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状況の人、異世界へ転移する
状況の人、竜退治する6
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「火竜様、お身体は大丈夫ですか?」
「おお、大したケガはしとらんよ。だが不意打ちとは言え、いいのを貰ってしもうたわ。そこの妙な装束の娘よ、お主の仕業か?」
「あ、うん。だって今にもシノさんを焼き殺しそうな勢いだったから、つい……」
「シノサン? それは、さっきから我の胸辺りをガン見し続けとる、こやつの名前か?」
――う……
フラッシュライトを自分より前で構えていたので目線は気付かれないであろうと思っていた龍海の目論見は甘かったようだ。
そういや火竜は、星明かりすら届かないこの洞窟内で龍海を追い掛け回せる程の視力を持っているのだからさもありなん。
当人はそれほど気にしては居なさそうだが、代わりに洋子とエミの龍海を見る眼が道に転がっている未消化の草にまみれた馬のクソでも見る様な目付きになった。
だがしかしそれでもいやでも、本能がそれから目を逸らすことを許さなかったのだ。
マカオのカジノ周辺で見られる、無知な観光客を誑し込もうと、その仕草、立ち居振る舞いの全てが性行為を連想させる街娼級に男の本能を鷲掴みにして逃さない、そんなエロオーラを放っているお胸であった。
「うん、まあ、てっきりエミ……だったか? こんな年端も行かぬ少女を生贄に差し出そうなぞ、たわけた事をした村民だとばかり思い込んでな。誤解のようであったな、ケガが無くて何よりぞ。しかし自分で自分の火球を食わされるとは思わなんだわ。おまけに顎への突きはかつて経験した事が無いほど細く、しかし鋭く、かつ強力であった。カウンターとは言え至極効いたぞ。我とした事が立っておられなんだわ、はっはっは」
「ご、ごめんなさい。もう、後先考えられなくて」
「気に病むな。まあ痛い思いはしたが我の勘違いが原因だからの。この顎の一発は不問としようぞ、はっはっは」
豪快に笑う火竜。
その笑い声に合わせて、これまた豪快に揺蕩う火竜のお胸。
場も弁えずそれをチラ見する龍海の口元がだらしなくなっていくのを洋子とエミに見られたら、彼は馬のクソ以下の扱いになるのは避けられまい。
「とにかく何か着ようよ、スッパのままじゃマズいでしょ?」
「う~む、我はどんな体形でもこれもんだがのう。そこのシノサンとやらも嬉しそうに見ておるのに良いのか?」
「シノさん! とにかく何か服を出して! ジャージでもいいから!」
――く! 顔に出るのを止められなかったか!
止むを得ん、とばかりに龍海は(しぶしぶ)イーナに着せていたジャージを取り出した。
洋子は馬のクソからジャージをふんだくる様に受け取ると、いそいそと火竜に着せ始めた。
ただサイズが龍海向けなので、イーナの時はブカブカだったが火竜人型Verだと背丈はジャスト。故にその分、体の線はハッキリ表れてしまう。
太ももや尻はもちろん、豊満な胸も強調されてしまっているし、そちらに生地を持って行かれてしまってどれだけ引っ張ってもおへそが見えてしまう。
下は尻に持って行かれて上げられず、上は胸に持って行かれて下げられない。
やっている内に、洋子はなんだか腹立たしくなってきた。胸近辺を通過する時のファスナーの重い事重い事。
――なんだ、この胸囲の格差社会は!
なんかエミまで羨ましそうに見ているし、意図は違うが龍海以上に注目しとらんか?
「ほう、初めて見る布地だな。実に軽くて動き易い。うむ、動きに合わせて布地が伸び縮みするのか、これは快適」
ジャージの着心地の良さを堪能する火竜。
「そう言えば名乗りがまだであったな? 我が名はカレン。火竜のカレンと申す。見知り置くがよい」
「むほほぉ~! なんじゃこれは! ホントに牛の肉なのかこれは!? 何という柔らかさ! 雑味の無い旨み! 我の食してきた牛は牛の姿をした蟲であったか?」
――蟲も喰った事あんの?
