12 / 95
転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない
僕の婚約者③(ヴォルフラム視点)
しおりを挟む
今日はルナが初めて僕の家に遊びに来る大切な日。心配事といえば姉さんのことだけれど、万が一のときには何があっても僕が必ずルナを助けに行く。
「あらあら、今から婚約者に会うというのに怖い顔ね。それでは怯えてしまうわよ?」
「…………姉さん」
「怯えているのは婚約者ではなくて貴方かしら?」
「僕のルナに手を出すな」
「……あら、意外と婚約者とは相思相愛なのかしら?」
「それの何が問題なの?」
「………………そうね。ルナリアさんにお会いするのが楽しみになってきたわ。女同士の話には入ってこないでちょうだいね?」
「姉さんこそ、必ず僕のルナを返してね」
「……………………」
姉さんは返事をしなかった。これが意味することが何かを理解できないほど、僕は姉さんに関心がないわけではない。むしろ僕と姉さんは似たもの姉弟だ。誰かを愛せば一直線に突き進む。ルナに出会うまでは引くことも出来たのだけれど、あれは恋でも愛でもなく……友情の延長に過ぎなかったのかもしれない。
「ヴォルフ!馬車が見えたぞ!ボーッとするな!」
「!!」
「考え事かしら?それは婚約者より大切なの?」
「………ごめん、父さん、母さん」
ルナを乗せた馬車がゆっくりと停止した。僕はすぐに馬車に駆け寄り、自分で扉を開きたいのを必死で我慢しながら、御者が扉を開くのを待った。扉が開くと同時にレイナが出てきて周辺を確認したのを見届けてから、僕はルナに手を差し伸べて馬車から降ろした。
「よく来たね、道中に危険はなかったかい?」
「ええ、レイナが守ってくれるもの」
「………レイナにご執心のようだね?」
「レイナは可愛くて強くてカッコいい人ですもの。心から尊敬いたしておりますわ」
「フフッ、ルナも強いよ?」
「有難うございますわ」
「どういたしまして………行こうか?」
「………緊張して参りましたわ」
「大丈夫、僕が傍にいるからね」
「お……お願い致しますわ?」
「勿論♪」
勿論………僕が守るよ。姉さんは僕が言うのもなんだけれど、壊れるほどに愛してるってやつでね………。王太子殿下には早々と姉さんを選んでもらわないと困るのに、一向に婚約者を決めようとしない。理由は後ろ盾の弱さなのだろうけれど、僕たちには関係ない。
「ようこそ、ルナリア嬢」
「お招きいただき感謝いたします、お義父様」
「ゆっくりしていらして?」
「感謝いたします、お義母様」
「剣を鍛えているのだろう?一戦どうだ?」
「是非お手合わせ願いたいですわ、グレンお義兄様」
「ハハッ、聞いていた通りの女の子に育ったね」
「エリックお義兄様、聞いていた……とは?」
「レンお兄様、リックお兄様、今日は婚約者同士の大切な日ですのよ?…………ねぇ?そうでしょう?」
「ええ、その通りでございますわ。お義姉様」
「みんな、僕のルナはあげないからね!」
「………………………ッ」
僕はルナと手合わせしようとするレン兄を睨んだ。レン兄とリック兄は僕の行動が想定内だったのか、口元を押さえながら笑っている。僕が兄さん達に気を取られている隙に姉さんがルナに話しかけた。
「少し……お話があるのだけれど、よろしいかしら?」
「え……ええ、もちろんですわ。お義姉様」
何をするつもりなのかは知らないけれど、二人きりにするのはまずいと思った僕は、姉さんとルナの会話に割って入った。
「姉さん、ルナに何の話かな?」
「あら、ヴォルフ。女同士の大切なお話よ?すぐに二人で戻ってくるわ?それならよろしいでしょう?」
「…………ルナに何かあれば僕は姉さんを疑うよ」
「ええ、分かっていてよ?」
僕はルナを強く抱きしめ、姉さんを睨みつけた。
姉さんがルナを連れていった方角には大きな泉がある。ルナの帰りが遅ければ……泉に突き落とされた可能性を最初に疑うべきだと思う。それ以外にも可能性を考えておかないといけない。
あれから一分は経過している。流石に遅い。通常なら僕もここまで不安にはならないけれど、ルナに何かあったのではないかと思い、僕は二人が歩いていった方向へ歩いていこうとした。
「ヴォルフ」
「何?父さん」
「何処へ行く気だ?」
「ルナが心配なんだ。少し見てくる」
「ここで待っていなさい。女の話に男が首を突っ込むものではない!ややこしくなるだろう!」
「…………………それくらい………知ってる」
女の喧嘩や女の話し合いに男が割って入っていいことなど何もないけれど………仕方ないだろう!?僕だって安心して待っていたいけれど、姉さんはルナを湖に突き落とした張本人なんだぞ!
