39 / 95
転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない
僕の日常⑥(ヴォルフラム視点)
しおりを挟む
長期休暇ではピンク頭の奇行が目障り……鬱陶し……不安を覚える結果に終わったけれど、変装していればバレないという確信は間違いなかったと知れただけでも僥倖だった。
長期休暇の間に何度もルナと一緒に過ごす事が出来たのだから、僕としてはピンク頭の事など……どうでもいい。
長期休暇と言っても僕はアルベルトの側近なのだから、仕事が無いわけでは勿論ない。その合間を最大限に利用してルナとの時間を作り、僕の心を癒やしては仕事に戻る事を繰り返す毎日だけれど、結婚した後の予行練習だと思えば何一つ苦にはならなかった。
始業式の日、入学式同様にピンク頭の姿は見受けられなかったが、特に気に留める事もなく、粛々と始業式を進めていき、後は校長の話だけどなった時……勢いよく講堂の扉が開かれ、ピンク頭が姿を現したと思った瞬間、大きな声でルナに盛大な濡れ衣を着せた。
「ひどーい!ルナリアさん!なんでこんな事するんですか!?」
「…………………………?」
ピンク頭の奇行は今に始まったことではないが、そんな事よりも…たかが子爵令嬢の分際で僕のルナを呼び捨てにしたのか?
僕はルナの傍に駆け寄ろうとしたのだけれど、姉さんに行く手を阻まれて助けに行くことが出来なかった。
「姉さん」
「今は耐えて欲しいの……ごめんなさいね?」
「……………」
何を考えているのかは分からないけれど、僕のルナに良からぬお願い事をしていることは知っている。
僕のルナは基本的に何事も無ければそれでいいと考える平和主義者ではあるけれど、一度でも排除するべき対象だと判断した相手には何処までも冷酷になれる人……そんな所も可愛いけれど。
「酷いです!謝ってください!」
「………何が酷いのかお聞きしても宜しいかしら?」
「そんなの!言わなくても分かるでしょう!?」
「……………………」
分かるわけが無いよね。何を言っているんだろうね、あのピンク頭は。尤も…それより問題なのは、僕のルナが受け答えをしているという事実の方なのだけれど、姉さんが僕を止めた理由が其処に隠されている気がしてならない。僕も混ぜて欲しかった。
「アンタのせいで遅刻したんだからね!」
「………………………………」
何故ピンク頭の遅刻が僕のルナの責任になるのかと問いたい所だけれど、逃げ出したい衝動を我慢しているルナの覚悟を無駄にするわけにもいかない。それに…ルナが其処までの覚悟を決めるということは、姉さんがピンク頭を排除することに多少の力添えをすると決めたということなのだろう。見守る愛もある……耐えろ、僕。
「私はアル様が廊下を通るのをず~っと待ってたのに!!」
「……………………」
今、アルベルトが廊下を通るのをずっと待っていたと言ったのか?あのピンク頭はそれが何を意味するのか全く理解していない様だけれど……ルナが姉さんに頼まれたのは…言質を取ること…かな?
「アンタがアル様が廊下を通らないように仕組んだんでしょう!?分かってるんだからね!!そんな事しても無駄!!最後は私とアル様が結ばれるのは運命で決まってるんだから!!」
僕は姉さんの方に視線を向けた。……ピンク頭に警告する気は欠片もないけれど、今の言葉で姉さんの君に対する敵意が頂点に達したようだ。僕のルナは頂点にまでは達していなかったから、突発的な殺人未遂で済んだけれど、君も殺人未遂で済めば良かったのにね?
「アンタのせいでアル様との大事なイベントが一つ無くなったのよ!?どう責任取ってくれるのよ!!」
また【イベント】か、意味の分からない理由でルナを責めるのは変わらないな。ルナの瞳の色が冷たくなった事に気が付きもしないのなら、黙っていた方が賢明だと思うけれど、もう遅い……かな?
「……貴女、殿下がお通りになる道をご存知でしたの?」
「当然でしょう!?私がアル様の行動を知らないと思ってるの!?アンタと一緒にしないでよね!!」
「……………………そう」
成る程、姉さんの目的は【言い逃れの出来ない状況で言質を取ること】だったというわけか。姉さんや僕が問いかけた所で、ピンク頭は「アンタには関係ない」としか言わないのだから判断としては正しい。正しいけれどルナの性分を知る僕としては納得いかない。
唯一の救いはルナが「任務完了」みたいな瞳をしていることかな?
