2 / 4
オレとカノン。2
しおりを挟む
デートをすると決まった数時間後の夕食。
やっぱりと言うかその日のうちに家族全員がカノンとデートすることを知っており、妹までもがニヤニヤした目つきでオレを見つめてくる。
クソッ……絶対に楽しんでいるな。
オレは妹の視線を無視しつつ、当日のプランを考える事にした。
映画とお茶はカノンの希望で決定している。この辺りで映画館があって買い物にすぐ行ける場所は一箇所しかないからそこでいいや。
お茶もスタボやドドールとか近いし。後は映画の時間次第か……。
一応、ランチをどこで食べるかも考えておかないとな。
そんな事を考えながらオレは飯を食べていたのだが、ニヤニヤ笑う妹の発言で手を止めた。
「お兄ちゃん、カノン姉とデートなんでしょ。結婚式はいつすんのよ?」「ぶふぅーーーーーー!!」
親父が口に含んでいたご飯粒を噴き出した。
「げほっごほっ!ななななおき!おまえっ!お隣のカノンちゃんにっ!父さんの友達の大事なお嬢さんなんだぞ!」
「落ち着け親父。まずは深呼吸しろ」
オレは冷静に言った。お袋は平然と唐揚げを食べている。
「ほら吸って……吐いて……よし落ち着いたか?親父、悪いがカノンとはただの幼馴染みだ」
「ぬおおおお!お前はあんないい子を放っておくのか!?」
間髪いれずに怒る親父。頼むから冷静になってくれ。あいつとオレはただの幼馴染みだ。
「だから落ち着け親父。カノンは腐れ縁の幼馴染みだ。オレが愛するのは熱愛組♡マックスのまゆりんだけだ」
「なっ……!?」
絶句する親父。妹は爆笑していた。お袋はため息をついている。
「でもさぁ~、あのカノン姉は結構美人じゃん?お兄ちゃん、カノン姉に振られたら後がないよ。モテないんだから」
「母さんもそう思うわぁ~。ナオキも昔はよくカノンちゃんに『お嫁においで。オレ、悟空になってお前を守る』って言ってたじゃないの。
益田家からもすでに公認の仲なんだから素直になりなさいよ」
「ぎゃー!オレの暗黒歴史!やめてくれ!」
くそぉおお!!何で昔の恥ずかしい思い出を掘り起こされてこんな事を言われなくちゃならないんだ。
「とにかく、オレはただの幼馴染みの女の子と遊びに行くだけであってカノジョとかそういう関係ではないからな!」
飯を口にかき込んでお茶と一緒に流し込む。
「ぷはー!ごちそうさま!んじゃ風呂入って寝るわ」
そうしてオレは逃げるようにリビングを出た。
風呂から上がって部屋に戻ろうとすると部屋の前で親父が立っていた。
「ナオキ、男同士だ。細かいことはお前を信じて言わん。だがこれだけは渡しておく」
そう言って渡されたのは小さな封筒だった。中には神々しい一万円札様が三枚入っている。
「これは……?」
「高田家の男なら女の子の前ではかっこつけろ。いいな」
「……分かったよ」
カノンとは幼馴染みだって……と言いたいところだが一万円札様三枚が手に入る魅力に抗えない。親父からのお小遣いをありがたくいただいて自分の部屋に戻った。
やっぱりと言うかその日のうちに家族全員がカノンとデートすることを知っており、妹までもがニヤニヤした目つきでオレを見つめてくる。
クソッ……絶対に楽しんでいるな。
オレは妹の視線を無視しつつ、当日のプランを考える事にした。
映画とお茶はカノンの希望で決定している。この辺りで映画館があって買い物にすぐ行ける場所は一箇所しかないからそこでいいや。
お茶もスタボやドドールとか近いし。後は映画の時間次第か……。
一応、ランチをどこで食べるかも考えておかないとな。
そんな事を考えながらオレは飯を食べていたのだが、ニヤニヤ笑う妹の発言で手を止めた。
「お兄ちゃん、カノン姉とデートなんでしょ。結婚式はいつすんのよ?」「ぶふぅーーーーーー!!」
親父が口に含んでいたご飯粒を噴き出した。
「げほっごほっ!ななななおき!おまえっ!お隣のカノンちゃんにっ!父さんの友達の大事なお嬢さんなんだぞ!」
「落ち着け親父。まずは深呼吸しろ」
オレは冷静に言った。お袋は平然と唐揚げを食べている。
「ほら吸って……吐いて……よし落ち着いたか?親父、悪いがカノンとはただの幼馴染みだ」
「ぬおおおお!お前はあんないい子を放っておくのか!?」
間髪いれずに怒る親父。頼むから冷静になってくれ。あいつとオレはただの幼馴染みだ。
「だから落ち着け親父。カノンは腐れ縁の幼馴染みだ。オレが愛するのは熱愛組♡マックスのまゆりんだけだ」
「なっ……!?」
絶句する親父。妹は爆笑していた。お袋はため息をついている。
「でもさぁ~、あのカノン姉は結構美人じゃん?お兄ちゃん、カノン姉に振られたら後がないよ。モテないんだから」
「母さんもそう思うわぁ~。ナオキも昔はよくカノンちゃんに『お嫁においで。オレ、悟空になってお前を守る』って言ってたじゃないの。
益田家からもすでに公認の仲なんだから素直になりなさいよ」
「ぎゃー!オレの暗黒歴史!やめてくれ!」
くそぉおお!!何で昔の恥ずかしい思い出を掘り起こされてこんな事を言われなくちゃならないんだ。
「とにかく、オレはただの幼馴染みの女の子と遊びに行くだけであってカノジョとかそういう関係ではないからな!」
飯を口にかき込んでお茶と一緒に流し込む。
「ぷはー!ごちそうさま!んじゃ風呂入って寝るわ」
そうしてオレは逃げるようにリビングを出た。
風呂から上がって部屋に戻ろうとすると部屋の前で親父が立っていた。
「ナオキ、男同士だ。細かいことはお前を信じて言わん。だがこれだけは渡しておく」
そう言って渡されたのは小さな封筒だった。中には神々しい一万円札様が三枚入っている。
「これは……?」
「高田家の男なら女の子の前ではかっこつけろ。いいな」
「……分かったよ」
カノンとは幼馴染みだって……と言いたいところだが一万円札様三枚が手に入る魅力に抗えない。親父からのお小遣いをありがたくいただいて自分の部屋に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる