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4.この金の棒は換金できません

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 夜の町。

『そろそろ次の怪人と会ってもいい頃なんだけどなあ』

そんなヌメチンの言葉を聞いていたかのように、塾の帰りに見つけてしまった怪人。
 ピンク色のかわいいうさぎの頭を被り、ピンク色のコートを羽織っていた。コート以外は、靴下と靴だけ履いた露出狂。モデルかと思うようなスラリとした体系。ひと目で目立つ姿。なのにレオ君が怪人になった時みたいに誰も彼に注目していない。

『大変だ。怪人が現れているよ』

まったく慌ててないヌメチン。
 露出しても誰も認識しないなら倒さなくて良いじゃない。今日の昼休み、レオ君の手コキで3発も発射させられた僕。疲れたせいでどんよりとそんな風に思う。

「くうっ、なぜだ。なぜ私の姿を見て慌てない!」

スマートな体系の怪人はコートの前を開いて腰を振る。大胆すぎな怪人と反対に、控えめでベビーのようなソレがプルプル揺れる。

『さあ、こっちに気づいていない内に変身だ』

ヌメチンが僕の口めがけて飛んできた。

「うわっ」

反射的に掴むんだけどヌルリンと滑って、ぱこんと僕の口の中。

「おごっ、おぶっ、けへっ!」

今日はなんとか吐き出せた。ヌメチンはびちゃりと僕の両手の平に落ちるとシュワリと消えた。
同時に僕の姿が変わる。

 眼鏡は青色のヒーローマスクになる。青いジャケットに白シャツ、青のストライプのネクタイが爽やかだ。ズボンはトップスを引き立てる黒。
それだけで良いのに、股間からお尻の部分にかけて、くり抜かれたように穴がぽっかりあいている。しかもパンツを履いてないからうさぎ頭のように丸出し状態。腰ベルトは皮。なのにブーツは人工レザー。

「はあ、ズボンさえまともなら……」

僕はあらかじめ鞄に入れた体操服の半ズボンを取り出し、それを履いて露出部分を隠した。

ダサい格好だけど仕方ない。救いは、絶倫ヒーローに変身すると怪人以外は僕の姿が見えてないこと。

「はあ、怪人。大人しくぶっかかって、帰ってくれないかな」


「なんだ、貴様。長ズボンと半ズボンを履いて厚着ではないか。どれ、この私が脱がしてやろう」

露出変態が長い指を閉じたり開いたりしながら、僕ににじり寄る。

「嫌だ。変態に脱がされてたまるもんか」

飛びかかってきた怪人を難なく避けると怪人は躓き、カエルみたいに地面にへばり付いた。

「大丈夫?」

運動が苦手な所が他人に感じない。

「くっ、おのれ!」

怪人は立ち上がるとコートを脱ぎ捨て、再び腰を振った。

「刮目せよ!我が裸身!」

足をクロスさせ、腰を突き上げ背中を反らす変態うさぎ頭。

「!!」

なにかの攻撃がくるかと手を胸の前に構え、背中を丸めて防御の姿勢を取る。
その間にも変態うさぎ頭の足の色が灰色に変わっていく。
 レオくんが赤鬼第二形態になった時みたいにこの怪人も変化するのだと直感で分かった。

「うおおおおおおおおっ、見るがいい!」

変態うさぎ頭の長い足が灰色に染まりきると、腰や腹、胸まで灰色に染まる。
そして被り物の隙間から見える首元まで灰色になったかと思うとポーズをしたまま動かなくなった。

『わあ、石化してるよ』

ヌメチンの声が頭の中でした。
 
 眼の前には誰も気にしない石像。股間だけ生身のままの石像。

「害がないからほっといていいかな」

『だめだよ。怪人を放置したらどんどんとパワーを溜めてしまう。今は理性のほうが上回っているけど、いいずれ一般人に危害を加えてしまうよ』

ヌメチンが緊張感なく言う。

「はぁ……、ってことはぶっかけなきゃ駄目?」

『もちろん』

「はあぁ~~~~~」

僕は周囲を見回し、変なポーズをとった。
僕のことを誰もみないことを確認したかったんだ。
誰も僕に注目しないから、思い切って半ズボンを脱ぐ。そして穴が開いたズボンの意味がない前を広げたって誰も悲鳴を上げない。

