【完結】前提が間違っています

蛇姫

文字の大きさ
40 / 95
転生悪役令嬢は乙女ゲームをしたことがない

私の地雷

しおりを挟む
 始業式が終わって早一ヶ月。今は全校生徒が中間テストに備えて猛勉強や予習をしている時期なのだけれど、何故かピンク頭は私の食事の時間を邪魔するばかりで一向に食事を摂ろうとしない。
 貴女以外の下位貴族の皆様は、物凄い速度で食事をして北棟に帰っていかれるようだけれど……貴女はいいの?
 中間テストで入学から卒業するまで上位に入り続けることは、高位貴族が婿や嫁となる者に求める最低条件なのだけれど、貴女は高位貴族以上の殿方を狙っていたのではなかったの?
 それが狙いではなくても、上位に名を連ねると言うことは、今なら王族や高位貴族に名前を知って貰える最大の好機。
 家督を継ぐにしても、継がないにしても、次代を担う者が集う今年からの三年間は「上位に名を残すだけで意味がある」というのに…家の事を全く考えていない貴族がいるとはね。
 ………彼女は貴族ではないのでしたね。忘れておりました。

「アンタのせいでルイ様に勉強を教えて貰えないじゃない!!」
「……………………」

(ルイ様って誰だよ、また違う人の愛称か!)

 愛称が「ルイ」の生徒会書記なら知っているけれど、あくまでも愛称なのだから別のルイがいるのかも知れない。それにピンク頭が婚約者でも家族でもない異性の愛称を叫ぶのはこれで三度目。
 流石に慣れたのか誰も指摘はしないけれど、自分や自分の婚約者の愛称が「ルイ」の生徒は、黙ったまま全員揃って席を立つので非常に分かりやすい………意外と多いな、ルイ。

「愛し合う二人を引き裂くなんて悪いとは思わないの!?」
「……………………………」

(愛し合う二人?えっ……誰と誰が?)

 待って、思考が追いつかない。始業式の時には「私とアル様が結ばれるのは運命で決まってる」とか言っていなかった?
 そうでなくても、貴女にとって私は【悪役令嬢】なのでしょう?
それなら別に何の問題にもならないと思います。
 …………大して深くもない仲を引き裂くだけで良いのなら、私は何もしなくても貴女にとっての悪役令嬢になるのでしょうね。
 それならそれで構いません。
 ですが、貴女の入学からこれまでの成績は学園史上最悪なものであると聞き及んでおりますので、勉学に勤しまれては如何でしょう?
 留年したいと言うのであれば止めませんし、成績が悪すぎて退学したいと言うのであれば、私としましては大歓迎ですのでご自由に。

「アンタは私と皆が幸せになる為の踏み台にしかなれないの!分かった!?いい加減にしないとコッチにも考えがあるんだからね!!分かったらシナリオ通りにしなさいよ!!」

 貴女の今の発言は、当然ヴォルフ様にご相談させて頂きます。
 シナリオだか何だか知らないけれど、此処(食堂)で公爵令嬢を子爵令嬢が脅迫した事実は、明日には総ての貴族家……いえ、貴女の家を除く総ての貴族家と商家の知る所となるでしょう。
 貴女の行動で息子の将来が閉ざされた商家の会長が、私の所に謝罪に来た時には(コミュ症的に大いに)焦ったけれど、御子息も自分の非を認め、心から謝罪してくださったので、赦すことに致しました。それに……婚約者の女子生徒まで頭を下げにお見えになったのよ?……妃殿下からのお手紙と共に………。

 妃殿下の手紙には「砂漠にだけ咲く美しい花もあるのよ。知っていて?」と記されていただけ。それ以外には何も書かれていない。
 私が勝手に「彼女の愛を貫かせて差し上げて」と解釈しただけ。
 結果的には、子爵家の嫡女である彼女に御子息が惚れ込み、貴女には欠片の関心も示さなくなったとか。
 妃殿下が援護射撃する程の深い愛なら、応援したくなるでしょう?

「聞いてるの!?アンタのせいで皆が離れていったんだからルイ様を此処に連れて来なさいよね!!分かった!?」

 ピンク頭は自分の言いたい事だけ叫ぶと、何かを記した紙を私に投げつけて返事も聞かずに去って行った。
 返事を聞かない……そして、どのルイに渡すのかも聞いていない。つまり、渡さなくてもいいということでは?
 念の為に手紙の中身を確認した結果、ヴォルフ様に判断を仰ぐことにした。………何これ、恐い。


「私を愛するルイ様へ
私に勉強を教えて欲しいの。中央棟の図書室で待ってます。
貴男の愛する私より」

 恐怖の手紙を届ける勇気は私にはありません。
 中身を見た事を正解だったと思う日が来るとは思わなかった。
 ピンク頭の推しって………【乙女ゲーム】のヒロイン?
 ごめんなさい、それ(推しを貶める行為)だけは地雷です。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。 彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。 ループから始まった二周目。 彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。 「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」 「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」 淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。 未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。 これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。 「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」 (※カクヨムにも掲載中です。)

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...