助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき

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自らの罠にはまる王妃

 レオン皇子が、クッキーを食べようとしたとき......

「ダメです!!!」と近くにいたメイドが叫んだ。
「え……どうして?」
「ダメです、ダメです、ダメです。絶対にダメです」
 メイドは、青ざめた顔でそれだけを繰り返す。レオンは、そんな彼女に近づき、胸倉を掴んだ。
「お前、何か知っているのか!」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。お許しください。わ、わ、私は、何も知らないんです」
 レオンは、メイドから手を離さずに、近くの側近に呼びかけた。
「父上と母上を呼んで来い!!!すぐにだ!」


 国王レイバーンと、王妃マーガレットは、すぐにセドリックの部屋までやってきた。
「どうした?セドリック」
「な、な、なな何で私が呼ばれたのかしら」
 マーガレットの声は、震えていた。心当たりがあるのかもしれないと賢吾も、気がついた。
「俺のところにクッキーの差し入れがあった。そのクッキーをレオンに食べさせようとすると、メイドが慌てて止めたんだ。どういうことだと思う?」
 セドリックは、マーガレットを見ながらそう尋ねるが、彼女は横を向いた。
「……そ、そ、そ、そんなこと私は、知らないわよ」
「じゃあ、兄上。一口食べてみてください」
「はい」
 レオンは、クッキーを手に取り自分の口元に近づいた。
 その瞬間、マーガレットは、レオンに「ダメよ!!!」と言いながら、近づいた。
「そのお菓子は、食べてはいけないわ!!!毒が入っているの」
「母上……。どうして?」
「セドリックに食べさせるつもりだったの。でも、あの男があなたに食べさせようとするなんて……」
 そう言ってから、王妃は、ハッとなって辺りを見渡した。周囲のものは、全て理解して冷たい視線を王妃に向ける。
「こ、殺すつもりはなかったの。ちょっと驚かすだけだったの」
 そう言い訳するが、夫である国王でさえ冷たい目で彼女を見ている。
「そういうわけなら、あなたがこのクッキーを食べてください。それだけで、あなたの無実は証明できます」
 セドリックがニッコリしながら、そう告げる。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 王妃は、泣きながらその場に崩れ落ちた。
「全部、レオンのためだったの。セドリックの優秀さが怖かったの。それに、あの女に似ているセドリックが、大嫌いだった。私は……。ちょっとセドリックを困らせようとしただけで……」
 泣き叫ぶマーガレットに、国王レイバーンが近づいた。
「私は、確かにクリスティーナを愛してしまったが、お前のことも大事にしていた。セドリックがどんなに優秀でも、長男であり、王妃であるお前との子どもであるレオンを皇帝にするつもりであった。しかし、これは、私への裏切り行為だ」
 レイバーンの剣幕に、マーガレットは震えあがる。
「ひいい」
「よくも私の息子を殺そうとしたな!!!お前には、失望した」
「待って……違うの」
 マーガレットは、手を伸ばすが、レイバーンは、ギロリと睨みつけその手を振り払った。
「王妃を牢屋に投獄しろ」
「はっ」
「私は、王妃よ!!!離れなさい!無礼者!!!」
 金切り声でマーガレットが叫ぶが、助けるものは誰もいない。
 彼女の息子であるレオンは、光の射さない深い深海みたいに悲しそうな瞳で彼女を見ていた。
「母上。俺のことを大事に思ってくれていたのは、わかります。だけど、俺の弟を殺そうとしたことは許せない」
「私は、あなたのために!!!」
 そう叫ぶが、レオンは首を振った。
「俺を皇帝にして、もっと権力が欲しかったんでしょう」
「違う!!!違う、違うわ。私は、あなたを愛しているの」
「だとしても、あなたのやり方は、許せない」
「……ぁ……私は……」
 言葉をなくしたマーガレットの瞳から、涙が流れていく。それを拭うものはいない。
 レイバーンは、再度衛兵に指示を出す。
「マーガレットは、王妃だ。だが、第二皇子を殺そうとした犯罪者でもある。連れていけ」
 衛兵に取り囲まれた王妃が、引きずられるようにして去っていく。
 彼女の姿が見えなくなった後、「マーガレットに対する処分は、今後議会で決定する」とレイバーンがセドリックに告げた。
「父上……。これでよかったのですか」
「すまなかった、セドリック。お前が王妃から虐められていることに気がついていたが、王妃がお前を嫌うのは仕方がないと見て見ぬふりをしていた。お前が殺されそうになって、初めて自分の間違いに気がついた」
 レイバーンは、セドリックに向けて頭を下げた。
「顔をあげてください。俺は、王妃のことは恨んでいますが、父上のことは恨んでいません。あなたは、母上の分まで俺を大切にしようと必死だった」
「……すまなかった。本当にすまなかった」
 レイバーンは、顔を隠すように手で覆った。母親が犯罪者となったレオンも、顔を隠すように下を向いている。一つの家族の形が変わろうとしていた。

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