とりあえず誤解が解かれて和解した龍海らとカレンは、奥に戻って火を囲み、これまでの状況を語り合った。
時刻が日付の変わる頃合いでもあって夜食でも取りながらと言う事で、交戦前に出たバイソンの話から、火竜は肉を所望して来たので龍海が今まで触れた中で一番高級なA5級のサーロインを再現して皆に振る舞った。
「おまけにこのビールと言う酒! 肉との相性が抜群よの! これは食が進むどころか止まる気がせんな!」
サーロインとは言うものの炭火でじっくりなんてやり方では無く、焚火で焼き肉のタレを付けて焼いているので、ワインよりビールの方が確かに合うかもだ。
「ホントに美味しいです! それにこのソース、と言うかタレですか? すっごく香ばしいです! まるでお貴族様の食事みたいな!」
人身御供から解放され、食欲も出てきたエミも和牛の旨みに随分と感動しているようだ。
「そこまで大層なモノじゃないんだけど……エミちゃんたちはお肉の味付けってどんな風にしてるの?」
「普通は塩です。あ、一度族長さんが街で買ってきたスパイスを分けてくれたことがありまして。あれも美味しかったけど、このソースはもっと美味しいです!」
「喜んでもらえりゃ何より! いっぱい食べてくれよな!」
と、美味な肉に舌鼓を打ち、お腹も心もほぐれた4人はこれまでの状況について話し始めた。
龍海らが最も解せなかったのは、贄にされたエミに同情するのに、なぜ村に火球を打ち込んだのか? その辺りである。
で、カレンより明かされた真実は、彼女を除く三人の顎が力無くカクンと下がってしまう、そんな理由であった。
「おお、大したケガはしとらんよ。だが不意打ちとは言え、いいのを貰ってしもうたわ。そこの妙な装束の娘よ、お主の仕業か?」
「あ、うん。だって今にもシノさんを焼き殺しそうな勢いだったから、つい……」
「シノサン? それは、さっきから我の胸辺りをガン見し続けとる、こやつの名前か?」
――う……
フラッシュライトを自分より前で構えていたので目線は気付かれないであろうと思っていた龍海の目論見は甘かったようだ。
そういや火竜は、星明かりすら届かないこの洞窟内で龍海を追い掛け回せる程の視力を持っているのだからさもありなん。
当人はそれほど気にしては居なさそうだが、代わりに洋子とエミの龍海を見る眼が道に転がっている未消化の草にまみれた馬のクソでも見る様な目付きになった。
だがしかしそれでもいやでも、本能がそれから目を逸らすことを許さなかったのだ。
マカオのカジノ周辺で見られる、無知な観光客を誑し込もうと、その仕草、立ち居振る舞いの全てが性行為を連想させる街娼級に男の本能を鷲掴みにして逃さない、そんなエロオーラを放っているお胸であった。
「うん、まあ、てっきりエミ……だったか? こんな年端も行かぬ少女を生贄に差し出そうなぞ、たわけた事をした村民だとばかり思い込んでな。誤解のようであったな、ケガが無くて何よりぞ。しかし自分で自分の火球を食わされるとは思わなんだわ。おまけに顎への突きはかつて経験した事が無いほど細く、しかし鋭く、かつ強力であった。カウンターとは言え至極効いたぞ。我とした事が立っておられなんだわ、はっはっは」
「ご、ごめんなさい。もう、後先考えられなくて」
「気に病むな。まあ痛い思いはしたが我の勘違いが原因だからの。この顎の一発は不問としようぞ、はっはっは」
豪快に笑う火竜。
その笑い声に合わせて、これまた豪快に揺蕩う火竜のお胸。
場も弁えずそれをチラ見する龍海の口元がだらしなくなっていくのを洋子とエミに見られたら、彼は馬のクソ以下の扱いになるのは避けられまい。
「とにかく何か着ようよ、スッパのままじゃマズいでしょ?」
「う~む、我はどんな体形でもこれもんだがのう。そこのシノサンとやらも嬉しそうに見ておるのに良いのか?」
「シノさん! とにかく何か服を出して! ジャージでもいいから!」
――く! 顔に出るのを止められなかったか!
止むを得ん、とばかりに龍海は(しぶしぶ)イーナに着せていたジャージを取り出した。
洋子は馬のクソからジャージをふんだくる様に受け取ると、いそいそと火竜に着せ始めた。
ただサイズが龍海向けなので、イーナの時はブカブカだったが火竜人型Verだと背丈はジャスト。故にその分、体の線はハッキリ表れてしまう。
太ももや尻はもちろん、豊満な胸も強調されてしまっているし、そちらに生地を持って行かれてしまってどれだけ引っ張ってもおへそが見えてしまう。
下は尻に持って行かれて上げられず、上は胸に持って行かれて下げられない。
やっている内に、洋子はなんだか腹立たしくなってきた。胸近辺を通過する時のファスナーの重い事重い事。
――なんだ、この胸囲の格差社会は!
なんかエミまで羨ましそうに見ているし、意図は違うが龍海以上に注目しとらんか?
「ほう、初めて見る布地だな。実に軽くて動き易い。うむ、動きに合わせて布地が伸び縮みするのか、これは快適」
ジャージの着心地の良さを堪能する火竜。
「そう言えば名乗りがまだであったな? 我が名はカレン。火竜のカレンと申す。見知り置くがよい」
「むほほぉ~! なんじゃこれは! ホントに牛の肉なのかこれは!? 何という柔らかさ! 雑味の無い旨み! 我の食してきた牛は牛の姿をした蟲であったか?」
――蟲も喰った事あんの?
とりあえず誤解が解かれて和解した龍海らとカレンは、奥に戻って火を囲み、これまでの状況を語り合った。
時刻が日付の変わる頃合いでもあって夜食でも取りながらと言う事で、交戦前に出たバイソンの話から、火竜は肉を所望して来たので龍海が今まで触れた中で一番高級なA5級のサーロインを再現して皆に振る舞った。
「おまけにこのビールと言う酒! 肉との相性が抜群よの! これは食が進むどころか止まる気がせんな!」
サーロインとは言うものの炭火でじっくりなんてやり方では無く、焚火で焼き肉のタレを付けて焼いているので、ワインよりビールの方が確かに合うかもだ。
「ホントに美味しいです! それにこのソース、と言うかタレですか? すっごく香ばしいです! まるでお貴族様の食事みたいな!」
人身御供から解放され、食欲も出てきたエミも和牛の旨みに随分と感動しているようだ。
「そこまで大層なモノじゃないんだけど……エミちゃんたちはお肉の味付けってどんな風にしてるの?」
「普通は塩です。あ、一度族長さんが街で買ってきたスパイスを分けてくれたことがありまして。あれも美味しかったけど、このソースはもっと美味しいです!」
「喜んでもらえりゃ何より! いっぱい食べてくれよな!」
と、美味な肉に舌鼓を打ち、お腹も心もほぐれた4人はこれまでの状況について話し始めた。
龍海らが最も解せなかったのは、贄にされたエミに同情するのに、なぜ村に火球を打ち込んだのか? その辺りである。
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