【完結】大嫌いな同僚が俺のこと大好きなヤンデレだった

夜刀神さつき

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違和感

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 それから、シリウスは、ヨヅキに大量の資料整理を命じていた。そのせいで、ヨヅキは、朝から晩まで事務所に引きこもりっぱなしになる日々が続いていた。

 夜に1人で残業をしていると、ヘンリー・オースティンが事務所に返ってきた。彼は、茶髪マッシュルームカットに茶色のつぶらな瞳目をしたひょろひょろと背が高いキノコのような男である。

「お疲れ、ヨヅキ」
「ヘンリーもお疲れ」

 外仕事から帰ってきたヘンリーは汗びっしょりで、タオルで自分の汗を拭っていた。

「あー疲れた。汗が止まらない」
「最近、忙しそうだな。今は、何の任務をしているんだ?」
「赤毛の女を捜索する任務だよ」
「え……」

 ヘンリーの言葉を聞いたヨヅキは、時が止まったかのように凍り付いた。

「あれ?ヨヅキは、その任務与えられていないの?」

 ヘンリーは、つぶらな目をこれ以上ないくらい丸くしている。

(まさか、俺だけシリウスから、ハブられているのか!?いや、そんなはずはない。シリウスは、最善をとると言っていたはずだ)

「誰かと一緒にまわっているのか?」
「まさか。単なる聞き込み調査だ。俺も、ライナスも1人で捜索しているよ」

 ヨヅキは、怒りのあまり、血が滲みそうになるほど強く唇を噛み締めていた。

(おかしいと思ったんだ。たかが聞き込み調査で、あんなに大げさに言うなんて……。)

 少し前に、シリウスは、『アンジェロとガルシアを捜索にあたらせよう』と言っていた。だけど、今では、ヘンリーやライナスにも、捜査に当たらせている。彼らの実力は、ヨヅキよりも劣るというのに……。

 今、外回りにいっている人間は、ヨヅキとそこまで普段話さない連中だ。シリウスは、ヨヅキに嘘をつき他のものに赤毛の女を探していることをバレないように、そいつらを選んだのだろう。

 つまり、シリウスがヨヅキに聞き込み調査をさせなかったのは、私情だ。彼は、ヨヅキを聞き込み調査に参加させたくなかったのだ。

 それはなぜか?シリウスがヨヅキのことを特別かわいく思っていて危険な目にあわせたくないから?もしくは、その逆でヨヅキが嫌いで仕事をさせたくないから?

 その可能性もあるが、おそらくどちらも違う。

 ヨヅキの予想が正しければ、この件にはアンジェロが絡んでいるはずだ。

 ずっと疑問だった。どうしてアンジェロが来てから、ヨヅキに与えられる仕事が極端に減ったのか。
ヨヅキだって、特殊部隊のエースとまで言われていた。そこまで強くない吸血なら1対1で殺したこともあるし、他のメンバーと一緒に強い吸血鬼と戦った実績もあった。

 けれども、アンジェロが来てから、ヨヅキが吸血鬼と関わる割合は、新人以下になったのだ。

 アンジェロよりも劣るから仕方がないと言い聞かせていたが、アンジェロがヨヅキに仕事をさせないように嫌がらせをしていたのではないか。シリウスを脅して、ヨヅキの邪魔ばかりしていたのではないか……。

 そう考えると、今回の処遇だって納得がいく。

 アンジェロとシリウスがやり取りをして、ヨヅキには、新人にさえ与えられる簡単な聞き込み調査すら割り振られなかった。

「……キ。ヨヅキ!どうしたんだ?急に黙り込んで」
「悪い。考え事をしていた」

 軽く頭をかきながら、そう誤魔化した。何とか笑顔を浮かべるが、その笑みが引きつって不自然なものになっているのがわかった。目まで笑うことはできなかった。

「まあ、お互いテオのために頑張ろうぜ」

 ヘンリーは、ヨヅキに向かって拳を出してきた。

「そうだな」

 ヨヅキは、ヘンリーの手に自分の拳を合わせながら、黒い笑みを浮かべていた。
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