「はあぁぁ~~~~~」

すると『おう、出番か!』みたいに僕の分身は勝手にスタンバイしている。

「なんでこんなの見て元気になってるんだよぉ」

自分の下半身の節操のなさに泣きそうになる。だけど両手で隠しながら石像の近くに寄る。

「はあああぁ」

『溜息を出す暇があるなら、もっと有益なモノを出してよ』

「うっるっさいなー」

自分の口から乱暴な言葉が出て、自分で自分に驚いて下半身も萎えてた。誰にも聞かれてないけど慌てて口を閉じる。

「ごほん、ごほん」

僕は咳払いをして、石像に寄り添うと右手で分身を掴んだ。

『いいね!その調子!』

ヌメチンが煽ってくる。何が良いんだかよく分からないけど、擦ると僕の分身はあっという間に頭を持ち上げる。

「はぁはぁ」

『そろそろだね』

「いちいち実況しないでよ」

どぴゅると石像のお尻にかけるとお尻が桃尻に変わるけど上半身や足は灰色の石のままだ。

「え、嘘。戻らないよ」

『むむむ、赤鬼よりも怪人化が進んでるようだよ。もっとかけなきゃ』

「え、もっと?」

『仕方ないでしょ。怪人を倒さないと帰れないんだよ』

「はぁ~~~~、もう~」

僕は早く帰りたいのに。
自分で自分を手コキする。レオ君のせいで外でシコシコするのに抵抗が薄くなっている。

『良いよ!良いよ!』

そんなヌメチンの声を聞きながら、僕は石像にぶっかけた。

「はあはあ、うっ、ふぅ」

『まだまだあ!』

「あ、あ、あ、イクッ、出しちゃうっ、うっ」

『もう一回!もう一回』

「ああ!もうまどろっこしい!一回で終わる方法ないの?!」

太ももにかけたら太ももだけ、手にかけたら肘までしか戻らない。レオ君みたいに一回で終わると思っていたのに、これじゃあ早く帰れないじゃないか。

『あるよ。でも、できるかなあ?』

「もったいぶらずに教えてよ」

『―――あ、大変だ』

「え?」

「なんとまどろっこしい!動かぬ生きた石像を見てもぶっかけるだけ!お前はそれでも男なのか!?」

「うええ?!」

いきなり石像が動き、背を仰け反らせて僕を指さしてきた。ウサギの被り物だけが石化してないから、妙に不気味だ。

『まずいよ。動いちゃったね』

ヌメチンの無責任な声が聞こえる。だけど僕はそんなことよりも目の前の怪人の手足の先が、夜の外灯を反射する金色の肌に変わっていくことに意識を奪われていた。
僕がぶっかけて肉体に戻した部分まで金の光を艷やかに放っていく。

「ど、どうなってるの?」

被り物のウサギの頭が放り投げられ、金色の整った顔が露わになった。髪は金色のペンキで濡らしたようになっている。ここまできたら、若手のお笑い芸人がドッキリで金色のペンキを被ったように見える。

「教えて進ぜよう。私の第二形態は金の動像。第一形態の石像化はあらゆる外の風景に馴染んで融和し、かつ私の美を魅せる形態だ。どんな環境でも私が存在するだけで美術館に変わる。そして私の第二形態は私の美を究極に引き立てる黄金像になる。このゴージャスな私を見ることで、全ての人間は感動を与えられる。私のあらゆるポーズは星の輝き。そして流星のように動くことができる」

話している間、ビシッ、ビシッとモデルポーズを取る金の動く像。

「何言ってるか分からない」

言葉が耳から入って、そのまま脳を通らず耳から出ていってしまった。

「なんだと。私の美しきこの姿が理解できないほど感性が乏しいのか。なんと可哀想に」

「え゛え゛~~」

怪人に同情されるなんてショックすぎる。

「さあ、私と勝負だ!私が勝った暁には貴君を私の磨き職人にしてやろう」

「お断りします。僕はもう早く帰りたいんで、早く人間に戻って!」

僕は慌てて下半身の棒を擦って、弾丸のように精を放つ。だけどそれを軽々と避けていく黄金像の怪人。変身前は運動音痴だったのに、軽々と避けられた上、いちいちポーズを決めているのが余計に腹が立つ。

