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「なっ!だれが足手まといよ!こんな小さな町中の会社で鎧なんか着て頭おかしいんじゃないの!?」
うーん、彼の事はちゃんと説明したのに駄目ですね。準備のため会議室を飛び出した父と母が言うように危ないから帰って欲しいのですが……
「改めて話し合いをするので帰っていただけます?本当にあぶ」
グラグラと建物が揺れました。地震ではありません。転移魔法が発動し、店が移動したのです。二分より短い気がしますが、会社の時計が壊れていたのかもしれません。それに戦いはいつ何時も待ってはくれないものです。嘆いても仕方がありません。
「「きゃあぁあああああ!!」」
「仕方ありませんねえ。建物にはバリアが張ってあるので、外には出ないでくださいね?」
怯えているお嬢さん達は可哀想ですが、ウチの店にはちゃんと「本日、店ごとスケルトン退治に出ます。14時から客の入店、居残り禁止。全員、命の管理は自己責任」と書いてあったのに。受付でも伝えていると思うのですが……。
窓の外にはすでにスケルトンの大群が押し寄せています。
「では、私も出動してまいります」
「あ、ああ……」
「あああ……」
私は会社から出て短剣を抜き放ちました。王国騎士団も利用する鍛冶職人の武器なので切れ味は抜群です。魔力で強化された硬い骨もスッパリ切れます。そして、そのまま私は駆け出しました。
「ふむ、ボス戦にはまだ間に合いそうですね」
狙うはこのスケルトン集団のボス・リッチ。
「私は今から貴方達を殲滅します。恨みはありませんが、魔力発生の自動化研究の礎になっていただきます」
肉も脳もないモンスター・スケルトン。彼等の魔力循環は今も謎に包まれています。その魔力循環の仕組みが分かれば魔力炉の開発が大きく飛躍します。
「ふぅ……」
私は深く息を吐きました。そして、走りながら、次々と迫り来るスケルトンを切り捨てていきます。
「はあっ!」
骨を砕くように突き刺し、切り払い、私はリッチに向けて一直線に走りました。
「目標はリッチ一体だ!雑魚は母さんにまかせておけ!」
母は魔法使いですが、魔法のコントロールが下手で広範囲専門の魔術師です。沢山の敵がいればいるほど一気に殲滅したがるのが悪い癖なのですが、今回のような戦場ではとても心強い味方です。
「はい!承知していますわ!」
いつの間にか私の横にはアックスを構えた父がいて、私は返事をして一緒に並走していました。その後ろからは少数精鋭の社員達がついてきています。
「よし、お前ら!俺とサラが道を切り開くぞ!」
「「おおぉお!」」
「いいぞ!やっちまうぞ!」
「頑張る!」
まるで白い壁のように群がってくるスケルトン達ですが
「はあぁぁぁ!スラッシュ!」
父の一撃は、まるで暴風のようにスケルトン達を吹き飛ばしました。
「ふんっ!」
「やあ!やっ!」
力自慢のパトリックやスピードスターのケリーも後ろから襲いかかるスケルトン達をなぎ払い、その強さは父に負けていません。
そして私の目はスケルトンのボス・リッチを捉えました。ボス戦というのは何度経験しても胸が踊り、血が滾ってきます。自分の口端が上がるのを感じながら、私はギラつく愛剣を構えました。
******
戦利品のリッチの骨は目標である頭蓋骨を無傷で回収でき、体の骨は損傷があるものの全てのパーツを回収することができました。前回は母の火の魔法で全て消失したので、今回の戦利品はとても大きな成果です。
しかし、やはりというかなんと言うべきか……今回も我が社は大赤字となりました。転移魔法は他の魔術師にお願いしているので、往復で店を転移させるというのは人間の転移以上にとてもお金がかかるんです。
「はぁ~、やっぱりこうなっちゃったね~。うちはリッチの骨があればいいから、死の羽衣と死の杖は好事家に売って、スケルトンの骨はゴンザレスさんが買い取りたいって言ってたから―――」
母が電卓を叩きながらぼやきました。
「さあ、明日はしっかり休んで、明後日からは研究漬けだぞ!この前の赤字を含めて取り戻さないとな!さあ!今からシャワー浴びてこい!準備が出来たら祝いに皆で焼肉だ!」
ガハハッ!と豪快に笑う父。私を含めて皆もご機嫌です。
あ、店が元の場所に戻ってきてからお嬢さんとその御友人にはちゃんと帰っていただきましたよ。魂が抜けたかのようにフラフラしていて可愛そうだったので私個人でタクシー代を払ってご自宅まで帰っていただきました。後日、ジェフェリーを通してお金を返してくださったので「アポ無しでくる困った方でしたけど、素直に会社で待ってくださりましたし、お金の面がしっかりした意外と良い子ですね」と言ったら彼に困った顔をされてしまいました。
