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待ち合わせ
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空には雲一つない青空が広がり、熱い太陽が世界を見守っている。
まるで絶好のデート日和と言わんばかりのいい天気で、何だか憂鬱な気分になった。
待ち合わせ場所へ行くと、銀髪にアメジストの瞳をした全身の血が凍りつきそうになるほど綺麗な男がいた。肌が白く欠点のない顔立ちをしているせいか、人間とは思えない。
動物園の動物を眺めるように、周りにはゾロゾロと女の群れができているが、不機嫌そうなオーラを醸し出している彼に話しかけようとする奴は誰もいない。
そうだよな……。あんな浮いている奴には、普通、話しかけたくないよな。
僕もできることなら、遠巻きに関わるだけで十分なんだが。
「遅かったですね」
紫水晶の瞳が獲物を見つけたライオンみたいに輝き、近づいてくる。女の群れは、モーゼが海を渡ったときのように、サアーと真っ二つに分かれ彼の行く道を作った。
「お前が早すぎるんだよ」
「こういうのは、予定時間よりも一時間早く来るのが、常識です」
「早すぎるだろうが!」
「そんなことないですよ。じゃあ、行きましょうか」
メシアの疑いがあるものはTKGの生き残りに絞り込んだ。また、メシアは世界の首脳しか知り得ない情報を掴んでいた。
ギルを殺し、首脳しか知り得ない情報を得ることができたと思われる人物はいなかった。
しかし、リュカのブロトレイトにいたというアリバイを調べたときに違和感を感じた。そして、調査した結果、アリバイは崩れた。
つまり、メシアは現在の国会議員であるリュカだ。
二人で計画を立てたあげく、正攻法で行くことにした。
今は、平和な時代だし、国会議員であるリュカの屋敷もそんなにしっかりと防犯対策をしているわけではない。
ただリュカにたどり着くまでに、試練は二つある。ルーカスと、ナイトを倒すことだけだ。ルーカスは、ただの門番なので楽勝だろう。問題は、天才の中の天才と言われているナイトだけだ。
「TKGの黒騎士か。ブロトレイトの白騎士って言われていたお前と戦ったら、どっちが強いんだろうな」
「もちろん俺に決まっているじゃないですか」
「その自信は、どっから来るんだよ」
「俺、負けないので」
何その、どっかの女医みたいな自信満々すぎてウザさがこみ上げてくるような台詞は。
「まあ、期待しているよ。そういえば、お前の仕事ってかなり忙しいはずだろう。よく休みがとれたな。一体、どんな手を使ったんだ?」
エンデュミオンは、実力を買われ世界最大の機密機関、通称ANBで働いている。何をしているのかよくわからないが、莫大な給料をもらう代わりに、忙しそうにしている。
「上司を目で脅しただけですが」
平然としながら、とんでもないことをのたまわった。
「何その人生イージーモード。恐ろしい能力だ」
……僕も目力のあるイケメンに生まれたかった。
そんなことを考えながら歩いている時、服の広告が見えた。
あれは一体、何の服だろうか。ダークブロンドをした青年がシンプルな服を着こなしている。右側の髪は長く左側は短いところがおしゃれに見える。
そのモデルを見ていると、思わず小さな笑みが零れた。
すると、いきなり顔を両手で挟まれ強引に横を向けさせられた。
「な、何をするんだよ」
「あんまり他の男をジロジロ見ないでください」
アメジストの瞳が徐々に狂気を帯びていく。深く昏い闇を秘めた瞳になっていく。
「ただの広告だろうが」
「あの広告を爆発させたくなるこっちの身にもなってください」
「知るかっ!」
国家組織で働いているくせに、なんという危険な奴だろうか。
「でも、今ので確信を持ちました。あなたの前世は、ギル・ノイルラーですね。そして、その記憶があなたにはある」
前からエンデュミオンは、僕がギル・ノイルラーだと疑ってばかりいる。全く突拍子もないことを考える奴だ。
「はっ。どうしてそんなバカげたことを思うんだよ。僕が独裁国家のボスと何の繋がりがあるんだよ」
「あなたは、ヒュラスを知っていた。そして、彼に興味を示した。それがあなたの起こしたミスです」
「えっと、あのモデル……綺麗だなって思ったんだよ」
「俺は、あなたがいけ好かないイケメンより美少女が大好きな人間であることくらいわかっています」
「推理としては、十五点くらいだな。全然、ダメだ」
「それで、そろそろギル様だと認めてくれるんですか」
