【完結】前提が間違っています

蛇姫

文字の大きさ
63 / 95
転生ヒロインは最後まで乙女ゲームだと思っていた

ヒロインは…………

しおりを挟む
 漸くアル様がいる【避暑地】に到着した私は、門番に私を中に入れるように言った。なのに「陛下の許可がない者をお通しできません」なんて言うのよ!?
 ゲームの中では入れてたんだから、ヒロインの私が中に入れるのは当然のことでしょう!?
 アル様も他の皆も【アル様の避暑地】にいるのは分かってるんだから、門番にその事を言って入れてもらうことにした。

「通しなさいよ!私はここに来てる皆に用があるの!」
「この先には何方様もご滞在なさっておりません」
「そんな筈ないでしょう!?殿下も皆も此処に滞在してるのは分かってるんだから!早く私を中に入れなさいよ!」

 何で入れてくれないのよ!野宿するための道具なんて持ってきてないわよ!?どうしてくれるのよ!

「中に入れてくれないと此処で野宿することになるのよ!?乙女をこんな所で寝かせてもいいって言うの!?この…………変態!!」

 私はモブ門番に本当のことを叫んだのに、眉一つ動かさない。黙ったまま立ち続けるとか…有り得ないんですけど!?
 私みたいな美少女が野宿してたら危ないんだから、中に入れてくれるくらいの優しさは無いわけ!?

「アンタ!私が襲われたらアンタのせいだからね!」

 私は何度だって忠告してあげる。でも……私はヒロインなんだから、必ず助けくらい来るし、本当は何の問題も無いんだけど。
 だからといって、野宿しないといけないなんて聞いてない!
 何で誰も迎えに来てくれないの?ヒロインの私が此処まで来たんだから、何故か起こらなかった【避暑地イベント】が起こって、ゲーム通りの展開になるのが普通でしょう!?

「私みたいな美少女を見捨てて心が痛まないわけ!?」

 何か答えなさいよ!私が一人で喋ってるみたいじゃない!……もういいわよ!此処で寝るから!
 私は未来の王妃なのよ!?私が王妃になったらアンタなんかクビにしてやるんだから!覚えてなさいよ!

「未来の王妃にこんな事していいと思ってるの!?」

 私は本当のことを言っただけなのに、モブ門番が冷たい目をしながら淡々とした口調で言った。

「……妃殿下はお前のような無作法者ではない」
「もう直ぐ私が妃殿下になるのよ!」

 やっと話したと思ったら、あの女のことを知ってるってわけね。
 だからって私よりあの女が王妃に相応しいなんて有り得ないんだから、だって私はヒロインなのよ?
 ヒロインを押し退けて悪役令嬢が王妃になるなんて……ザマァ小説にはあるらしいけど、私はあんな馬鹿女たちと違って賢いもの。
 リック様ルート以外はよく分からないけど、それでも此処まで来れたのよ?それだけでも天才だと思わない?

「私!此処で寝るから!触らないでよね!」
「…………………………」

 触ったら触ったで大騒ぎしてやるんだから。そうしたら、アンタなんか直ぐに職を失って浮浪者になるのよ!


 脳内お花畑……リリアの行動はそれだったのだろう。
 自分の行動が【乙女ゲームを知らない人間】にどの様に映るのかを考えるべきだった。
 そうしていれば、少なくともルナリアだけは……面倒だと言いながらも、逃げ道を用意してくれたかも知れない。
 だが……もう遅い。
 ルナリアも命は惜しい。そして……リリアを助ける理由もない。

 リリアの道は、この日を境に一本となった。
 無数の未来など存在しない。
 其処に在るのは【王太子妃が用意したヒロインの末路】だけ。
 引き返すチャンスは何度だってあった。引き返さなかったのはリリアの判断。誰の責任かと問われれば、リリアの責任だと誰もが口を揃えて断言することだろう。

 もう一つ………リリアが気が付くべきだったことがある。
 それは、アイリスの愛称と………自分が目を覚ました瞬間に呼ばれた愛称が全く同じである事実。
 これは偶然か……それとも必然か………。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。 彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。 ループから始まった二周目。 彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。 「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」 「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」 淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。 未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。 これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。 「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」 (※カクヨムにも掲載中です。)

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...