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転生ヒロインは最後まで乙女ゲームだと思っていた
私の誇り(母親視点)
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「ええ………さようなら、子爵令嬢様」
姿も声も私の娘に相違ない。
馬車に轢かれた娘を此処まで運んだのも、医者を手配したのも私。
だから入れ替わることなんて出来るわけがない。
もし……もしも誰かと入れ替わっているのなら、それでもいいの。
何処かで私の娘は元気に今日を生きているということだから。
姿形は何だっていいの。生きているなら……それで良かったのに。
息が止まったあの時に……リリー、貴女は死んでしまったのよね?
それでも……あの子が望むなら、あの子の母になろうと思った。
だけど…あの子が望んだのは子爵令嬢としての人生。
あの子が選んだのなら強制はしない。
ただ一つだけ………リリーと違う選択をしてくれたことには感謝しているのよ。お陰であの子に娘を重ねずに済んだ。
「リリー………私は貴女を誇りに思うわ。合格おめでとう」
リリーとの思い出が………次から次へと溢れ出る。
娘はまだ生きている。私の心に生きている。
そう思わないと生きていけない……娘は私の宝物だから。
あの子に娘の誇りを傷付けさせてなるものか!
行動……言葉遣い……そして突然の演技………。
それら総てが私の娘の……リリーの努力を踏み躙る前に……私が、リリーの死を確定させる。
あの人は養子縁組ではなく、最初から自分の娘だったことにして、あの子を子爵家に連れて帰った。
神殿に急ごう。……本当は娘の死を確定させるなんて嫌。
だけど……リリーが望んでくれたのよ。平民として生き、平民として墓に入るのだと……。私の娘として……。
身体は奪われてしまったけど、心は此処にある。
心を平民として埋葬しよう。身体はあの子にくれてやる。
リリーの価値は……そんなものでは損なわれない。
「……神官様、ご報告がございます」
「如何なさいましたか?」
足が前に進まない……声は出た。頑張れ……頑張れ、私!
「わ……私の娘が馬車に轢かれて亡くなりましたこと、ご報告に参りました。手続きをお願い致します」
「ご遺体はご自宅ですか?」
「いいえ………既に埋葬してしまいました。双子は不吉だとあの人が……子爵様が仰ったので……」
「!!」
「双子の姉は子爵様が、双子の妹は私が引き取り、亡くなった場合には私が引き取った娘は………」
「もう……もう結構でございます。お辛いことを伺ってしまい、誠に申し訳ございませんでした」
「いいえ………いいえ…………」
あの子のことを悪く言えないわね。私の外見はまだ使えたみたい。今はそれが有り難い。何だって利用してやるわ。
リリーの功績も誇りも……あの子には渡さない……絶対に。
「双子ということでしたが、娘さんたちのお名前は?」
「子爵様がお引き取りになった双子の姉はリリア。私が引き取った双子の妹はリリーと言います。お疑いなら学園に問い合わせて頂けませんか?合格者名簿にリリーという名前の平民がいるはずです」
「……問い合わせの結果次第では……お分かりですね?」
「勿論でございます。合格者名簿にリリーの名前が無ければ、大人しく捕まります。……此方でお待ちしても宜しいでしょうか?」
平民になった時、リリーの名前で登録しておいて本当に良かった。
どれだけ資料を調べ尽くしても、私の娘はリリーであり、あの人が登録した名前はリリア。
これで本当にあの子とリリーは別人になる。リリーの合格は残るけど、あの子がリリーの変わりに学園に通うことは出来ない。
暫くしてから…神官様が穏やかな微笑みを浮かべ戻って来た。
「双子であることが確認されましたので、死亡届を受理致します」
その言葉を待っていた。死亡届は受理された……もう、戻れない。
「リリーの合格は………」
「合格した事実と名前は残りますが、リリーさんが座るはずだった席には繰り上げで他の方が………」
「合格の事実と名前が残るのなら……何も言うことはありません」
リリーの誇りは守られた。リリーの努力は奪われない。
あの子が何をしようとも、リリーには関係ない。
私は……母親だから、そうもいかないでしょうけど。
姿も声も私の娘に相違ない。
馬車に轢かれた娘を此処まで運んだのも、医者を手配したのも私。
だから入れ替わることなんて出来るわけがない。
もし……もしも誰かと入れ替わっているのなら、それでもいいの。
何処かで私の娘は元気に今日を生きているということだから。
姿形は何だっていいの。生きているなら……それで良かったのに。
息が止まったあの時に……リリー、貴女は死んでしまったのよね?