「姉さん、次からは僕も混ぜて欲しい」
「あら、宜しくてよ。ルナは迚も頑張ってくれたもの、これ以上は彼女の相手だけで十分よ」
「……ルナには教えられないことでもするのかな?」
「フフッ…………何のことかしら?」
ルナは排除すると決めたら何処までも冷酷になれるけれど、基本は平和主義者だからね……僕や姉さんより遥かに神経を擦り減らしてしまう。僕と姉さんには暇潰しでもルナにとっては違うから。
後は僕に任せて……平穏な学園生活を楽しんでね。
長期休暇の間に何度もルナと一緒に過ごす事が出来たのだから、僕としてはピンク頭の事など……どうでもいい。
長期休暇と言っても僕はアルベルトの側近なのだから、仕事が無いわけでは勿論ない。その合間を最大限に利用してルナとの時間を作り、僕の心を癒やしては仕事に戻る事を繰り返す毎日だけれど、結婚した後の予行練習だと思えば何一つ苦にはならなかった。
始業式の日、入学式同様にピンク頭の姿は見受けられなかったが、特に気に留める事もなく、粛々と始業式を進めていき、後は校長の話だけどなった時……勢いよく講堂の扉が開かれ、ピンク頭が姿を現したと思った瞬間、大きな声でルナに盛大な濡れ衣を着せた。
「ひどーい!ルナリアさん!なんでこんな事するんですか!?」
「…………………………?」
ピンク頭の奇行は今に始まったことではないが、そんな事よりも…たかが子爵令嬢の分際で僕のルナを呼び捨てにしたのか?
僕はルナの傍に駆け寄ろうとしたのだけれど、姉さんに行く手を阻まれて助けに行くことが出来なかった。
「姉さん」
「今は耐えて欲しいの……ごめんなさいね?」
「……………」
何を考えているのかは分からないけれど、僕のルナに良からぬお願い事をしていることは知っている。
僕のルナは基本的に何事も無ければそれでいいと考える平和主義者ではあるけれど、一度でも排除するべき対象だと判断した相手には何処までも冷酷になれる人……そんな所も可愛いけれど。
「酷いです!謝ってください!」
「………何が酷いのかお聞きしても宜しいかしら?」
「そんなの!言わなくても分かるでしょう!?」
「……………………」
分かるわけが無いよね。何を言っているんだろうね、あのピンク頭は。尤も…それより問題なのは、僕のルナが受け答えをしているという事実の方なのだけれど、姉さんが僕を止めた理由が其処に隠されている気がしてならない。僕も混ぜて欲しかった。
「アンタのせいで遅刻したんだからね!」
「………………………………」
何故ピンク頭の遅刻が僕のルナの責任になるのかと問いたい所だけれど、逃げ出したい衝動を我慢しているルナの覚悟を無駄にするわけにもいかない。それに…ルナが其処までの覚悟を決めるということは、姉さんがピンク頭を排除することに多少の力添えをすると決めたということなのだろう。見守る愛もある……耐えろ、僕。
「私はアル様が廊下を通るのをず~っと待ってたのに!!」
「……………………」
今、アルベルトが廊下を通るのをずっと待っていたと言ったのか?あのピンク頭はそれが何を意味するのか全く理解していない様だけれど……ルナが姉さんに頼まれたのは…言質を取ること…かな?
「アンタがアル様が廊下を通らないように仕組んだんでしょう!?分かってるんだからね!!そんな事しても無駄!!最後は私とアル様が結ばれるのは運命で決まってるんだから!!」
僕は姉さんの方に視線を向けた。……ピンク頭に警告する気は欠片もないけれど、今の言葉で姉さんの君に対する敵意が頂点に達したようだ。僕のルナは頂点にまでは達していなかったから、突発的な殺人未遂で済んだけれど、君も殺人未遂で済めば良かったのにね?
「アンタのせいでアル様との大事なイベントが一つ無くなったのよ!?どう責任取ってくれるのよ!!」
また【イベント】か、意味の分からない理由でルナを責めるのは変わらないな。ルナの瞳の色が冷たくなった事に気が付きもしないのなら、黙っていた方が賢明だと思うけれど、もう遅い……かな?
「……貴女、殿下がお通りになる道をご存知でしたの?」
「当然でしょう!?私がアル様の行動を知らないと思ってるの!?アンタと一緒にしないでよね!!」
「……………………そう」
成る程、姉さんの目的は【言い逃れの出来ない状況で言質を取ること】だったというわけか。姉さんや僕が問いかけた所で、ピンク頭は「アンタには関係ない」としか言わないのだから判断としては正しい。正しいけれどルナの性分を知る僕としては納得いかない。
唯一の救いはルナが「任務完了」みたいな瞳をしていることかな?
「姉さん、次からは僕も混ぜて欲しい」
「あら、宜しくてよ。ルナは迚も頑張ってくれたもの、これ以上は彼女の相手だけで十分よ」
「……ルナには教えられないことでもするのかな?」
「フフッ…………何のことかしら?」
ルナは排除すると決めたら何処までも冷酷になれるけれど、基本は平和主義者だからね……僕や姉さんより遥かに神経を擦り減らしてしまう。僕と姉さんには暇潰しでもルナにとっては違うから。
後は僕に任せて……平穏な学園生活を楽しんでね。
54
あなたにおすすめの小説
幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい
ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26)
鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。
狭い個室にはメイド服がかかっている。
とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。
「この顔……どこか見覚えが……」
幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。
名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー)
没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。
原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。
「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」
幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。
病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。
エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18)
全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。
タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる