【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

僕の日常⑥(ヴォルフラム視点)

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長期休暇ではピンク頭の奇行が目障り……鬱陶し……不安を覚える結果に終わったけれど、変装していればバレないという確信は間違いなかったと知れただけでも僥倖だった。
長期休暇の間に何度もルナと一緒に過ごす事が出来たのだから、僕としてはピンク頭の事など……どうでもいい。
長期休暇と言っても僕はアルベルトの側近なのだから、仕事が無いわけでは勿論ない。その合間を最大限に利用してルナとの時間を作り、僕の心を癒やしては仕事に戻る事を繰り返す毎日だけれど、結婚した後の予行練習だと思えば何一つ苦にはならなかった。

始業式の日、入学式同様にピンク頭の姿は見受けられなかったが、特に気に留める事もなく、粛々と始業式を進めていき、後は校長の話だけどなった時……勢いよく講堂の扉が開かれ、ピンク頭が姿を現したと思った瞬間、大きな声でルナに盛大な濡れ衣を着せた。

「ひどーい!ルナリアさん!なんでこんな事するんですか!?」
「…………………………?」

ピンク頭の奇行は今に始まったことではないが、そんな事よりも…たかが子爵令嬢の分際で僕のルナを呼び捨てにしたのか?
僕はルナの傍に駆け寄ろうとしたのだけれど、姉さんに行く手を阻まれて助けに行くことが出来なかった。

「姉さん」
「今は耐えて欲しいの……ごめんなさいね?」
「……………」

何を考えているのかは分からないけれど、僕のルナに良からぬお願い事をしていることは知っている。
僕のルナは基本的に何事も無ければそれでいいと考える平和主義者ではあるけれど、一度でも排除するべき対象だと判断した相手には何処までも冷酷になれる人……そんな所も可愛いけれど。

「酷いです!謝ってください!」
「………何が酷いのかお聞きしても宜しいかしら?」
「そんなの!言わなくても分かるでしょう!?」
「……………………」

分かるわけが無いよね。何を言っているんだろうね、あのピンク頭は。尤も…それより問題なのは、僕のルナが受け答えをしているという事実の方なのだけれど、姉さんが僕を止めた理由が其処に隠されている気がしてならない。僕も混ぜて欲しかった。

「アンタのせいで遅刻したんだからね!」
「………………………………」

何故ピンク頭の遅刻が僕のルナの責任になるのかと問いたい所だけれど、逃げ出したい衝動を我慢しているルナの覚悟を無駄にするわけにもいかない。それに…ルナが其処までの覚悟を決めるということは、姉さんがピンク頭を排除することに多少の力添えをすると決めたということなのだろう。見守る愛もある……耐えろ、僕。

「私はアル様が廊下を通るのをず~っと待ってたのに!!」
「……………………」

今、アルベルトが廊下を通るのをずっと待っていたと言ったのか?あのピンク頭はそれが何を意味するのか全く理解していない様だけれど……ルナが姉さんに頼まれたのは…言質を取ること…かな?

「アンタがアル様が廊下を通らないように仕組んだんでしょう!?分かってるんだからね!!そんな事しても無駄!!最後は私とアル様が結ばれるのは運命で決まってるんだから!!」

僕は姉さんの方に視線を向けた。……ピンク頭に警告する気は欠片もないけれど、今の言葉で姉さんの君に対する敵意が頂点に達したようだ。僕のルナは頂点にまでは達していなかったから、突発的な殺人未遂で済んだけれど、君も殺人未遂で済めば良かったのにね?

「アンタのせいでアル様との大事なイベントが一つ無くなったのよ!?どう責任取ってくれるのよ!!」

また【イベント】か、意味の分からない理由でルナを責めるのは変わらないな。ルナの瞳の色が冷たくなった事に気が付きもしないのなら、黙っていた方が賢明だと思うけれど、もう遅い……かな?

「……貴女、殿下がお通りになる道をご存知でしたの?」
「当然でしょう!?私がアル様の行動を知らないと思ってるの!?アンタと一緒にしないでよね!!」
「……………………そう」

成る程、姉さんの目的は【言い逃れの出来ない状況で言質を取ること】だったというわけか。姉さんや僕が問いかけた所で、ピンク頭は「アンタには関係ない」としか言わないのだから判断としては正しい。正しいけれどルナの性分を知る僕としては納得いかない。
唯一の救いはルナが「任務完了」みたいな瞳をしていることかな?

「姉さん、次からは僕も混ぜて欲しい」
「あら、宜しくてよ。ルナは迚も頑張ってくれたもの、これ以上は彼女の相手だけで十分よ」
「……ルナには教えられないことでもするのかな?」
「フフッ…………何のことかしら?」

ルナは排除すると決めたら何処までも冷酷になれるけれど、基本は平和主義者だからね……僕や姉さんより遥かに神経を擦り減らしてしまう。僕と姉さんには暇潰しでもルナにとっては違うから。
後は僕に任せて……平穏な学園生活を楽しんでね。
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