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部活動3
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誠人は少し考えてから詩織を見た。
「いや……実はネットで作品を公開してるんだけど俺の書く話って女の子が主人公じゃないとウケが悪いんだ」
「あ~……それは辛いかも。自分と同性のほうが作品が書きやすいよね」
「今、書いてるジャンルが冒険ものでさ。俺は男の主人公でないと出せない迫力を書きたいんだ。だけど今まで書いてた作品は女の主人公の方が受けが良くてさ……」
突然、暗い表情になる誠人をみて心配になる詩織。
「う、うん。」
「それで、なんとなく気分転換に読んだネットに載ってる作品を見てたらさ。なんか、女の子の主人公が無双する展開の話が流行してて、しかもそれが大人気らしくて。俺が書こうとしてる話と逆でさ。主人公は男らしく、ヒロインは女の子っぽく書こうって決めてて。あっ、これは性別の差別じゃないからな。女の子が無双する話は前の作品で幾つか俺も書いてるし、否定するわけじゃなくて」
「うん、大丈夫。分かってるよ。続けて」
誠人の悩みを聞きつつ、詩織は思った。
(男主人公でガッツリ書きたいのに感想コメントとかきっと『女主人公ものかいてください』とか『つまらん。女主人公に変えろ』とかネットだからひどいことを書かれてるんじゃ・・・私なら自分が書きたいものの真逆を求められたら逆境すぎて耐えられないよ!)
「それである日さ、気づいちゃったんだ。俺には才能がないんだって。俺が書いていた女主人公の話は流行に乗ってるから人気なだけだって」
詩織は心の底がヒンヤリとして手足が冷たくなった。小説の才能がない。小説家を目指す者にとって地の底に叩きつけられる言葉だ。
「そんなことないよ!部活で読ませてくれた橘君の小説はどれもとても面白いし、私は主人公の性別なんて関係なく橘くんの小説のファンだよ!」
彼と切磋琢磨して夢に向かって作品を作っていると思っていた詩織には、彼が自分自身で才能がないという姿を見るのは辛かった。だから詩織は精一杯のエールを送った。
「ありがとう。水木さん。そう言ってくれると嬉しいよ」
そう言って誠人は微笑むが悩みがはれた様子ではなかった。
「た、橘くん…私の勇気…あげるから」
詩織は思い切って誠人の手を握った。硬くて大きな掌と長い指。手を握った瞬間に自覚しないようにしていた好き!という感情が溢れて頭を支配して詩織は真っ赤になった。
同時に誠人の顔が耳まで赤くなる。
「み……水木さん……ありがとう……もう少しだけ、いつもの分かれ道までは勇気、もらっていいかな」
「うん、私の勇気で良かったら」
赤い顔のまま無言で手を繋いで数メートル歩くと二人が分かれる道の突き当りにきた。
「……あっ……」
「もう着いちゃったのか。ありがとう、詩織。っ!あっ!?、ごめん。水木さん」
誠人が慌てて言い直す。
「えっ、ううんっ!いいよ!詩織でっ、詩織で大丈夫」
「じゃ、じゃあ詩織っ!俺も誠人でいいからっ!そっそれじゃあ!俺!こっちだからっ!」
赤い顔のままで飛び跳ねるように走って行った誠人。
一人残された詩織も赤い顔でその背中を見送る。
「またあしたね……誠人…君」
繋いでいた手に残る熱が消えないようにと願う詩織だった。
「いや……実はネットで作品を公開してるんだけど俺の書く話って女の子が主人公じゃないとウケが悪いんだ」
「あ~……それは辛いかも。自分と同性のほうが作品が書きやすいよね」
「今、書いてるジャンルが冒険ものでさ。俺は男の主人公でないと出せない迫力を書きたいんだ。だけど今まで書いてた作品は女の主人公の方が受けが良くてさ……」
突然、暗い表情になる誠人をみて心配になる詩織。
「う、うん。」
「それで、なんとなく気分転換に読んだネットに載ってる作品を見てたらさ。なんか、女の子の主人公が無双する展開の話が流行してて、しかもそれが大人気らしくて。俺が書こうとしてる話と逆でさ。主人公は男らしく、ヒロインは女の子っぽく書こうって決めてて。あっ、これは性別の差別じゃないからな。女の子が無双する話は前の作品で幾つか俺も書いてるし、否定するわけじゃなくて」
「うん、大丈夫。分かってるよ。続けて」
誠人の悩みを聞きつつ、詩織は思った。
(男主人公でガッツリ書きたいのに感想コメントとかきっと『女主人公ものかいてください』とか『つまらん。女主人公に変えろ』とかネットだからひどいことを書かれてるんじゃ・・・私なら自分が書きたいものの真逆を求められたら逆境すぎて耐えられないよ!)
「それである日さ、気づいちゃったんだ。俺には才能がないんだって。俺が書いていた女主人公の話は流行に乗ってるから人気なだけだって」
詩織は心の底がヒンヤリとして手足が冷たくなった。小説の才能がない。小説家を目指す者にとって地の底に叩きつけられる言葉だ。
「そんなことないよ!部活で読ませてくれた橘君の小説はどれもとても面白いし、私は主人公の性別なんて関係なく橘くんの小説のファンだよ!」
彼と切磋琢磨して夢に向かって作品を作っていると思っていた詩織には、彼が自分自身で才能がないという姿を見るのは辛かった。だから詩織は精一杯のエールを送った。
「ありがとう。水木さん。そう言ってくれると嬉しいよ」
そう言って誠人は微笑むが悩みがはれた様子ではなかった。
「た、橘くん…私の勇気…あげるから」
詩織は思い切って誠人の手を握った。硬くて大きな掌と長い指。手を握った瞬間に自覚しないようにしていた好き!という感情が溢れて頭を支配して詩織は真っ赤になった。
同時に誠人の顔が耳まで赤くなる。
「み……水木さん……ありがとう……もう少しだけ、いつもの分かれ道までは勇気、もらっていいかな」
「うん、私の勇気で良かったら」
赤い顔のまま無言で手を繋いで数メートル歩くと二人が分かれる道の突き当りにきた。
「……あっ……」
「もう着いちゃったのか。ありがとう、詩織。っ!あっ!?、ごめん。水木さん」
誠人が慌てて言い直す。
「えっ、ううんっ!いいよ!詩織でっ、詩織で大丈夫」
「じゃ、じゃあ詩織っ!俺も誠人でいいからっ!そっそれじゃあ!俺!こっちだからっ!」
赤い顔のままで飛び跳ねるように走って行った誠人。
一人残された詩織も赤い顔でその背中を見送る。
「またあしたね……誠人…君」
繋いでいた手に残る熱が消えないようにと願う詩織だった。
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