状況の人、異世界で無敵勇者(ゲームチェンジャー)を目指す!―加筆修正版―

三〇八

文字の大きさ
37 / 197
状況の人、異世界へ転移する

状況の人、竜退治する7

しおりを挟む
「……寝ぼけて、た?」
「うむ。恥ずかしい話、我は寝相が悪くての。特に夢など見ておると、夢の中と同じように体を動かしてしまう事もザラでな。獲物に火球を放つ夢だと実際に火球を撃ってしまう事も多くてのう」
「その寝ぼけて撃った火球が、たまさか村に落っこちてきたってのか?」
「まあ、上を向いて撃ち出した火球がいくつか届いてしまったのであろうなぁ。正直スマンかった」
「火球ってそんなに飛ぶの?」
「飛ぶだけなら10kmは飛ぶかの? まあ狙えるのは2kmか3kmくらいだの」
 ――戦車砲並みかよ……
 陸自在隊中、龍海は装軌車整備の資格を持っていたが、その講習時に「戦車砲の精度は2km先のドラム缶に百発百中で当てられないと失格だ」と教えられた事がある。
 故にその精度を維持するため、砲身にぶら下がるなどはもちろん、腰をかけるだけでも叱責の対象であった。
 しかし火竜の火球は長い砲身も持たずにそれほどの精度を出せると言うのは、やはり魔力か何かで制御しているのかもしれないなとも思う。
 もしもそうであれば、洋子や自分にも応用できないモノだろうか? 
 今後、検討すべき課題と言えそうだ。
 で、話を戻して。
「迷惑な話だなぁ」
「我も治したいとは思っておるのだ。放った火球が岩肌で跳ね返って我の顔に当たって飛び起きる事も珍しくなくてのう。何者かの襲撃かと思って乱れ撃ちする事も……」
「もしかして、そういう時も何発か村に届いたと?」
「可能性は否定できん。しかし村まで距離がある故、爆発等は無かったのではないか?」
「でも焼夷弾程度の威力は有ったんじゃね?」
「ショーイダン? なんぞ、それ?」
「とにかく家や畑が燃えて……三軒隣りのマシューさんは大やけどで一月くらい寝て過ごしてましたし」
 エミの証言で、龍海と洋子は寝ぼすけ火竜にジト目攻撃を敢行。
「あ、いや。申し訳ない。だが、人死には無かったようで幸いだったの」
 カレンさん、頬っぺたポリポリ。
「まあとにかく、イーナさんの依頼も達成出来そうでそれは喜ぶべき事よね。でも何で生贄を差し出すなんて悪習が伝わったのかしらね? あなた何か知ってる? あなたの仲間かなんかがやらかしたとか?」
「う~む」
 洋子の問いにしばし考え込むカレン。
 やがて、はっ! と目を見開き、
「思い出した! 恐らくそれも我の事だ!」
と答えた。
「え? やっぱりあなたの事なの?」
「そういやさっき、女はクドくて不味いとか言ってたな? その時の生贄は食ったのか!?」
「違う! 人を食ったのはもう何百年も前の話だ! 我を駆逐しようと挑みかかって来た連中を噛み殺してそのまま飲み込んでしまっただけよ! 食えん事は無いが我はやっぱり牛系が好みなのだ!」
「んじゃ、その時の娘は?」
「そのまま帰したはずだがのう? そこは伝わっておらなんだか?」
「でも伝承には、それでもう火球は来なくなったって語り部が……」
「いや、その時はここいらの森林バイソンを粗方あらかた食ってしまったんでな。また増えるまで餌場を変えようと別の場所へ移った故、そう思い込まれてしもうたかの?」
「ただの偶然~? なんなのよ、もう」
「となると、この先どうするかな? このままあんたが居座ると、また火球を飛ばしかねんのだろう?」
「そうだのう。森林バイソンの個体数にはまだまだ余裕はあるのだが……そう言う事なら餌場を変えるとしようかのぅ。またぞろ村に火球を飛ばしてしもて、こんなかわいい狐っ娘に火傷を負わせては可愛そうだからな」
 と言いつつエミの頭をなでるカレン。エミちゃん思わずにっこり。
「そっか。なら火球の件も解決だな。あとはエミちゃんにちょっと口裏を合わせてもらう事になるが」
「え? どうして、シノさん? これで終わりなんじゃ?」
「俺と洋子の事は黙っててもらわなくちゃいかんだろう。イーナさんは村に黙って俺たちに依頼したんだ。勝手な行動をとった彼女に咎めがあるかもしれんよ?」
「あ、そうか。イーナさんは村の決まりを破った事になるんだったよね」
「なんかややこしそうだな? まあとにかく我とタツミ、ヨウコはここからさっさと退散した方がよいのか……ん?」
 話し途中で火竜が洞窟の入り口方向に視線を移した。
「……何人かが道を登って来ておるようだな? 麓で様子を窺っていたか?」
「わかるのか? 索敵スキルか何かか?」
「ああ、人型の時は視界が悪くてな、必ず使う様にしておる。4人、いや5~6人か」
 龍海も索敵+は起動していたが人数はもちろん、何かの気配すら感じることは出来なかった。竜の索敵能力は斯様に優れているのか?
 迷彩魔法を使っていたとはいえ、よく接近できたものだと思う。
「ここへ来る気かしら?」
「火球が何発も爆発したし、M82バレットの銃声も聞こえただろうしな。どうしたもんかな?」
 眉間にしわを寄せて考え込む龍海。
 麓からの視点で考えれば、炸裂する銃声や火球の音・光は、伝承の範囲外の現象であったであろう事は想像に難くない。
 何が起こったか、確認しようとはするだろうが確かめに来るにしてもカレンが飛び去るか、夜が明けてもっと視界が良くなってからかと踏んでいた。
 故に夜食に焼き肉などと呑気に構えていたのだが……さて、どう帳尻を合わせるか?
 と、思案していたところへ、
「深く考える事もあるまい。考えさせる役は連中に押し付けよう」
とのカレンの意見に、龍海も洋子も頭の上に?マークが浮かんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。 魔法が使えるようになった人類。 侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。 カクヨム公開中。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...