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転生ヒロインは最後まで乙女ゲームだと思っていた
氷姫(第三者視点)
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リリアちゃんは……ローウェン子爵令嬢は、ドラグーン公爵令嬢の婚約者と親しくなったから、嫉妬したドラグーン公爵令嬢に虐められたのだと言っていた。
けど、蓋を開けてみれば、そもそも面識が全く無かった。
ローウェン子爵令嬢が俺達に見せていた、ドラグーン公爵令嬢に対する怯えた瞳も、怯えた表情や仕草も全部、嘘だったとは思いたくなかった。それでも認めざるを得ない。
何故ならローウェン子爵令嬢は、親しいはずの相手の顔も名前も知らなかったのだ。「貴男には関係ない」と平気な顔で口にしたことが何よりの証拠だ。
俺が、公爵令嬢を陥れようとしたと思われても仕方ない状況だった。何の罪も無い公爵令嬢を、たかが男爵令息に過ぎない俺が、理解不能な言い掛かりで糾弾したのだ。
氷姫の口添えがなければ、俺は……俺達は、今頃どうなっていたか分からない。ローゼンハイム辺境伯令息は、氷姫のお言葉で俺達を見逃してくれたに過ぎない。
北棟への帰り道で、俺達はローウェン子爵令嬢に関する情報を擦り合わせることにした。
「……ローウェン子爵令嬢のことなんだけど」
「何だよ……思い出したくもねぇ」
「僕も嫌だよ、完全に黒歴史になるって分かってるよね?」
気持ちは痛いほど分かる。絶対に黒歴史になる……というか、既になっている気がする。それでも、今後の俺達のために話し合っておく必要があるんだ。
「お前らはローウェン子爵令嬢になんて言われたんだ?」
「…………公爵令嬢に虐められてるって言ってた」
「僕も同じだよ……公爵令嬢に虐められたって………あれ?」
そうだ、そうなんだよ。俺達は一度も、ドラグーン公爵令嬢と名指ししているローウェン子爵令嬢を見たことが無かったんだ。
俺達が勝手に勘違いしただけで、ローウェン子爵令嬢はドラグーン公爵令嬢の顔も名前も知らなくて、公爵令嬢という肩書だけは知っていた可能性が高い。……在校生には一人しかいないしな。
「俺達……利用されたんじゃないかと思うんだけど」
「は?………誰にだよ」
「決まっているよね……ローウェン子爵令嬢に、だよ」
この学園で虐められたと聞けば、この学園の在校生だと考える。其処で「公爵令嬢に虐められた」と言われれば、一人しか頭に浮かんでこない。………それを利用された。
「俺達みたいな被害者を減らすべきだと思わないか?」
「そりゃあ……思うけどよ」
「僕の友人なら知恵を貸してくれるかも……まだ、僕を友人だと思ってくれているのなら……の話だけれど」
俺達は一縷の望みに賭けることにした。勿論、俺達にも非はあるけど、それでも言葉を選んでる様にしか見えない。
ローウェン子爵令嬢の言葉を聞いて、情報の裏取りもせずに信じ切った奴だけを狙っていた可能性さえある。
見た目に騙される愚か者だと周知している様なもんだけど、それでも言わずにはいられない。
「俺達に見る目がなかったってことだよな」
「…………まあ、そうなるよな」
「だから、黒歴史だって言ったよね……僕」
黒歴史を美化するわけではないが、あの一件から貴族としての自覚を持ち始めた俺達に、暫くしてから婚約者が出来た。
これ迄は家を継がせるには危ういと思われていたようで、実際そうだったんだけど、氷姫の口添えで首の皮一枚を繋げた俺達は、それから必死で勉強した。
その姿を見ていた女子生徒が俺達の今の婚約者だ。彼女たちの淑女の微笑みに毎日のように癒やされている。
そんな日々を送っていた時だった。俺達の訴えに耳を貸さない連中は多かったけど、それでも危機的状況は免れていたのに……よりによって、騎士になりたいと言っていた奴が、無実の公爵令嬢を椅子から引き摺り落として、普通科に異動する事件が起こったのは。
