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題1章 幼少期
5話「魔物は表情豊か」
しおりを挟むおとーさんたちのためにも、がんばるっ
だいじょうぶ、きょうは、みるだけ
だいじょうぶ...だいじょうぶ...
でも、こわい...
きょうぐらい、おとーさんのおてて、つないでもいいよね...
あ、なにか、みえてきた。
アヤノ「あのみどりいろした、ひと?みたいなのが、まもの?」
カルロ「そうだ、あれが『ゴブリン』と呼ばれる魔物だ」
アヤノ「なんか、てにもってる」
クレア「お、アヤノはよく観察をしているな!
あの剣を持っているのが、ソードゴブリン。
杖を持っているのが、ゴブリンメイジ。
んで、何も持っていない、あのちっこいのがミニゴブリン」
アヤノ「ごぶりんって、いろいろあるんだね」
ニーナ「ソードゴブリンもゴブリンメイジも、みんな最初はミニゴブリンからなるんですよ?」
アヤノ「そーなんだ...」
なんか、あのごぶりんたち、かぞくみたいだなぁ
クレア「あぁいう魔物が町を襲うから、
見つけ次第倒すのが鉄則なんだ」
アヤノ「おそってこないって、わかってても?」
ニーナ「今は襲ってこなくても、
力を蓄えて後々襲ってきたりしますからね」
アヤノ「でも、あのごぶりんたち、すごくやさしいかお、してるよ?」
カルロ「なんだと?アヤノ、それは本当か?」
アヤノ「うん、すごいえがおで、まるでかぞく!」
クレア「ゴブリンに...笑顔?ニーナはそう見えるか?」
ニーナ「...いいえ。
私にはいつもどおり悪人のような顔つきに見えます」
カルロ「...まさかとは思うが、言葉が分かったりもするか?」
アヤノ「う~ん、きこえるけど、とおいから、しゃべってることは、まだわかんない」
カルロ「クレアさん、ニーナさん、もう少しだけ近づいてもいいですか?」
クレア「まぁ、あの数であれば襲われても対処はできるからいいけど...」
ニーナ「何をするおつもりですか?」
カルロ「アヤノに会話を聞き取ってもらおうかと。
憶測ですが、もし内容が意味を成すものであれば、
アヤノの【加護】には魔物そのものを受け入れる力があるかもしれませんから」
きくだけでいいのかな?
クレア「そういうことなら、やってみる価値はあるな」
カルロ「それじゃアヤノ、ゴブリンたちのお話が聞こえる場所まで行ってみようか」
アヤノ「うん!」
がんばって、きくぞ~!
ニーナ「ここに来るまでの道中とは、
打って変わって笑顔になりましたね」
クレア「だな。
だが、あのゴブリンたちが気づいて襲ってくる可能性もあるから、
そこは注意しないとな」
カルロ「どうだ、聞こえそうか?」
ここからなら、ちゃんとききとれる!
アヤノ「ん~とね、けんをもってるほうが、おとこのひとのようなこえで
『きょうのばんめしは、なんだ?』っていってる。
それで、つえをもってるほうが、おんなのひとのようなこえで
『いのししのにくがまだのこってるから、それとやくそうのさらだね』だって」
なんか、ほっこりしちゃう
カルロ「本当にそんなことを、言っているのか?」
アヤノ「そうだよ~」
クレア「会話がまるで家族だな。
オレには『グギャグギャ』言ってるだけにしか聞こえないけど」
ニーナ「私も同じですね。
しかもアヤノちゃん、声色から性別まで分かってますよ?」
カルロ「...とりあえず、今日のとこは帰りましょうか」
クレア「あいつらは放置でいいのか?」
カルロ「えぇ、放置でかまいません。
それにアヤノの言ってるのが本当だとしたら、襲えませんよ」
クレア「それもそうだな」
ニーナ「それでは、退散しましょうか」
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