*おしまい*
うーん、彼の事はちゃんと説明したのに駄目ですね。準備のため会議室を飛び出した父と母が言うように危ないから帰って欲しいのですが……
「改めて話し合いをするので帰っていただけます?本当にあぶ」
グラグラと建物が揺れました。地震ではありません。転移魔法が発動し、店が移動したのです。二分より短い気がしますが、会社の時計が壊れていたのかもしれません。それに戦いはいつ何時も待ってはくれないものです。嘆いても仕方がありません。
「「きゃあぁあああああ!!」」
「仕方ありませんねえ。建物にはバリアが張ってあるので、外には出ないでくださいね?」
怯えているお嬢さん達は可哀想ですが、ウチの店にはちゃんと「本日、店ごとスケルトン退治に出ます。14時から客の入店、居残り禁止。全員、命の管理は自己責任」と書いてあったのに。受付でも伝えていると思うのですが……。
窓の外にはすでにスケルトンの大群が押し寄せています。
「では、私も出動してまいります」
「あ、ああ……」
「あああ……」
私は会社から出て短剣を抜き放ちました。王国騎士団も利用する鍛冶職人の武器なので切れ味は抜群です。魔力で強化された硬い骨もスッパリ切れます。そして、そのまま私は駆け出しました。
「ふむ、ボス戦にはまだ間に合いそうですね」
狙うはこのスケルトン集団のボス・リッチ。
「私は今から貴方達を殲滅します。恨みはありませんが、魔力発生の自動化研究の礎になっていただきます」
肉も脳もないモンスター・スケルトン。彼等の魔力循環は今も謎に包まれています。その魔力循環の仕組みが分かれば魔力炉の開発が大きく飛躍します。
「ふぅ……」
私は深く息を吐きました。そして、走りながら、次々と迫り来るスケルトンを切り捨てていきます。
「はあっ!」
骨を砕くように突き刺し、切り払い、私はリッチに向けて一直線に走りました。
「目標はリッチ一体だ!雑魚は母さんにまかせておけ!」
母は魔法使いですが、魔法のコントロールが下手で広範囲専門の魔術師です。沢山の敵がいればいるほど一気に殲滅したがるのが悪い癖なのですが、今回のような戦場ではとても心強い味方です。
「はい!承知していますわ!」
いつの間にか私の横にはアックスを構えた父がいて、私は返事をして一緒に並走していました。その後ろからは少数精鋭の社員達がついてきています。
「よし、お前ら!俺とサラが道を切り開くぞ!」
「「おおぉお!」」
「いいぞ!やっちまうぞ!」
「頑張る!」
まるで白い壁のように群がってくるスケルトン達ですが
「はあぁぁぁ!スラッシュ!」
父の一撃は、まるで暴風のようにスケルトン達を吹き飛ばしました。
「ふんっ!」
「やあ!やっ!」
力自慢のパトリックやスピードスターのケリーも後ろから襲いかかるスケルトン達をなぎ払い、その強さは父に負けていません。
そして私の目はスケルトンのボス・リッチを捉えました。ボス戦というのは何度経験しても胸が踊り、血が滾ってきます。自分の口端が上がるのを感じながら、私はギラつく愛剣を構えました。
******
戦利品のリッチの骨は目標である頭蓋骨を無傷で回収でき、体の骨は損傷があるものの全てのパーツを回収することができました。前回は母の火の魔法で全て消失したので、今回の戦利品はとても大きな成果です。
しかし、やはりというかなんと言うべきか……今回も我が社は大赤字となりました。転移魔法は他の魔術師にお願いしているので、往復で店を転移させるというのは人間の転移以上にとてもお金がかかるんです。
「はぁ~、やっぱりこうなっちゃったね~。うちはリッチの骨があればいいから、死の羽衣と死の杖は好事家に売って、スケルトンの骨はゴンザレスさんが買い取りたいって言ってたから―――」
母が電卓を叩きながらぼやきました。
「さあ、明日はしっかり休んで、明後日からは研究漬けだぞ!この前の赤字を含めて取り戻さないとな!さあ!今からシャワー浴びてこい!準備が出来たら祝いに皆で焼肉だ!」
ガハハッ!と豪快に笑う父。私を含めて皆もご機嫌です。
あ、店が元の場所に戻ってきてからお嬢さんとその御友人にはちゃんと帰っていただきましたよ。魂が抜けたかのようにフラフラしていて可愛そうだったので私個人でタクシー代を払ってご自宅まで帰っていただきました。後日、ジェフェリーを通してお金を返してくださったので「アポ無しでくる困った方でしたけど、素直に会社で待ってくださりましたし、お金の面がしっかりした意外と良い子ですね」と言ったら彼に困った顔をされてしまいました。
*おしまい*
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