「はっはっはっは、遠慮するな。私は職人に対して敬意を払って接するぞ」

あっけなく押し倒された僕。赤鬼の時のように股間を握られたから、ぶっかけを求められるんだろうと思った。

「ちょっと何してるの!?」

なのに金色の手でシコシコされない。金色像の怪人は腰を左右に振って、その動きに合わせて彼の金色に輝く小ぶりな股間も揺れている。

「ふっ、勝負の仕方も知らないのか。変態怪人との戦い。それは即ち、真剣勝負。どちらが動けなくなるかで決めるのが常」

「え、え、ぶっかけで変身が解けるか、解けないかが勝負じゃ」

「いくぞ!」

金色の怪人の腰が上がり、僕の先端に彼の黄金のお尻が当たる。

「うひっ」

なぜか僕の全身に快感が走った。そしてあっけなく白いものを放出する僕。

『頑張れ!絶倫ヒーロー!君の絶倫は怪人より長持ちだ!と思う。そう信じるんだ!』

ヌメチンが顔の横で応援してくるけど嬉しくない。

「ふっ、尻に触れただけでイク早漏など敵ではないぞ」

「もうやだあー」

『頑張って!ヒーロー!』

ヌメチンの無責任な声と同時にズプッと亀頭に柔らかい感触がした。

「くっ、この大きさでは一気に入らぬか」

「やだやだ!怪人に童貞を取られるなんてやだ!抜いて!抜いてよ!」

「童貞だと?!ならば尚更負ける訳にはいかぬ!刮目せよ!私の美を!そして、この黄金像の肉体を!」

「うあ゛っ」

彼の体重がかかり、僕の腰と金色像の怪人のお尻がピッタリひっついた。

「あ゛あ゛あ゛」

「なんだ、情けない。私の肉体に耐えられるペニスだと期待したのにこの程度か」

抵抗しようと動かした両手が金色怪人の両手に捕まり、そのまま恋人つなぎをされる。手を握りあったまま彼の腰が上下に動く。その度に僕の股間から快感が走る。

「あ゛っ、や゛め゛で」

「ふん!この程度で泣き言とは見損なったぞ!だが私は容赦しない!」

先端ギリギリまで引き抜かれたかと思えば一気に根本まで飲み込まれる。

「う゛あ゛っ、き゛も゛ち゛い゛」

「当然だ!私は美の頂点に立つ者だからな!美は心の快感だ!」

彼の腰のグラインドは激しくなって、僕は膝を曲げ、腰を浮かせて動いてしまう。

「うあ゛っ、でるぅ」

「ふん、早漏め。だが良いだろう!イケば自分の立場を理解できるだろうからな!」

「あ、あ゛」

僕の股間がドクンと脈打ち、彼の中に白い液を放出する。

「はあ、はあ」

「ふっ、美しさとは罪だな。このまま快楽の海に沈むが良い!」

金の体が上下に揺れる。なのに腰は円を描くように動き、僕の股間を襲ってくる。

「あ゛っ、う゛あっ、や゛め゛で」

2~3回、中で擦られるだけでイッテしまう。

「ふっはっは!何が嫌か。お前のソレは私の美に感動し、未だ硬さを保っているぞ。さあもっと私の素晴らしさを知り、我が職人になると誓うのだ!」

『良いね!その調子!絶倫ヒーロー、怪人の中にどんどん噴射するんだ』

ヌメチンが興奮しているけど僕はそれどころじゃない。
金色怪人の腰が円を描く度に、僕の意思に関係なく、先端から白濁液が発射される。

*****

「や゛め゛ろ゛、でるの゛、とま゛れ゛」

『頑張れ!絶倫ヒーロー!敵は大ダメージだ!』

「あ゛あ゛あ゛、いぐっ」

 もう何回目か分からない絶頂を迎えた僕。そして金色怪人の姿が、普通の体に戻っている。肉体に戻っても美形な元怪人の人間が、アヘ顔になりながら僕の下半身の上で腰を振り続けてくる。

「もう゛、ださ゛な゛い゛でぇ、まけた、ま゛けたからぁ」

元怪人の人間は負けを認めたのに、腰振りを止めない。

「ぞれはっ、はうっ、だったりゃ、うごかに゛ゃいでぇ」

『絶倫ヒーロー、君の勝ちだよ。よく頑張ったね』

ヌメチンが僕の頭の中で囁くけど僕はそれどころじゃない。

「もう゛、でな゛いぃ」

「あ゛っ、あ゛っ、うお゛っ、お゛ほっ、ビッグペニスイキするっ」

もう人間とは思えない腰使いで僕を追い詰める元怪人の人間。彼が僕のお腹どころか胸や顔にまで、ドロドロの白い液体をぶっかける。

「お゛、あ゛っ」

元怪人の人間が僕の上に倒れこんだ。

「終わった……」

色んな意味で。
早くなんとか逃げなきゃ。
今は不思議な力で通り過ぎる人達は僕たちの姿が見えない。
でも、この後に変身が解けたら、絶対に人に見つかってしまう。そしたら「変態露出狂と野外プレイ!?男子Kのイケナイ♡お勉強」とか書かれてゴシップ誌やネットのネタにされてしまう。

『エロパワー補充完了!絶倫ヒーローを安全な場所にテレポートさせるよ』

ヌメチンの声が聞こえ、美形を乗せたまま僕の体が持ち上がる。

『次もガンバってね』

その声を最後に僕は意識を手放した。
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