「さあな。勝手に考えろ」
そう会話を終了させると、不満そうな顔でため息をつかれた。
まるで絶好のデート日和と言わんばかりのいい天気で、何だか憂鬱な気分になった。
待ち合わせ場所へ行くと、銀髪にアメジストの瞳をした全身の血が凍りつきそうになるほど綺麗な男がいた。肌が白く欠点のない顔立ちをしているせいか、人間とは思えない。
動物園の動物を眺めるように、周りにはゾロゾロと女の群れができているが、不機嫌そうなオーラを醸し出している彼に話しかけようとする奴は誰もいない。
そうだよな……。あんな浮いている奴には、普通、話しかけたくないよな。
僕もできることなら、遠巻きに関わるだけで十分なんだが。
「遅かったですね」
紫水晶の瞳が獲物を見つけたライオンみたいに輝き、近づいてくる。女の群れは、モーゼが海を渡ったときのように、サアーと真っ二つに分かれ彼の行く道を作った。
「お前が早すぎるんだよ」
「こういうのは、予定時間よりも一時間早く来るのが、常識です」
「早すぎるだろうが!」
「そんなことないですよ。じゃあ、行きましょうか」
メシアの疑いがあるものはTKGの生き残りに絞り込んだ。また、メシアは世界の首脳しか知り得ない情報を掴んでいた。
ギルを殺し、首脳しか知り得ない情報を得ることができたと思われる人物はいなかった。
しかし、リュカのブロトレイトにいたというアリバイを調べたときに違和感を感じた。そして、調査した結果、アリバイは崩れた。
つまり、メシアは現在の国会議員であるリュカだ。
二人で計画を立てたあげく、正攻法で行くことにした。
今は、平和な時代だし、国会議員であるリュカの屋敷もそんなにしっかりと防犯対策をしているわけではない。
ただリュカにたどり着くまでに、試練は二つある。ルーカスと、ナイトを倒すことだけだ。ルーカスは、ただの門番なので楽勝だろう。問題は、天才の中の天才と言われているナイトだけだ。
「TKGの黒騎士か。ブロトレイトの白騎士って言われていたお前と戦ったら、どっちが強いんだろうな」
「もちろん俺に決まっているじゃないですか」
「その自信は、どっから来るんだよ」
「俺、負けないので」
何その、どっかの女医みたいな自信満々すぎてウザさがこみ上げてくるような台詞は。
「まあ、期待しているよ。そういえば、お前の仕事ってかなり忙しいはずだろう。よく休みがとれたな。一体、どんな手を使ったんだ?」
エンデュミオンは、実力を買われ世界最大の機密機関、通称ANBで働いている。何をしているのかよくわからないが、莫大な給料をもらう代わりに、忙しそうにしている。
「上司を目で脅しただけですが」
平然としながら、とんでもないことをのたまわった。
「何その人生イージーモード。恐ろしい能力だ」
……僕も目力のあるイケメンに生まれたかった。
そんなことを考えながら歩いている時、服の広告が見えた。
あれは一体、何の服だろうか。ダークブロンドをした青年がシンプルな服を着こなしている。右側の髪は長く左側は短いところがおしゃれに見える。
そのモデルを見ていると、思わず小さな笑みが零れた。
すると、いきなり顔を両手で挟まれ強引に横を向けさせられた。
「な、何をするんだよ」
「あんまり他の男をジロジロ見ないでください」
アメジストの瞳が徐々に狂気を帯びていく。深く昏い闇を秘めた瞳になっていく。
「ただの広告だろうが」
「あの広告を爆発させたくなるこっちの身にもなってください」
「知るかっ!」
国家組織で働いているくせに、なんという危険な奴だろうか。
「でも、今ので確信を持ちました。あなたの前世は、ギル・ノイルラーですね。そして、その記憶があなたにはある」
前からエンデュミオンは、僕がギル・ノイルラーだと疑ってばかりいる。全く突拍子もないことを考える奴だ。
「はっ。どうしてそんなバカげたことを思うんだよ。僕が独裁国家のボスと何の繋がりがあるんだよ」
「あなたは、ヒュラスを知っていた。そして、彼に興味を示した。それがあなたの起こしたミスです」
「えっと、あのモデル……綺麗だなって思ったんだよ」
「俺は、あなたがいけ好かないイケメンより美少女が大好きな人間であることくらいわかっています」
「推理としては、十五点くらいだな。全然、ダメだ」
「それで、そろそろギル様だと認めてくれるんですか」
「さあな。勝手に考えろ」
そう会話を終了させると、不満そうな顔でため息をつかれた。
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