【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

それ以前の問題

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「ちょっと!今日はアンタが私を噴水に突き落とす日でしょう!?ちゃんと仕事しなさいよ!」

私は昼食を摂るためにヴォルフ様と一緒に食堂に来ています。
最近は生徒会の方々も遠くから成り行きを見守っている様なのだけれど、ピンク頭に狙われていると判断された者たちは南棟側の出入口付近に座り、彼らの婚約者たちは盾のような役割を自ら担当することで自然と昼食を一緒に取ることが増え、結果的により良い関係を築けているとか…いないとか……。元から相思相愛な婚約者同士なので恋愛に疎い私には全く違いが分かりません。

「聞いてるの!?ほら!早く行くわよ!」
「…………今から昼食を摂りますので、お一人でどうぞ」

(そもそも【噴水に突き落とす日】って何!?)

それも【乙女ゲーム】のシナリオなのだろうけれども、私は暇ではありませんので、お一人で勝手に【疑似乙女ゲーム】を楽しんでください。何もしなくても私を悪に仕立て上げようとした貴女のことですから、私が何もしなくても【悪役令嬢】にするでしょう?
無駄な労力は使わない主義ですので…ご勝手にどうぞ。

「ヴォルフ様、昼食の時間が終わってしまいますわ」
「フフッ…そうだね、ルナ。急ごうか」

貴女も【転生者】の様だから大目に見ているけれど、私が平和を愛するからこそ貴女はまだ生きているのです。
それ程の不敬の連続を私以外にすれば……妃殿下にすればどうなることか。まあ……教えないけれど。面倒事は嫌いなのよ、本当に。
それから…貴女の危険察知能力は壊れていると思います。
私も鈍い方ではあるけれど、女性陣だけでなく男性陣からの貴女に対する敵意が凄い。何をしてそうなったのか気になる程度には。

「アンタが私を噴水に落とさないとウィル様とのイベントが進まないじゃない!聞きなさいよ!!無視するな!!」
「…………………………」

(ウィル様って誰だよ、殿下はどうした?)

貴女が一人に絞って行動する方ならば、ここまでの警戒心を多くの方に抱かれることもなかったでしょう。
最初は「私の教科書を破りなさいよ!」でしたね、勿論行きませんでしたが…何故か私が破ったことになっている教科書を食堂まで持ってきていましたね……迷惑な人です。
次は「私だけ除け者にしなさい!」でしたか……これは既に除け者の貴女を私にどうしろと言うのか……この時も私は何もしておりませんが、貴女は勝手に私が除け者にしたのだと言い触らしていましたね……皆様が貴女を危険視する決定的な瞬間になりました。

私が貴女の言う事を聞かないものだから、また何処かへ……この学園の噴水に向かわれたのでしょう。
先生方が問題児である貴女が叫んだ直後に…学園中の噴水に走って行かれた様ですから、安心して自作自演が出来ますね。
面倒事が大嫌いなので申し上げませんけれど、私は何もしない……この対処法を許可してくださったのは妃殿下ですよ……。
それはもう怖…………素敵な微笑みでございました。

「ルナ、大丈夫かい?」
「ええ…ヴォルフ様、殿下だけが狙いではないようですね」
「ウィル………もしかして」

そう言いながらヴォルフ様は生徒会の方々を見た。
生徒会の方々には誰のことなのか分かったらしく、大きく頷くと全員揃って席を立ち、それぞれの婚約者をエスコートしながら南棟に避難………戻って行った。

「生徒会の方ですの?」
「姉さんの勘が正しければ、間違いなくそうだと思う」
「厚底眼鏡にカツラをしただけで分からなくなるものですの?」
「少なくとも彼女は分からなかった」
「……………妃殿下は一瞬で見抜いておられましたわよ」
「愛だね、僕もルナのことなら一目で分かるよ」

ピンク頭に狙われているのが私だからと、三人で対策を練っていた時に妃殿下が現れたのには焦りました。
殿下の説明に納得してくださり事なきを得ましたが、命の危機を感じたのは久しぶりで……恐かったです。
後日…妃殿下の提案で、生徒会役員とピンク頭に狙われた経験のある二人の方に協力を仰ぎ、変装して食堂を使って貰った結果、ピンク頭にはバレないことが判明しました。
婚約者たちには即バレしていたので、相思相愛なのは事実なのだろうと確信した瞬間でもあります。
自慢ではありませんが、ヴォルフ様の変装だけは一瞬で見抜けましたよ。とても喜んでくださいました。

その様なことを考えていると、ピンク頭がずぶ濡れで食堂に入ってきて、私を指差しながら大声で叫んだ。

「私!あの人に噴水に突き落とされたんです!」

(馬鹿なのか?)

私が食堂を一歩たりとも出ていないことは多くの利用者たちが証明している。それは見れば分かるはずだ。
思った通り、後ろから追いかけてきていた先生方に連れ去られた模様。いや……小説のヒドインでも演技力はあっただろう。
大根役者より酷い、誰一人貴女に賛同しない状況で叫ぶのは馬鹿としか言いようが無いのでないだろうか。
これが小説なら………最初から貴女に救いは無いやつだぞ。
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