【完結】大嫌いな同僚が俺のこと大好きなヤンデレだった

夜刀神さつき

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絶体絶命

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 ヨヅキ達の言葉を聞いていたミクトランは「素晴らしい友情だ。感動したよ」と言いながら、拍手をし出した。

「しかし、所詮、君たちは人間だ。吸血鬼には勝てない」

 ミクトランが軽く剣を振るう。
 その斬撃だけで、壁にヒビが入った。

(え……。斬撃でこれかよ)

「まじかよ……」

 ジョンも絶望に満ちた声でそう呟いた。
 しかし、シリウスは、この3人の吸血鬼ではミクトランが一番強いと判断して「お前の相手は、俺がする」と髪をかき上げながら、彼に近づいた。

「弱いくせに頑張るね」

 そう言いながら、ミクトランがシリウスの腕を切り落とそうとするが、彼は剣でミクトランの攻撃を受け止める。
その攻防に加わりそうになったヘルをジョンが、切りかかりって止める。その様子を見てヘルの唇が、バカにするように歪んだ。

「あら?あなた接近戦もできたのね。さっきは、逃げてばかりだったのに」
「俺は、お酒以外は完璧な人間さ」

 それを聞いたヨヅキは、嘘だ!とジョンを怒鳴りつけたいのを我慢した。

(嘘つけ!遅刻もよくするし、すぐサボろうとするだろうが)

 しかし、戦闘中であるため、そんなツッコミはしなかった。 

「僕の相手は、一番弱そうなお前かよ」

 ルミティスは、頭の後ろで腕を組みながら、残念そうにそう呟きながらヨヅキにゆっくりと近づいてきた。

「まあ、少しは楽しませてくれよ」

 そう言いながら、ナイフを構えながら一気に距離を詰められた。

「っ……!」

(速いっ。練習の時のアンジェロよりも速いかもしれない)

 ヨヅキは、必死で彼の動きについていこうとするが、じりじりと後ろに追い詰められていった。
 ふいにミクトランにより、シリウスの右腕に大きな傷ができたのが視界に入った。

「隊長!!!」

 シリウスの応援をしようと近づくが、ルミティスがイライラしたように「お前の相手は、僕だろう」と、腹部をルミティス軽く蹴り上げてきた。

「かはっ」

 血をまき散らしながら、8メートルほどぶっ飛んだ。内臓が吹っ飛びそうなくらいの衝撃だ。

(腹が痛い……。臓器が傷ついたかもしれない)

 だけど、まだ倒れたらダメだ。
 剣を支えにして立ち上がり、ルミティスを睨みつける。
 死ぬまで全力で戦って、少しでも役に立たないと……。

「はあああああああああ」

 剣を握りしめ、必死でルミティスに切りかかるが、あっさりと避けられる。
 ダメだ。スピードが違い過ぎる。

「雑魚のくせに、調子こいているんじゃねーよ」

 ルミティスがいたぶるように、何発もヨヅキの胸や腹を蹴り上げる。

「うぐっ……あがっ……うえっ……」

 気絶しそうになるくらい激しい痛みが押し寄せてくる。

「ヨヅキ」

 ジョンの悲痛な叫び声が聞こえてくるが、返事をすることができない。

「あ……うっ……」

 ヨヅキは、痛みのあまり床に倒れ落ちた。それを、ルミティスが獲物に狙いを済ませたように冷たい目で見下ろした。

「何で反抗的な目をしているんだよ。さっさと諦めろ」
「うぐっ」

 剣を握りしめていたヨヅキの右手が踏みつぶされる。

「ああああああああああああああああああああ」

 ゴキュリとして骨が折れた音がして、尋常じゃない痛みが手からする。剣を握ることができなくなり、ヨヅキが剣から手を離すと、ルミティスは、剣を蹴り飛ばした。

「下等動物のくせに調子こいているんじゃねーよ!!!死ね!」

 ルミティスが、ヨルドの首めがけてナイフを振り下ろす。
 もうダメだ。殺される。

「う、うう……」

 獣のようなうめき声が漏れる。
 内臓が傷ついているせいか身体が動かせない。
 動いたところで、もう逃げ場がない。

(自分は、ここで死ぬのか……。死んだら、父さんや母さんに会えるかな……。アジェ……。死んだアジェにも、会うことができるだろうか……)

 小さい時に一緒に遊んだアジェともう一度逢いたい。
 もしも、アジェに会えたなら、自分は涙を流しながら彼を抱きしめるだろう。だけど、アジェは、もうヨヅキのことなんて忘れているかもしれない。
 大切なものを失ってばかりの人生だった。
 後悔していることばかりで、悲しくて悔しくてどうにかなってしまいそうだ。

(ごめん、アンジェロ……。お前に謝りたかった。俺は、謝ることもできず死んでしまうのか……。あの時、お前を殺そうとするんじゃなくて抱きしめてあげたかった……)

 ヨヅキは、全てを諦めそっと目を閉じた。
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