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1章「新たな出会い」
遺跡に行きますわよ!
しおりを挟む──さて、困り果てましたわ
エリカは魔力を温存するために苦渋の決断で戦闘装束を解除し裸に戻ったわけだが、いやはやどうなることやら
「とりあえず、身を隠せる場所が欲しいですわね
墓地とはいっても、誰かしらは必ず訪れる場所なのでここに居るのは得策ではないですわ」
【行くあてはあるんですか?】
マイアが問いかけると、
「あればとっとと動いてますわよ…」
とエリカは泣きごとを言う。
そこでベルがとある提案をする。
〈それなら、遺跡に行ってみたらどうだ?〉
「遺跡?なんでまた遺跡なんですの?」
〈エリカの心はニンゲンでも、体は魔物だ
だったら魔物だらけの遺跡に行けば身を隠せるんじゃねぇか?〉
「この近くに遺跡なんてあったかしら…」
生前の知識から、ここら一帯の地理を探るエリカ
「ん~…あるにはありますけど…
辺境まで行かないと無いですわね…」
───王都周辺の遺跡はだいたい踏破されていて、すべて冒険者ギルドの管轄になっていますのよね
生前の知識より進んでいなければまだ辺境の遺跡は踏破されていないはずですわ
王都を中心に、北側には「ソノヘン森林」、南側には「アノヘン平野」、西側には「コノヘン山脈」、東側には「ドノヘン海」が位置している。
補足として、エリカたちがいる『魂の霊園』はアノヘン平野にある。
「ここから一番近い遺跡は、『アノヘン平野』より南下した『アノヘン荒野』にある、『イワクーツキ遺跡』ですわね
それでも、歩いて3日ほどかかりますわ」
〈なら、走り続ければ1日半だな〉
「1日半で着ければいいんですけどね
走るのはともかく、背に腹は代えられませんわ
『イワクーツキ遺跡』に行きましょうか」
【決まりましたら、早速行動しましょう
思い立ったが吉日です】
〈あ、ちゃんと剣を忘れるなよ
それがなきゃ、戦えねぇんだから〉
「そうですわね」
──……あ。
「どうやって持っていきましょう…?
さすがに、両方持てませんわよ?」
【私の剣を腰に当ててみてください
当て方はどんな風でも構いません】
マイア言われた通り、エリカは双剣を地面から引き抜き、片方ずつ左右の腰に当てた
すると──
「お~」
左右の剣が光り輝き、鞘のある剣になった
【これで名実共に、あなたの剣になりました
手を離しても大丈夫ですよ】
「え、落ちませんこと?」
【離してみれば分かります】
落ちてもすぐ取れるように、慎重に剣から手を離すエリカ。
すると、まぁ不思議
「あら、落ちませんわ」
まるで体の1部のように腰に固定された剣
実際はエリカの魔力が剣の鞘になっているので、エリカのイメージ次第で自由自在に操れたりする
そんなことはつゆ知らず感心するエリカ
「これもまた凄いですわね~、驚きの連続ですわ
という事はこの大剣もいけるのかしら?
ふんにゅっ!」
そう言い、大剣をちょっと苦労しながら引き抜き背中に当てるエリカ
エリカからはちょっとしか見えないが、黒い光と共に鞘ができる
「日が出てる時間で良かったですわ
こんな黒い光なら夜だと見えませんもの」
黒い光が収まったのを確認し、手を離すエリカ
「さぁ、今度こそ出発しますわよ!
目的地は『イワクーツキ遺跡』ですわ!」
意気揚々と歩きだすエリカであった
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