【完結】前提が間違っています

蛇姫

文字の大きさ
93 / 95
転生辺境伯令嬢の一途な愛

呪いの手紙?

しおりを挟む
 生徒会室で、アル様にお茶を注いでいた時だった。扉が三回ノックされ、入室の許可を求める……ルナの声が聞こえたのは。

 ルナが食堂で起こった出来事を説明していく内に、間違いなく手紙の受け取り主であろう【ルイ】は、引き攣った笑顔を浮かべながら手紙から遠ざかっていく。
 本来なら、他人宛の恋文を読む様な野暮な真似はしないのだけれど、送り主が送り主なだけに、確認しない訳にはいかない。

「私を愛するルイ様へ
私に勉強を教えて欲しいの。中央棟の図書室で待ってます。
貴男の愛する私より」

(…………呪いの手紙?えっ、本気で恐い)

「ルナ、この【ルイ様】とは明確には誰のことなのか言っていなかった?例えば………名前とか?家名とか?」
「………残念ながら」
「だとすると…愛称なのか、名前なのか判断しづらいね。これまでの傾向を考えると…ルイが愛称である可能性は高いけれど」

 ヴォルフ、見ては駄目よ。既に涙目になりながら「それは俺じゃない、別のルイだ」と呟き続けているのよ?

「待ってくれ!俺にはライラという可愛い婚約者がいるんだ!」

 ほら、ご覧なさい。婚約者への愛の言葉を放ってしまったではないの。もっと場所や時間を考えて欲しかったけれど、ライラが喜んでいるから……いいわよ、何でも。

「安心しろ、ルイ。誰もお前とピンク頭がそういう仲だと疑っている訳では無い。今は可能性の話をしているだけだ」
「申し訳ございません、殿下。取り乱しました」
「良い、此処にいる皆が通る可能性のある道だ」
「…………あっ」
「思い出したか?既に私とウィルはご指名を受けている」

 アル様……そうですわよね、日々の疲れを癒やすために【気まぐれで】立ち寄ろうとした庭園には先回りをされ、買い物をしようとした日に限って、何故か徘徊される恐怖は計り知れません。
 そもそも、庭園は王城内にあったというのに……。

「さて、作戦会議を行う。皆で意見を出し合い、この一件を乗り越えよう。これは国の将来を担う我々に対する試練なのだと心得よ」

 アル様……これを幸いと、例の女を排除なさるおつもりでは?私はアル様が最後を彩りたいと仰せなら、これまで準備してきた総てを溝に捨てられますけれど、どうなさるのかしら?

「……この手紙に関してだが、これには【私を愛するルイ様へ】と記されている。つまり、あのピンク頭を愛している【ルイ】という名前の誰かに宛てた手紙だと解釈することが可能だ」

(成る程、その様な解釈も出来ますわね)

「しかし、我々としても心を込めて書いたであろう手紙を、宛先が分からないからと返却するのは忍びない」

(アル様……楽しそうですわ)

「殿下、私から返却を……」

 ………ルナをヴォルフが然りげ無く連れ去ったわ。過保護ね。

「手紙は、陛下とも共有しておく」

 その呪いの手紙を…これまで静観なさっておられた陛下に?

「それから…念の為に【ルイ】からも話を聞く」

 愛称なのか、名前なのかさえ定かではございませんものね。この世界に魔法は無いけれど、仮に呪いがあったなら、総ての【ルイ】が標的になり得る内容の手紙でしたものね。
 アル様の本気度が伺えますわ。それだけ、休暇を潰されてきた証拠なのですけれど、黒い笑顔も素敵です!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!

みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。 彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。 ループから始まった二周目。 彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。 「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」 「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」 淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。 未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。 これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。 「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」 (※カクヨムにも掲載中です。)

気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

処理中です...