【完結】前提が間違っています

蛇姫

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転生ヒロインは最後まで乙女ゲームだと思っていた

運命の日

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 今日は【乙女ゲーム】のチュートリアル(入学式)の日。悪役令嬢の顔は思い出せたので良いとして、此処で選択肢があるのよね。
 私が選ぶのは当然、一番身分の高いアル様だから……講堂に遅刻して入っていけば良いんだと思うけど、その先の台詞…何だっけ?
 まあ……悪役令嬢も入学してくるんだから、何とかなるとは思うけど、悪役令嬢の顔と名前って何だったけ?
 公爵令嬢だって事は分かってるんだから、同学年で公爵令嬢がいたら、その女がアル様の婚約者で間違いない。
 
 講堂に全校生徒と教師が入っていくのを確認してから、扉の隙間から様子を見て、ヒロインが中に入るシーンになるまで待った。
 丁度アル様の話が終わった瞬間、私は完璧なタイミングで扉を開いて中に入り、この中にいるであろう悪役令嬢に届くくらい大きな声で叫んだ。

「ごめんなさーい!遅れましたー!」

 完璧すぎるタイミングだと思うんだけど、一向に悪役令嬢が出てこない。どういうこと?
 講堂で悪役令嬢がヒロインに何か言わないと【乙女ゲーム】のチュートリアルが始まらないんだけど!?

「……………新入生代表アルベルト・ルミエル・フォックス」

 アル様の挨拶が終わったら、アル様が壇上から駆け下りてきて、私と運命の出会いをするシーンが無くなるじゃない!
 
(それとも壇上から既に私に一目惚れしてるとか?)

 そういうことなら悪役令嬢が姿を見せない理由にも納得がいく。
 だってアル様は既に私に一目惚れしてるんだから、チュートリアルは必要ないってことよね?
 それに……私が入ってきたとき、私を見て固まっていたことにも説明がつく。私に見惚れてたのよ!
 私はモブ教師共に席に誘導されたけど、私の席はアル様の隣の筈なのに、モブ共と同じ列の隅に座らされた。
 抗議しようとした所で、モブ学園長の長い話が始まって、モブ教師共が何処かに行ったせいで、席を変えてもらえなかった。
 
 入学式が終わって帰り支度を済ませた私は、この後の【乙女ゲーム】の展開を思い出し、南棟の馬車乗り場に急いだ。
 この後、アル様は暫く生徒会室にいるんだけど、道に迷って此処まで来てしまった私を、家まで送り届けてくれるシーンがあったのよね。それが本当の出会いのシーン。
 講堂はチュートリアルだから、台詞は自動で流れて記憶に残ってないけど、ここからは完璧に記憶してる。

「何をしている!!」

(何で護衛みたいなのがいるのよ!?)

「あの~道に迷ってしまって、ここの馬車乗り場を……」
「……ここは南棟だ。下位貴族は北棟の馬車乗り場を使え」

 何の為に此処まで来たと思ってるのよ!北棟の馬車乗り場をアル様は使わないでしょ?…だから此処まで来てあげたんじゃない!

「アル様と私は講堂で運命の出会いを果たしたの。それで相思相愛になって……私が王妃になるの。分かる?そういう運命なのよ」

 私とアル様の邪魔をしようとしているモブ男に、優しい私は説明をしてあげた。私は未来の王妃になることが決まってるんだから、これ以上は不敬罪とかになると思うけどいいのってね。

「殿下がここにもう少しで来るの。そして私を馬車に乗せて、自宅まで送ってくれるのよ?だから此処にいる権利が私にはあるの」

 護衛の人の顔が怖くなっていくのが分かる。私が未来の王妃だと分かって、自分が誰に喧嘩を売ってしまったのか理解したんでしょうけど、もう遅いわよ。
 暫くして足音がしたから、アル様が来たんだと思って満面の笑顔で出迎えてあげたのに、モブ教師共だった。
 私を拘束して無理やり北棟に連れてくるなんて最低!
 これでアル様は私と帰れなくなったじゃない!

「私にこんな事したってアル様が知ったら、アンタたちなんか直ぐに処刑にするんだから!死にたくなかったら離しなさいよ!」

 モブ教師共は黙ったまま私を馬車に放り込んで、私の意見を全部無視して帰宅の命令を勝手に出した。
 私に一目惚れしたアル様に怒られればいいのよ!
 そうなってから謝ってきたって許してやらないんだからね!

 私を強制的に帰したモブ教師共がどうなったかは知らないけど、ヒロインを強制的に帰らせるシーンなんて無かったんだから、あのモブ教師共は終わったわね。
 そんな事を考えながら、その日は大人しく帰宅したんだけど、南棟に入れなくなるなんて思ってもいなかった。

 嘘でしょ……シナリオの大半は南棟で発生するのに、シナリオもイベントも全然進まなくなるじゃない。
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