【完結】大嫌いな同僚が俺のこと大好きなヤンデレだった

夜刀神さつき

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任務

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 シリウスの部屋に向かいドアをノックした。すると、「入れ」という声がすぐに聞こえてきた。
 彼は、見ていた資料からヨヅキの方に視線を移した。

「ヨヅキか……。どうしたのか」 

 シリウスは、疲れた様子で彼の目の下には隈ができていた。声には、いつものような張りがなかった。

「テオに関することです」
「何だ?」
「一昨日の晩、赤毛の女とテオが歩いている姿を見ました」
「どんな女だった!?」

 シリウスは、立ち上がり前のめりになって聞いてきた。

「赤毛に赤い目をした美女でした。年は、20歳くらいで、身長は160~170㎝ほど。テオは、彼女を見ながら浮かれている様子でした」
「どこで見た?」
「一昨日の晩……確か22時頃に、モートン地区の噴水の近くです。俺が叔父の家に帰宅する途中で見ました」
「そうか。礼を言う。アンジェロとガルシアを捜索にあたらせよう」

 それを聞いたヨヅキは、眉間に皺をよせた。

「全員じゃないのですか?俺は……テオのために、何もできなかった。せめて、何かをしてあげたいです」

 今までシリウスは、ハンターがいなくなったら、ほとんどの部下を捜索に当たらせてきたはずだ。だけど、今回はアンジェロとガルシアだけに捜索が任せられるなんて、納得がいかない。

「テオが負けるくらいの吸血鬼だ。どれほどの実力かわからない。アンジェロとガルシア、そして私が見回りをした方がいいだろう」
「俺は……」

 そう呟くように尋ねると、シリウスは、気まずそうに目を反らした。

「……ヨヅキは、しばらく書類整理を頼む。危険だから寮と職場から、あまり出ないように」

 どうして自分は前線で行動することを許してもらえないのだろう。書類整理だなんて、ハンターじゃなくてもできる仕事だ。悔しさのあまり右手が変色しそうになるくらい強く握りしめた。

「シリウス隊長!俺は……アンジェロが来るまでですが、エースと呼ばれていました。俺でも、もっと役に立てると思います。こんな俺ですが、自分の命が惜しくありません。殉職する覚悟もできています」

 ヨヅキは、胸に手を当て必死に懇願した。
 このまま昔の自分みたいに、何もできず誰も助けられない自分でいることが嫌だった。シリウスの眼鏡の奥にある灰色の目を見ながら、必死に言葉を紡いでいく。

「……」
「俺は、テオの教育係だったこともあります。俺は……テオのために、たいしたことはできませんでした。もっと厳しく指導していればよかったと今でも、後悔しています。せめてテオの仇を討ちたいです」

 胸に手を当て、語り掛けるように腹から声を出した。
 しかし、シリウスの瞳は、凪のように静かだった。

「ヨヅキ」

 その氷みたいに冷たい一言で、ヨヅキは、何も言えなくなった。次に言われる言葉を覚悟して、右手をギュッと握りしめる。

「お前が弱いから外回りを指示しないわけじゃない。ただ敵の存在がどれほど脅威かわからないから、最善をとるだけだ。お前には、いずれ別の任務を与える。それまで、大人しくしていろ」

 そこまで言われると、何も言い返すことができなかった。

「……かしこまりました」

 そう返事をして、悔しくてたまらない気持ちを噛み締めながら、部屋から出ていった。
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