【完結】大嫌いな同僚が俺のこと大好きなヤンデレだった

夜刀神さつき

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しくじり

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 ヨヅキは、寮に戻ると、再び聞き込み調査をすることにした。心配してくれたライナスには悪いけれど、そんな彼のためにも自分ができることをしたかった。遅い時間であるため、営業している店は限られている。
 そのため遅くまでやっているバーの店員や客に聞いて回った。

 1軒目と2軒目では、何の情報も掴むことができなかった。
 3軒目のバーでようやく赤毛の女を知っているという男が現れた。男は、こげ茶色の髪に茶色の瞳をしていて、香水の匂いが異様にきつかった。胸をはだけさせるようなスーツもだらしない印象がして、ヨヅキが苦手なタイプであった。

 しかし「赤毛の女ね……。僕が知っているよ。教えてあげよう」とにこやかに話しかけてきた。

「本当ですか!」

 ようやく手がかりを掴めた。ヨヅキは、目を輝かせながら男のもとに近づいた。
 すると、男は、小さなガラスのコップに入った琥珀色の液体を持ち上げた。そして、獲物を狙う蛇のような目をしあんがらヨヅキを舐めわすように見た。

「この酒を飲んだら、教えてあげるよ」

 コップからは、匂いを嗅いだだけでクラクラしそうになるほど濃厚な酒の匂いがする。

「え……」

 ヨヅキの中に、白い服に垂らされた染みのように疑惑がじわじわと広がる。

(酒……。俺は、騙されているんじゃないのか。そもそも、こいつは本当に赤毛の女を知っているのか。そして、テオが会っていた赤毛の女なのだろうか?)

「飲まないの?知らなくてもいいの?」

 男は、ヨヅキを試すように流し目でジッと見てきた。

(ここで酒を飲まなかったら、俺は、テオの手がかりを失うかもしれない)

 そんなことになったら、後悔する。今は、藁にだってすがりたい気分なんだ。
 ヨヅキは、グラスを手に取りグイッと飲み干した。
 その瞬間、高濃度のアルコールが体内に回ったせいか足元がふらついた。

(あれ……。何だか身体が熱い……。まるで高熱でも出ているようだ。まさか……さっきの酒には、何か入っていたのか)

「大丈夫?体調悪そうだけど」

 男は、馴れ馴れしくヨヅキの肩を抱いてきた。

「……だい、りょうぶ……」

 大丈夫っていいたのに、呂律がまわらない。頭がぼうっとしてくる。
 ドクリ、ドクリ、ドクリ……。
 心臓の音が早鐘みたいに鳴り響く。

(何かがおかしい……。薬でも盛られたのか?)

「全然、大丈夫そうに見えないね……。俺の肩に頭をのせてごらん」
「……っ」

 嫌だ。そんなはしたない真似は、したくない。だけど、やけに頭が重たい気がする。

(このまま身体を預けたら、楽になれるだろうか。いや、何を考えているんだよ)

 ヨヅキは、自分の右手に爪を突き立てた。
 ズキッと痛みが、襲ってくる。そのせいか少しだけ冷静になれた。

(こいつは、たぶん俺の酒に薬をもったんだ。そんな奴の言いなりになるわけにはいかない。早く逃げないと)
もたつく足を絡めながら、男から遠ざかろうとする。

「はあ、はあ、はあ……」

 男は、蛇のようにねっとりとヨヅキの全身に自分の身体を密着させてくる。

「なかなか強情な子だね。そういう子は、嫌いじゃないよ」

 男は、タバコのにおいがする顔をヨヅキに近づけてくる。
 嫌だ。やめてくれ。
 そう思うのに、身体がぼおっとして動かない。
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