【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

僕の日常⑤(ヴォルフラム視点)

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「今なら間に合いますのに………」
「…………そうだね」

ピンク頭が理解不能な言葉の羅列を喚いて走り去った後、僕とルナは先程のピンク頭の言動について少し話した。
正直に言うと、ルナの瞳の奥を見つめていた僕には、ルナがピンク頭の言葉を聞いて驚いていたことに気が付いていたのだけれど、ピンク頭の言葉が理解できていないことは事実のようだから、ピンク頭とルナとの間には明確な溝があるような……そんな気がした。
僕はルナを南棟まで送り届けた後、生徒会室に急いだ。

僕は扉を三回ノックして、室内からの返答を待った。
生徒会の一員なのだから不要だと考える者もいるけれど、これはマナーとして必要なことだと断言できる。

「誰だ?」
「ローゼンハイムです、生徒会長」
「入室を許可する」
「有難うございます………失礼致します」

僕が扉を開けて生徒会室に入ると、アルベルトは休憩していたのか机の上に茶器が置かれていた。

「姉さんが来ていたのですか?」
「ああ、ピンク頭がルナリア嬢を変な言葉の羅列で責め立てていて恐ろしかった……と言っていてね。裏取りの為に走らせたところだったんだが……不要だったか?」

流石に仕事が早い。例え溺愛していても情報を鵜呑みにしない所は変わらないな。まさに次代の賢王と呼ばれるに相応しい。

「僕は見ていただけなのだけれど、ルナがピンク頭に変な責め立てられ方をしていたのは事実です」
「どの様な内容だった?」
「ルナのことを【悪役令嬢】と呼び罵り、自分は【ヒロイン】だと言い張り、複数の異性を【攻略対象】と呼んでおりました」
「………【攻略対象】?」
「はい、誰かを攻略する予定でもあるのでしょう」
「ルナリア嬢はそれに関して何か言っていたか?」
「首を傾げておりましたが、何も言っておりません」
「……虚言か……或いは………」
「両方の面で探ってみた方が宜しいでしょうね」
「お前が見張るのか?」
「御冗談を、僕はルナにだけは勘違いされたくないので」
「それは私も同じこと………影に見張らせるか」
「それが最善かと」

アルベルトと情報を共有した僕は、ピンク頭の言っていた【悪役令嬢】という言葉について考えた。
まさかとは思うが、自分の妄想を僕のルナに押し付けた結果、あの様な行為に及んだのではないだろうな?
…………下位貴族や平民は可愛らしくていけないね。
王族や高位貴族が【虐め】などという可愛らしいことをすると、思ってくれるのは嬉しいけれど………ね。
あのピンク頭は目障りだけれど、学園内では学園の判断に委ねられるものだから……大した罰を与えられなかった。非常に残念だよ。

「それにしても…【自分を虐めろ】と公爵令嬢に言い放つ子爵令嬢がいたとはね、想定外だよ」
「笑うところですか?相手がルナでなければピンク頭は終わっていますよ…………家ごと」
「……ルナリア嬢は平和を愛する優しい性格だからね、王妃には全く向いていないと言える」
「臣下としては安心安全でしょう?」
「ああ、お前という怪物の飼い主様だからな。リリーとは親しい関係を築いているようだし、私の治世は安泰で助かるよ」

怪物と言われるのは心外だけれど、ルナの飼い犬の様な扱いを受けるのは非常に好ましい。
アルベルトは僕の好む言葉を熟知している所があるから厄介だな。

アルベルトと僕の話し合いは、ピンク頭の言う【攻略対象】という言葉を各家に持ち帰り、家族で共有することで話が纏まった。
当然だが、情報共有の対象には義父(公爵)も含まれている。

話し合いが終わったので、僕とアルベルトは生徒会の仕事に戻り、チャイムが鳴る前に教室に移動した。
この日からピンク頭の傍には影を置くことになり、言動は総て筒抜け状態となった。

ピンク頭が何をするか分からないので、ルナにも公爵家の影が……そんなに必要なのかというくらい配置された。
体裁のために王家の影も一人いるにはいるが、陛下に対する報告役としての役割が大きい気がする。
まあ……ルナが平穏に暮らせるのなら何でもいいけれど。
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