支配の王冠~余命一年の悪役転生から始まるバトルロワイアル~

夜刀神さつき

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イリス山

ヤバい少女

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「ヴァル、どうしたの?キモイわ。死んでほしいくらい。なんでそんなに笑っているのよ」

 破壊されていない近くの馬車の中から、砂糖菓子みたいに甘くかわいらしい声が聞こえてきた。

 そちらを見ると、腕いっぱいにキラキラとした宝石を抱えた少女が、馬車から出てきた。

 ゆるくまかれた金髪のショートボブに、青と緑の中間みたいな神秘的な瞳をしたかわいらしい少女である。背が低く小柄で小動物みたいだ。
 彼女は、青色の服を来ていて、ひらひらとなびく短い丈のスカートからは白い太ももが見えている。太ももまで届く靴下は黒のニーハイでブーツは洋服と同じ青色だ。胸元は銀色の胸当てをはめているが、細かなバラの模様が刻まれているためすごくおしゃれに見える。

「えっ。誰よ!!まだ生き残りがいたの?」

 少女は、僕たちに気がついてキラキラと輝く宝石をボトボトと落とし、後ずさる。

 男は、にゅっと僕の方を指さしながら少女に解説しだした。

「あいつは、ハデス・ダインスレイブだ。そして、隣にいるのは、ハデスの死神エリュシオン・リジルだ。うふふふふふふっ。うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ。どうやら僕らはついている」

「やばいわよ。ちょっとハデスなら逃げた方がいいんじゃない」

「噂によると、ザクゼーを覆っていた結界が先日、壊れたらしい。ハデスの魔力は弱まっている可能性が高い。今は、チャンスだ」

「そうなの?」

「ああ。僕はラッキーだね。君の首を持って帰ったら、ダクリを貰える」

 ダクリは何のことだ?何かの武器だろうか?

「そういうことなら、さっさとやってしまいましょう」

 彼女は、太ももから軽く青色の宝石のついた小刀を取り出した。

「レビオン、私の血を飲みなさい!!」

 そして、何故か自分の指先を軽く切った。すると、その小刀は青く光り輝き始めた。

「じゃあ、さようなら」

 そう言いながら、彼女は、その場で小刀を軽く振った。

「危ないっ」

 珍しくエリュシオンが焦った声を出しながら、僕を荷物みたいに抱えて真横に移動した。
 すぐ近くで、何かが爆発するような激しい音が聞こえた。

「うっ。いきなり……」

 いきなり何をするんだよ……そういおうとしていたのに、言葉を失った。
 先ほど僕がいた場所は、スパッと地面が地震でも起きたかのように割れていた。そして、その亀裂の先では木が真っ二つに割れている。

「えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」

 驚きのあまり、目の玉と心臓が飛び出そうになる。

 な、な、な、な、な、なんていう威力だろうか。こんなもの見たことがない。 

 少女は細腕だから、恐らくあの刀に何か力があるんだろう。

 つまり、あの刀の斬撃の軌道に入った瞬間、死んでしまう。

 やばい。やばすぎる。
 そんな刀、見たことない。
 早く逃げないと殺されてしまう。あああああ。何で僕がこんなひどい目ばかりにあわないといけないんだ!!

「あら。よけられる人なんて久しぶりだわ。すごいわね」

 少女は、無邪気な子供みたいに微笑みながら、再び剣を構えた。
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