「知っているなら、ここで待っていなさい」
「いや………待てない」
「待ちなさい」
「無理ですよ、父さん」
「……………何を怒ってるんだ?」
「父さんは鈍感ですね」
「だから!何をそんなに怒ってるんだ!?」
「………………………」
本気で言っているのか?母さんはもちろんのこと、兄さん達でさえ姉さんの恐ろしさを知っているのに。そもそも僕たちに姉さんの危険性を教えてくれたのは母さんだ。ああ………だから父さんは鈍感でも生きていけたんだね。母さんがいるから。
「僕……やっぱり見てくる!」
駆け出そうとした僕を父さんが羽交い絞めにした。
「あらあら、今から婚約者に会うというのに怖い顔ね。それでは怯えてしまうわよ?」
「…………姉さん」
「怯えているのは婚約者ではなくて貴方かしら?」
「僕のルナに手を出すな」
「……あら、意外と婚約者とは相思相愛なのかしら?」
「それの何が問題なの?」
「………………そうね。ルナリアさんにお会いするのが楽しみになってきたわ。女同士の話には入ってこないでちょうだいね?」
「姉さんこそ、必ず僕のルナを返してね」
「……………………」
姉さんは返事をしなかった。これが意味することが何かを理解できないほど、僕は姉さんに関心がないわけではない。むしろ僕と姉さんは似たもの姉弟だ。誰かを愛せば一直線に突き進む。ルナに出会うまでは引くことも出来たのだけれど、あれは恋でも愛でもなく……友情の延長に過ぎなかったのかもしれない。
「ヴォルフ!馬車が見えたぞ!ボーッとするな!」
「!!」
「考え事かしら?それは婚約者より大切なの?」
「………ごめん、父さん、母さん」
ルナを乗せた馬車がゆっくりと停止した。僕はすぐに馬車に駆け寄り、自分で扉を開きたいのを必死で我慢しながら、御者が扉を開くのを待った。扉が開くと同時にレイナが出てきて周辺を確認したのを見届けてから、僕はルナに手を差し伸べて馬車から降ろした。
「よく来たね、道中に危険はなかったかい?」
「ええ、レイナが守ってくれるもの」
「………レイナにご執心のようだね?」
「レイナは可愛くて強くてカッコいい人ですもの。心から尊敬いたしておりますわ」
「フフッ、ルナも強いよ?」
「有難うございますわ」
「どういたしまして………行こうか?」
「………緊張して参りましたわ」
「大丈夫、僕が傍にいるからね」
「お……お願い致しますわ?」
「勿論♪」
勿論………僕が守るよ。姉さんは僕が言うのもなんだけれど、壊れるほどに愛してるってやつでね………。王太子殿下には早々と姉さんを選んでもらわないと困るのに、一向に婚約者を決めようとしない。理由は後ろ盾の弱さなのだろうけれど、僕たちには関係ない。
「ようこそ、ルナリア嬢」
「お招きいただき感謝いたします、お義父様」
「ゆっくりしていらして?」
「感謝いたします、お義母様」
「剣を鍛えているのだろう?一戦どうだ?」
「是非お手合わせ願いたいですわ、グレンお義兄様」
「ハハッ、聞いていた通りの女の子に育ったね」
「エリックお義兄様、聞いていた……とは?」
「レンお兄様、リックお兄様、今日は婚約者同士の大切な日ですのよ?…………ねぇ?そうでしょう?」
「ええ、その通りでございますわ。お義姉様」
「みんな、僕のルナはあげないからね!」
「………………………ッ」
僕はルナと手合わせしようとするレン兄を睨んだ。レン兄とリック兄は僕の行動が想定内だったのか、口元を押さえながら笑っている。僕が兄さん達に気を取られている隙に姉さんがルナに話しかけた。
「少し……お話があるのだけれど、よろしいかしら?」
「え……ええ、もちろんですわ。お義姉様」
何をするつもりなのかは知らないけれど、二人きりにするのはまずいと思った僕は、姉さんとルナの会話に割って入った。
「姉さん、ルナに何の話かな?」
「あら、ヴォルフ。女同士の大切なお話よ?すぐに二人で戻ってくるわ?それならよろしいでしょう?」
「…………ルナに何かあれば僕は姉さんを疑うよ」
「ええ、分かっていてよ?」
僕はルナを強く抱きしめ、姉さんを睨みつけた。
姉さんがルナを連れていった方角には大きな泉がある。ルナの帰りが遅ければ……泉に突き落とされた可能性を最初に疑うべきだと思う。それ以外にも可能性を考えておかないといけない。
あれから一分は経過している。流石に遅い。通常なら僕もここまで不安にはならないけれど、ルナに何かあったのではないかと思い、僕は二人が歩いていった方向へ歩いていこうとした。
「ヴォルフ」
「何?父さん」
「何処へ行く気だ?」
「ルナが心配なんだ。少し見てくる」
「ここで待っていなさい。女の話に男が首を突っ込むものではない!ややこしくなるだろう!」
「…………………それくらい………知ってる」
女の喧嘩や女の話し合いに男が割って入っていいことなど何もないけれど………仕方ないだろう!?僕だって安心して待っていたいけれど、姉さんはルナを湖に突き落とした張本人なんだぞ!
「知っているなら、ここで待っていなさい」
「いや………待てない」
「待ちなさい」
「無理ですよ、父さん」
「……………何を怒ってるんだ?」
「父さんは鈍感ですね」
「だから!何をそんなに怒ってるんだ!?」
「………………………」
本気で言っているのか?母さんはもちろんのこと、兄さん達でさえ姉さんの恐ろしさを知っているのに。そもそも僕たちに姉さんの危険性を教えてくれたのは母さんだ。ああ………だから父さんは鈍感でも生きていけたんだね。母さんがいるから。
「僕……やっぱり見てくる!」
駆け出そうとした僕を父さんが羽交い絞めにした。
43
あなたにおすすめの小説
幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい
ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26)
鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。
狭い個室にはメイド服がかかっている。
とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。
「この顔……どこか見覚えが……」
幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。
名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー)
没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。
原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。
「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」
幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。
病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。
エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18)
全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。
タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる