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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない
婚約者の家族②
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「一つ目の質問……私の弟を婚約者に選んだ理由は?」
「ひっ……………一目惚れですわ………私の」
「あら、何処に惹かれたのかしら?………ああ、これは質問ではなくてよ?好みの話ですもの」
「………最初は傷跡に一目惚れいたしました」
「それは顔にある大きな傷跡のことかしら?」
「………そう……ですわ」
「………もしかして人と話すことが不得手なのかしら?これも質問ではなくてよ?貴女の状態を観察して導き出した結論の話よ」
「…………前世の時から苦手でございますわ」
「そう………そうなの」
お義姉様は下唇に人差し指を添えて少し考えを巡らせた後、私に優しく微笑みかけ質問を再開した。その声色はとても優しく穏やかで包み込むような声だった。
「二つ目の質問………貴女この世界についてご存知?」
「えっ……………この世界?」
「あら、てっきりご存知だから回避したのかと……」
「回避?」
「フフッ……此方の話よ。ご存知でないのなら構わないわ」
回避?回避って何?死亡フラグを知らない間にボキボキに折っていた………という解釈でいいの?
私のそんな様子を観察していたお義姉様は微笑みながら言葉を続けた。私の内に渦巻く不安が一瞬で吹き飛ぶ言葉を……。
「安心なさって?弟と婚姻するのなら問題ないわ」
「よ………よかった………わ」
心からの安堵を私から感じ取ったのか、最後の質問のときには柔らかな態度を完全に崩さなくなっていた。
「最後の質問………これは前提が壊れてしまったのだから本来なら必要ないのだけれど………念の為……ね?」
「……………………」
「貴女にとって王太子殿下はどのような方?ああ……社交辞令は要らなくてよ?私は貴女の本心を把握しておきたいのよ」
「臣下としての意見なら【心から尊敬と忠誠を捧げるに相応しいお方】でございますけれど、個人的な意見としましては【正統派王子様は好みではない】ですわね」
「…………フフッ、確かに貴女が一目惚れした私の弟は【正統派王子様】では無いわね」
「素敵な方ですよね!ヴォルフ様は!」
「ええ………貴女と私の好みは違うようで安心したわ。私……前世から同担拒否なのですもの」
「な………成る程」
「本当に良かったわ………そろそろ帰りましょう?貴女のことを知れたことが一番の収穫よ」
「そ………それは何より」
私とお義姉様は来た道を二人で戻って行った。その時の私は気付かなかったのだけれど、二人で話していたすぐ傍には大きな泉があった。水底まで見通せるほど澄み切った大きな泉が。
「ヴォルフ、落ち着きなさい。二人で戻ると言っていただろう?」
「父さん!何かあってからでは遅いんです!」
「心配する気持ちは理解できるが………」
私とお義姉様が皆がいた場所まで戻ってくると、ヴォルフ様とお義父様の声が聞こえてきた。
「あらあら………困ったこと」
「!!」
お義姉様の声に素早く反応したヴォルフ様は、私を見つけると力強く抱きしめた。
「………………よかった」
「?」
「おかえり、ルナ」
「た……ただいま帰りましたわ、ヴォルフ様」
ヴォルフ様は私が無事であることが奇跡とでも言うように、強く優しく私を抱きしめて離そうとしなかった。その様子に違和感を覚えたお義母様がヴォルフ様に何かを問おうとしたその時だった。
「あら、ヴォルフ。私に取られるとでも思ったのかしら?安心して?ルナリアさんとは本当にお話がしたかっただけなの。どうして私の弟を婚約者に選んだのか………不思議だったのですもの」
「!!」
「ルナリアさんと私の趣味嗜みが異なるからといって、一目惚れするわけが無いと思ってしまったのよ。ごめんなさいね?」
「……………………」
「蓋を開けてみれば本当にただの一目惚れなんですもの。悪いことを聞いてしまったと後悔しているのよ?」
「ルナ………そうなの?」
ヴォルフ様はお義姉様の言葉を聞くたびに地味な反応を繰り返していたけれど、最終的に仔犬のような瞳で私を見つめ問いかけた。
「お義姉様…………」
「あら?口止めしない貴女がいけないのよ?」
「!!」
ヴォルフ様は全身を真っ赤に染め上げた私を見て、優しく穏やかな笑みを浮かべながら、そっと私を離した。
「僕に一目惚れしたのは本当なんだね」
「き………傷痕に………ですわ」
「フフッ………嬉しいよ、僕のルナ」
「!!」
ヴォルフ様は12歳とは思えない台詞を平然と口にする。実は12歳ではないのでは?それとも私の恋愛レベルが底辺なだけ?
「ヴォルフに朗報ですわ」
「何かな?姉さん」
「ルナリアさんは【正統派王子様は好みではない】と断言なさいましたわ。憂いはなくなったのではなくて?」
「……………姉さんの好みとは大きく外れるね」
「ええ、私も嬉しいわ」
「僕も安心だよ」
ヴォルフ様とお義姉様のこの会話が私の生死の話だったことに気付くのは、悪夢の終わりに犯人を思い出してしまった後。
このときは本当に何のことか理解できなかった。
「二人共、ルナリアさんをお待たせしてどうするの?今日は大切な婚約者交流の日でしょう?」
「あら、そうね。二人の仲が深まるのは良いことだもの。ルナリアさん、ヴォルフを宜しくお願いね?」
「ええ……お義姉様、勿論ですわ」
「フフッ、貴女が義妹になってくれるのは心強いことだもの」
「………………」
こうして私たちはローゼンハイム辺境伯爵本邸に入り、ヴォルフ様とのお茶会を楽しんだ。
楽しい時間は早いもので、もう帰る時間になってしまい、名残惜しみながらもヴォルフ様と共に門の前まで来たのだけれど、今から馬車で通る門の前で喚いている少女が一人いる。
私はその少女に見覚えがあるような……無いような……。
(あっ!記憶を無くして直ぐくらいの交流会で何故か凄く話しかけてきた女の子だ!)
思い出せて本当に良かった。あの時は素晴らしい門の彫刻の方に気を取られて、人の顔を全く記憶していないし、そもそも会話をした記憶が皆無だ。女の子は一方的に何かを喋るだけ喋って、いなくなっていたから、まあ……返事がないので諦めたのだと思う。
(何故ここにいるのだろう?)
私がそんなことを考えている隣で、ヴォルフ様は氷のように冷たい瞳を少女に向けていたけれど、私は見なかったことにした。冷たい瞳も素敵です!………とか場違いなことを叫びそうになったから。
「ひっ……………一目惚れですわ………私の」
「あら、何処に惹かれたのかしら?………ああ、これは質問ではなくてよ?好みの話ですもの」
「………最初は傷跡に一目惚れいたしました」
「それは顔にある大きな傷跡のことかしら?」
「………そう……ですわ」
「………もしかして人と話すことが不得手なのかしら?これも質問ではなくてよ?貴女の状態を観察して導き出した結論の話よ」
「…………前世の時から苦手でございますわ」
「そう………そうなの」
お義姉様は下唇に人差し指を添えて少し考えを巡らせた後、私に優しく微笑みかけ質問を再開した。その声色はとても優しく穏やかで包み込むような声だった。
「二つ目の質問………貴女この世界についてご存知?」
「えっ……………この世界?」
「あら、てっきりご存知だから回避したのかと……」
「回避?」
「フフッ……此方の話よ。ご存知でないのなら構わないわ」
回避?回避って何?死亡フラグを知らない間にボキボキに折っていた………という解釈でいいの?
私のそんな様子を観察していたお義姉様は微笑みながら言葉を続けた。私の内に渦巻く不安が一瞬で吹き飛ぶ言葉を……。
「安心なさって?弟と婚姻するのなら問題ないわ」
「よ………よかった………わ」
心からの安堵を私から感じ取ったのか、最後の質問のときには柔らかな態度を完全に崩さなくなっていた。
「最後の質問………これは前提が壊れてしまったのだから本来なら必要ないのだけれど………念の為……ね?」
「……………………」
「貴女にとって王太子殿下はどのような方?ああ……社交辞令は要らなくてよ?私は貴女の本心を把握しておきたいのよ」
「臣下としての意見なら【心から尊敬と忠誠を捧げるに相応しいお方】でございますけれど、個人的な意見としましては【正統派王子様は好みではない】ですわね」
「…………フフッ、確かに貴女が一目惚れした私の弟は【正統派王子様】では無いわね」
「素敵な方ですよね!ヴォルフ様は!」
「ええ………貴女と私の好みは違うようで安心したわ。私……前世から同担拒否なのですもの」
「な………成る程」
「本当に良かったわ………そろそろ帰りましょう?貴女のことを知れたことが一番の収穫よ」
「そ………それは何より」
私とお義姉様は来た道を二人で戻って行った。その時の私は気付かなかったのだけれど、二人で話していたすぐ傍には大きな泉があった。水底まで見通せるほど澄み切った大きな泉が。
「ヴォルフ、落ち着きなさい。二人で戻ると言っていただろう?」
「父さん!何かあってからでは遅いんです!」
「心配する気持ちは理解できるが………」
私とお義姉様が皆がいた場所まで戻ってくると、ヴォルフ様とお義父様の声が聞こえてきた。
「あらあら………困ったこと」
「!!」
お義姉様の声に素早く反応したヴォルフ様は、私を見つけると力強く抱きしめた。
「………………よかった」
「?」
「おかえり、ルナ」
「た……ただいま帰りましたわ、ヴォルフ様」
ヴォルフ様は私が無事であることが奇跡とでも言うように、強く優しく私を抱きしめて離そうとしなかった。その様子に違和感を覚えたお義母様がヴォルフ様に何かを問おうとしたその時だった。
「あら、ヴォルフ。私に取られるとでも思ったのかしら?安心して?ルナリアさんとは本当にお話がしたかっただけなの。どうして私の弟を婚約者に選んだのか………不思議だったのですもの」
「!!」
「ルナリアさんと私の趣味嗜みが異なるからといって、一目惚れするわけが無いと思ってしまったのよ。ごめんなさいね?」
「……………………」
「蓋を開けてみれば本当にただの一目惚れなんですもの。悪いことを聞いてしまったと後悔しているのよ?」
「ルナ………そうなの?」
ヴォルフ様はお義姉様の言葉を聞くたびに地味な反応を繰り返していたけれど、最終的に仔犬のような瞳で私を見つめ問いかけた。
「お義姉様…………」
「あら?口止めしない貴女がいけないのよ?」
「!!」
ヴォルフ様は全身を真っ赤に染め上げた私を見て、優しく穏やかな笑みを浮かべながら、そっと私を離した。
「僕に一目惚れしたのは本当なんだね」
「き………傷痕に………ですわ」
「フフッ………嬉しいよ、僕のルナ」
「!!」
ヴォルフ様は12歳とは思えない台詞を平然と口にする。実は12歳ではないのでは?それとも私の恋愛レベルが底辺なだけ?
「ヴォルフに朗報ですわ」
「何かな?姉さん」
「ルナリアさんは【正統派王子様は好みではない】と断言なさいましたわ。憂いはなくなったのではなくて?」
「……………姉さんの好みとは大きく外れるね」
「ええ、私も嬉しいわ」
「僕も安心だよ」
ヴォルフ様とお義姉様のこの会話が私の生死の話だったことに気付くのは、悪夢の終わりに犯人を思い出してしまった後。
このときは本当に何のことか理解できなかった。
「二人共、ルナリアさんをお待たせしてどうするの?今日は大切な婚約者交流の日でしょう?」
「あら、そうね。二人の仲が深まるのは良いことだもの。ルナリアさん、ヴォルフを宜しくお願いね?」
「ええ……お義姉様、勿論ですわ」
「フフッ、貴女が義妹になってくれるのは心強いことだもの」
「………………」
こうして私たちはローゼンハイム辺境伯爵本邸に入り、ヴォルフ様とのお茶会を楽しんだ。
楽しい時間は早いもので、もう帰る時間になってしまい、名残惜しみながらもヴォルフ様と共に門の前まで来たのだけれど、今から馬車で通る門の前で喚いている少女が一人いる。
私はその少女に見覚えがあるような……無いような……。
(あっ!記憶を無くして直ぐくらいの交流会で何故か凄く話しかけてきた女の子だ!)
思い出せて本当に良かった。あの時は素晴らしい門の彫刻の方に気を取られて、人の顔を全く記憶していないし、そもそも会話をした記憶が皆無だ。女の子は一方的に何かを喋るだけ喋って、いなくなっていたから、まあ……返事がないので諦めたのだと思う。
(何故ここにいるのだろう?)
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