参加した講義の日、簡単な挨拶があった。
聖戦士様たちは16~17歳で、コウコウというところに通っていた学生だということ。 自分たちは平民なので、様付けはなしで、とのことだったので、遠慮なく呼び捨てにさせてもらうことになった。
セーイチたちは、チキュウという世界のニホンという国で暮らしていたこと。魔法や技能、モンスターは物語の中のものであり、チキュウには存在していなかったことを教えてくれた。
「ただ、一定の知識や技術が認められると〇〇免許とか〇〇資格というものがもらえるので、それが俺たち的な技能かな、とは思います」
「違いを分かりやすく説明するとぉー、こっちだと〈薬師〉の技能があるって分かったから、薬の勉強を始めるって感じだけどー、あーしらは逆なんよねー。薬の勉強をして資格試験に合格して、薬剤師免許っていうのをもらうって感じ」
「当然だけど、途中で挫折することもあるし、試験に落ちることもあるわけ。じゃあ、勉強が無駄になるじゃんって思うかもしれないけどー、無駄にするかどうかは本人次第だと思うし。同じ技能を持ってても、デキる人とデキない人はいるっぽいしー?」
それは確かに。技能を持っていることと、技能を生かせるかどうかは別の問題というわけだ。なるほど、勉強になる。
だからというわけではないが、今は技能を生かせそうな回復魔法や薬学の講義を受けることにしたが、途中で興味関心が変わって、別の講義を受けることになるかもしれないけど、ヨロシクーとのことであった。ずいぶん軽いが、セーイチたちの感覚では、それが当たり前なのだろう。
マナミとミクの独特のしゃべり方には、聴講生全員がちょっとびっくりしたがすぐに慣れた。そのせいで、はじめは女性の神官たちとも距離があったようだが、少しずつ打ち解けていったみたいだ。ちなみに、セーイチは馴染むのがめちゃくちゃ早かった。ずっと前からいたみたいで、「アイツ、馴染むの早すぎるだろ」とみんなで笑ったのは秘密である。
時間が経つのは早いもので、もうすぐロナウドと出かける日が来るのだが、なんだかだんだんと落ち着かなくなってきた。デートだなんて、ロナウドが言うから。その落ち着きのなさが、態度に出ていたらしい。
「フランク先輩、何か様子がおかしいけど、何かありました?」
「ぐっ! そ、そんなにヘンかな?」
ある日、ロディにこそっと指摘されてしまった。
「なんか、ソワソワしてるなって気がします」
「ぐ……。うぅ……実は……」
バレているなら、仕方がない。誰かに聞いてもらいたい気持ちもあった僕は、素直に白状した。うんうんと話を聞いてくれたロディは、
「ははあ、なるほど。デートなら、ちょっとはオシャレしたいですよねー」
「え? お、おおオサレ?」
「先輩、どもりすぎですよ。そうだなあ。よし。ちょっと僕の部屋に行きましょうか!」
「へ? あ、ちょ、ちょっと……!」
ロディに引っ張られて連れてこられた彼の部屋は……
「広い?」 ロディの部屋は2人部屋みたいだ。
「まあ、親が多めに金を入れてくれてるもんで……待遇がちょっといいんですよね」
声がちょっと皮肉っぽいな。表情は見えないけど、親子仲に問題があるのかも? くらいの想像はできた。神殿には、そういう訳ありで入ってくる人も多いらしいから。
「無責任かもしれないけど、僕は他人に迷惑を掛けないことを前提に、ロディが幸せになれる方法を探せばいいと思うよ。親子でも、別の人間なんだし、分かり合えるとは限らないらしいから」
母の言葉である。聞かされた時は、ふ~んとしか思わなかったけど、今思い出すと、母の過去に何があったんだろう? ってちょっと気になる。
「いいんですかね、ボクは幸せになっても」
「いいに決まってるじゃないか」
何を言ってるんだ、この後輩は。
あなたにおすすめの小説
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。
おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。
✻✻✻
2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。
王子様から逃げられない!
一寸光陰
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・