未来を閉ざされた男子生徒達の怒りが、誰に向かっているのかは明白だったけど、氷姫に危害が及ぼないならどうでもいい。
彼らのあの姿は……俺達の姿だったかも知れないのだから。
けど、蓋を開けてみれば、そもそも面識が全く無かった。
ローウェン子爵令嬢が俺達に見せていた、ドラグーン公爵令嬢に対する怯えた瞳も、怯えた表情や仕草も全部、嘘だったとは思いたくなかった。それでも認めざるを得ない。
何故ならローウェン子爵令嬢は、親しいはずの相手の顔も名前も知らなかったのだ。「貴男には関係ない」と平気な顔で口にしたことが何よりの証拠だ。
俺が、公爵令嬢を陥れようとしたと思われても仕方ない状況だった。何の罪も無い公爵令嬢を、たかが男爵令息に過ぎない俺が、理解不能な言い掛かりで糾弾したのだ。
氷姫の口添えがなければ、俺は……俺達は、今頃どうなっていたか分からない。ローゼンハイム辺境伯令息は、氷姫のお言葉で俺達を見逃してくれたに過ぎない。
北棟への帰り道で、俺達はローウェン子爵令嬢に関する情報を擦り合わせることにした。
「……ローウェン子爵令嬢のことなんだけど」
「何だよ……思い出したくもねぇ」
「僕も嫌だよ、完全に黒歴史になるって分かってるよね?」
気持ちは痛いほど分かる。絶対に黒歴史になる……というか、既になっている気がする。それでも、今後の俺達のために話し合っておく必要があるんだ。
「お前らはローウェン子爵令嬢になんて言われたんだ?」
「…………公爵令嬢に虐められてるって言ってた」
「僕も同じだよ……公爵令嬢に虐められたって………あれ?」
そうだ、そうなんだよ。俺達は一度も、ドラグーン公爵令嬢と名指ししているローウェン子爵令嬢を見たことが無かったんだ。
俺達が勝手に勘違いしただけで、ローウェン子爵令嬢はドラグーン公爵令嬢の顔も名前も知らなくて、公爵令嬢という肩書だけは知っていた可能性が高い。……在校生には一人しかいないしな。
「俺達……利用されたんじゃないかと思うんだけど」
「は?………誰にだよ」
「決まっているよね……ローウェン子爵令嬢に、だよ」
この学園で虐められたと聞けば、この学園の在校生だと考える。其処で「公爵令嬢に虐められた」と言われれば、一人しか頭に浮かんでこない。………それを利用された。
「俺達みたいな被害者を減らすべきだと思わないか?」
「そりゃあ……思うけどよ」
「僕の友人なら知恵を貸してくれるかも……まだ、僕を友人だと思ってくれているのなら……の話だけれど」
俺達は一縷の望みに賭けることにした。勿論、俺達にも非はあるけど、それでも言葉を選んでる様にしか見えない。
ローウェン子爵令嬢の言葉を聞いて、情報の裏取りもせずに信じ切った奴だけを狙っていた可能性さえある。
見た目に騙される愚か者だと周知している様なもんだけど、それでも言わずにはいられない。
「俺達に見る目がなかったってことだよな」
「…………まあ、そうなるよな」
「だから、黒歴史だって言ったよね……僕」
黒歴史を美化するわけではないが、あの一件から貴族としての自覚を持ち始めた俺達に、暫くしてから婚約者が出来た。
これ迄は家を継がせるには危ういと思われていたようで、実際そうだったんだけど、氷姫の口添えで首の皮一枚を繋げた俺達は、それから必死で勉強した。
その姿を見ていた女子生徒が俺達の今の婚約者だ。彼女たちの淑女の微笑みに毎日のように癒やされている。
そんな日々を送っていた時だった。俺達の訴えに耳を貸さない連中は多かったけど、それでも危機的状況は免れていたのに……よりによって、騎士になりたいと言っていた奴が、無実の公爵令嬢を椅子から引き摺り落として、普通科に異動する事件が起こったのは。
未来を閉ざされた男子生徒達の怒りが、誰に向かっているのかは明白だったけど、氷姫に危害が及ぼないならどうでもいい。
彼らのあの姿は……俺達の姿だったかも知れないのだから。
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