【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

シナリオって何?

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一学期はとても騒がしい学園生活でしたので、長期休暇では(ピンク頭に煩わさせることもなく)静かに生活したいものです。
何故……ピンク頭は此方に向かってくるのでしょう。
私を指差しながらピンク頭が叫んだ。言ったのではなく叫んだが妥当な声量です……とても迷惑な人。
ここは講堂ですから、多くの学生や教師たちが此方を振り返ってしまったではありませんか。目立ちたくない。

「アンタがシナリオ通りに動かないから【避暑地イベント】が起きなかったんですけど!?」
「…………………………」

(避暑地イベントって何?)

イベントと言うからには【乙女ゲーム】に関連する何かが起きるはずだったのだろうけれど、それが起きなかったということは………何だというのだろう。何か問題でもあるのだろうか?
妃殿下は何かご存知なのだろうけれど、まあ……いいか。

「ちょっと!聞いてるの!?」

聞いてはいるけれど、私にはそのイベントが起こらないと何が問題なのかが分からない。婚約者でも同性の友人でも無い貴女を誘う理由が思い当たらないのですが、それは【乙女ゲーム】ではよくあるイベントなのですか?
………貴女の言う【攻略対象者】たちが生徒会の皆様のことであるのなら、彼らは自分の婚約者と避暑地に行く予定を立てておりましたよ?………それのことですか?

「何の騒ぎかな?」
「……ヴォルフ様」

ピンク頭が何やら意味不明なことを叫んでいるだけです。
これといって重要な話はしておりませんが、席に戻ってくれる気配が無いので大変困っています。

「またアンタなの!?いい加減にしてよね!!」

いい加減にして欲しいのは私の方です。私に恨みがあるのかと思えば、私とピンク頭は会ったこともありませんでした。
妃殿下のように一途な方で自力で隣を勝ち取ったというのなら、心の底から尊敬し、応援致しましたけれども、貴女……変装しただけで分からなくなるレベルではないですか。

「私はその女と話してるのよ!?邪魔しないでよね!!」

これ……まだ続くんですか。イベントが起きなかったのなら諦めてください。その【避暑地イベント】とやらは婚約者たちが達成してくれています、良かったですね。

「アンタのせいで一回目の【避暑地イベント】が起こらなかったんだからね!次のイベントはシナリオ厳守なんだから!ちゃんとシナリオ通りに動くのよ!?分かった!?」

(一回目?)

待って……イベントって一度で終わりではないの?
ピンク頭は私が【乙女ゲーム】を知っているという前提で毎回話してくるけれど、知らないからね?
面倒だから絶対に聞かないけれども、そのシナリオってそれの通りにしないと何か問題でもあるの?
謎だけを残して去っていくの止めてくれると助かるのだけれど。
…………一度目のイベントが起こらなかったのなら、二度も三度も同じだと思いますので、私は何もしないことを誓います。

「ルナ……平気?」
「ええ、シナリオって何かしら?」
「………何だろうね?何かの台本……かな?」
「私に台本のない劇を演じろと仰ったのね」
「まだ名乗ってもいないのにね」
「…………そう言えば………そうだったわ」

ピンク頭の名前を貴族名簿で見た記憶があったから、私が勝手に名乗られた気でいただけで、名乗られていなかった。
名乗った覚えも無いのだから、貴族的には知らない人だ。
ピンク頭も私のことを【悪役令嬢】としか呼ばないのだから、私が彼女の名前を呼ぶ必要は無いものね。
その行為を虐めだと言うのなら……どうぞご自由に。

「そろそろ終業式が始まるから…席に座ろうか?」
「…………ええ」

その後、終業式は恙無く終わり、先ずは南棟の生徒と一部の北棟の生徒が講堂を退室し、次に(ピンク頭を除いた)北棟の生徒と一部の南棟の教員が退室、最後に教員たちがピンク頭を北棟の馬車乗り場まで連れて行き、馬車が走り出すまで見送った……らしい。

一学期の段階で完全に問題児扱いされている。
退室したら即座に馬車乗り場に移動する事になっているから、狙われていた北棟の生徒を先に逃がした形になる。
これを……二学期の始業式でもするらしいです。
安心安全に移動できるのなら何も問題はないけれど、これって【乙女ゲーム】にあるのかな?
貴族としてはどうでもいいけれど、オタクとしては気になります。
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