それでも……あの子が望むなら、あの子の母になろうと思った。
だけど…あの子が望んだのは子爵令嬢としての人生。
あの子が選んだのなら強制はしない。
ただ一つだけ………リリーと違う選択をしてくれたことには感謝しているのよ。お陰であの子に娘を重ねずに済んだ。
「リリー………私は貴女を誇りに思うわ。合格おめでとう」
リリーとの思い出が………次から次へと溢れ出る。
娘はまだ生きている。私の心に生きている。
そう思わないと生きていけない……娘は私の宝物だから。
あの子に娘の誇りを傷付けさせてなるものか!
行動……言葉遣い……そして突然の演技………。
それら総てが私の娘の……リリーの努力を踏み躙る前に……私が、リリーの死を確定させる。
あの人は養子縁組ではなく、最初から自分の娘だったことにして、あの子を子爵家に連れて帰った。
神殿に急ごう。……本当は娘の死を確定させるなんて嫌。
だけど……リリーが望んでくれたのよ。平民として生き、平民として墓に入るのだと……。私の娘として……。
身体は奪われてしまったけど、心は此処にある。
心を平民として埋葬しよう。身体はあの子にくれてやる。
リリーの価値は……そんなものでは損なわれない。
「……神官様、ご報告がございます」
「如何なさいましたか?」
足が前に進まない……声は出た。頑張れ……頑張れ、私!
「わ……私の娘が馬車に轢かれて亡くなりましたこと、ご報告に参りました。手続きをお願い致します」
「ご遺体はご自宅ですか?」
「いいえ………既に埋葬してしまいました。双子は不吉だとあの人が……子爵様が仰ったので……」
「!!」
「双子の姉は子爵様が、双子の妹は私が引き取り、亡くなった場合には私が引き取った娘は………」
「もう……もう結構でございます。お辛いことを伺ってしまい、誠に申し訳ございませんでした」
「いいえ………いいえ…………」
あの子のことを悪く言えないわね。私の外見はまだ使えたみたい。今はそれが有り難い。何だって利用してやるわ。
リリーの功績も誇りも……あの子には渡さない……絶対に。
「双子ということでしたが、娘さんたちのお名前は?」
「子爵様がお引き取りになった双子の姉はリリア。私が引き取った双子の妹はリリーと言います。お疑いなら学園に問い合わせて頂けませんか?合格者名簿にリリーという名前の平民がいるはずです」
「……問い合わせの結果次第では……お分かりですね?」
「勿論でございます。合格者名簿にリリーの名前が無ければ、大人しく捕まります。……此方でお待ちしても宜しいでしょうか?」
平民になった時、リリーの名前で登録しておいて本当に良かった。
どれだけ資料を調べ尽くしても、私の娘はリリーであり、あの人が登録した名前はリリア。
これで本当にあの子とリリーは別人になる。リリーの合格は残るけど、あの子がリリーの変わりに学園に通うことは出来ない。
暫くしてから…神官様が穏やかな微笑みを浮かべ戻って来た。
「双子であることが確認されましたので、死亡届を受理致します」
その言葉を待っていた。死亡届は受理された……もう、戻れない。
「リリーの合格は………」
「合格した事実と名前は残りますが、リリーさんが座るはずだった席には繰り上げで他の方が………」
「合格の事実と名前が残るのなら……何も言うことはありません」
リリーの誇りは守られた。リリーの努力は奪われない。
あの子が何をしようとも、リリーには関係ない。
私は……母親だから、そうもいかないでしょうけど。
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