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状況の人、異世界へ転移する
状況の人、新たなる旅立ち4
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言われた洋子は彼女の戦闘力にちょっと感嘆した。
洋子としては初めて遭遇する鳥の魔獣ラプター。些か面食らってしまったが、イーミュウは槍先を着けられなかったものの怯むことなく対峙して後退させたところは「お役に立ちます!」と言うだけの事はあるかと妙に得心。
おかげでラプターの挙動を知る事が出来たし、今、担いでいる散弾銃が最適の武器であることも判断できた。
「ん、ありがと。あとは任せて」
洋子はM500のフォアグリップをポンプし、初弾を薬室に叩きこんだ。
「危険です! ラプターの爪は人の首など一撃でもぎ取ります! 私が盾になりますから馬車へお戻りを!」
「だ~いじょう~ぶ!」
仕切り直したラプターは再び急降下を開始した。構える洋子。
「ヨウコ様! こちらへ……わっ!」
洋子の盾になろうとするイーミュウの口から小さな悲鳴が漏れる。
龍海が彼女の腕を引っ張り岩陰に寄せさせたのだ。
「まあ見てな」
先ほどのラプターがグイグイ洋子に迫って来る。次いで上空で旋回して様子を窺っていた4頭中、2頭も降下を開始した。
1頭なら先ほどのようにイーミュー1人でも追い払えただろうが、複数であれば龍海たちの出番だ。
「シノさん、2頭目お願~い」
迫り来るラプターを前に、洋子は余裕綽々であった。
ラプターはラプターで、先ほどの接敵時の動きを見てもイーミュウが行った槍や剣、弓矢などの攻撃は知っていると考えてよい。
だが見る限り洋子の持つ得物はただの杖。だとすれば……。
――さっきと同じ間合いまでは近づいてくる……
距離20m。ラプターは体勢を変え、イーミュウ曰く首を一撃でもぎ取る脚爪を全開にして攻撃してきた。
翼を広げてバランスを取りながら脚爪を前方に突き出す攻撃スタイル。そんな状況、洋子の得物の前にはカモが葱背負ってくるどころではない。
――ご馳走様
洋子は引鉄を引いた。
ドォン!
彼奴との距離は約15m、ペレットの拡散パターンは40~50cm。
パアァン!
OOバック弾の9個のペレットほぼ全弾を全身に喰らったラプターは一気に失速、そのまま首から大地に激突して即死した。
バアァァン!
続いて龍海のM500も火を噴く。
バシッ!
被弾して翼から羽が飛び散る2頭目のラプター。身体にはあまり被弾しなかったらしいが多くの羽をもぎ取られ、派手にバランスを崩す。
それでも懸命に藻掻いて体勢を整えようとする。が、
バアァァン!
2発目を喰らい、これまた失速、落下していく。
3頭目はさすがに身の危険を察知したらしく反転して上昇に転じた。しかし、
バアン! ジャカ! バアァァン!
それを読んだ洋子が2連射。
距離はあったがペレットには肉に食い込むほどの威力が残っていた。
翼のあちこちにも穴を空けられ、これも2頭を追う様に墜落する。
バァン! シャカ! ドバァン!
間髪おかず龍海の銃が2連射された。
上空で滞空中の2頭にも散弾が放たれたのだ。
ギギャアー!
いくつかは被弾したらしい、龍海と洋子は初めてラプターの鳴き声を聞いた。
2頭のうち1頭はバランスを崩しはしたが必死に羽ばたいて体勢を立て直し、もう1頭と共にこの空域から逃げ出した。
「お見事、洋子」
「シノさんも。散弾はピッタリだったけど、威力が心許ないかなぁと思ったんだけどね」
「確かに。バードショットだともっと当たるかもだが威力がなぁ。結構ごつい奴だし、OOバックで正解だったな」
お互いをねぎらい合う二人。
対してイーミュウの方は初めて見る銃火器の威力に見開いた目が、まだ収まらないご様子。
「イーミュウ?」
ロイが声を掛けた。
イーミュウは目を開いたまま、ゆっくり、ゆ~っくり首をロイに向けた。
「わかったろ? サイガ卿方は、あのラプターをいとも簡単に屠るほどの方々なんだ。キツイ言い方だけど、君の出る幕は無いんだよ」
「……」
「ね? ここは大人しくアープに戻って……」
「ステキ!」
「はいぃ!?」
目を輝かせて感激の声を上げるイーミュウ。そんな彼女を見て、ロイの眉間にしわが寄った。
龍海に洋子はもちろん、カレンの眉間までも歪んでしもた。
「すばらしい! すばらしいわ! さすが国の未来を託された勇者様ですわ、あのラプターをこれほど容易く仕留めるなど! あれはやはり爆裂魔法ですか!? 火球魔法なら火球が飛んで行きますけど、そんなの見えてませんでしたもの! いきなりラプターのお腹が吹き飛ぶとか、もしかして魔獣の内部で炸裂させたのでしょうか!?」
呆ける4人を無視してイーミュウは感嘆しまくった。喋りまくった。称えまくった。
「いや、これは魔法って言う訳じゃ無くて、銃って言う道具……」
と龍海が落ち着かせるように説明するが、
「異世界の魔法ですか!? あ、魔道具ですかしら! いずれにしても是非ともご教授願わないと!」
てな感じで、まさに興奮冷めやらぬご様子。
「落ち着いてってばイーミュウ!」
「ロイも知ってるでしょ!? あのラプターの悪さは、この界隈の悩みどころだって事! 飛び回るし俊敏で弓も当てにくいし、遭遇したら餌をばらまいて喰らってる内に逃げるってのが定番だったじゃない! アレを仕留めるなんて軍の、火球の乱れ撃ちが出来る高位魔導士くらいなものよ! もしヨウコ様方の退治法を伝授していただければ、街道の安全度は飛躍的に跳ね上がるわ!」
龍海たちは荒野や国境の森周辺あたりから北上していたのでラプターとは出くわさなかったが、こちらでは珍しいことでは無いらしい。
餌をばら撒いてそのスキに逃亡と言う方法が一般的なら、確かに人間の多い街道沿いの方がラプターも確実に餌にありつけると言うものか? 逆に招き寄せている気も?
それはさておき、目の当たりにしたラプターの撃退法。それをすぐに領民の安全や商活動に結び付けて思考するなど、さすが領主の一族たるの面目躍如だな、と龍海ちょいと感嘆。領民思いだというロイの評価にも納得。
「あ~、魔獣退治の話もいいのだが昼飯はどうするのだ? 我は大変、空腹なのだがのう?」
カレンが話を割った。
なるほど、元々ここで馬車を止めたのは昼食を取るためであった。
イーミュウの密航とラプターの襲撃ですっかり忘れていた。
というわけで話は飯を食いながら――で同意して、まずは腹ごしらえと相成った。
洋子としては初めて遭遇する鳥の魔獣ラプター。些か面食らってしまったが、イーミュウは槍先を着けられなかったものの怯むことなく対峙して後退させたところは「お役に立ちます!」と言うだけの事はあるかと妙に得心。
おかげでラプターの挙動を知る事が出来たし、今、担いでいる散弾銃が最適の武器であることも判断できた。
「ん、ありがと。あとは任せて」
洋子はM500のフォアグリップをポンプし、初弾を薬室に叩きこんだ。
「危険です! ラプターの爪は人の首など一撃でもぎ取ります! 私が盾になりますから馬車へお戻りを!」
「だ~いじょう~ぶ!」
仕切り直したラプターは再び急降下を開始した。構える洋子。
「ヨウコ様! こちらへ……わっ!」
洋子の盾になろうとするイーミュウの口から小さな悲鳴が漏れる。
龍海が彼女の腕を引っ張り岩陰に寄せさせたのだ。
「まあ見てな」
先ほどのラプターがグイグイ洋子に迫って来る。次いで上空で旋回して様子を窺っていた4頭中、2頭も降下を開始した。
1頭なら先ほどのようにイーミュー1人でも追い払えただろうが、複数であれば龍海たちの出番だ。
「シノさん、2頭目お願~い」
迫り来るラプターを前に、洋子は余裕綽々であった。
ラプターはラプターで、先ほどの接敵時の動きを見てもイーミュウが行った槍や剣、弓矢などの攻撃は知っていると考えてよい。
だが見る限り洋子の持つ得物はただの杖。だとすれば……。
――さっきと同じ間合いまでは近づいてくる……
距離20m。ラプターは体勢を変え、イーミュウ曰く首を一撃でもぎ取る脚爪を全開にして攻撃してきた。
翼を広げてバランスを取りながら脚爪を前方に突き出す攻撃スタイル。そんな状況、洋子の得物の前にはカモが葱背負ってくるどころではない。
――ご馳走様
洋子は引鉄を引いた。
ドォン!
彼奴との距離は約15m、ペレットの拡散パターンは40~50cm。
パアァン!
OOバック弾の9個のペレットほぼ全弾を全身に喰らったラプターは一気に失速、そのまま首から大地に激突して即死した。
バアァァン!
続いて龍海のM500も火を噴く。
バシッ!
被弾して翼から羽が飛び散る2頭目のラプター。身体にはあまり被弾しなかったらしいが多くの羽をもぎ取られ、派手にバランスを崩す。
それでも懸命に藻掻いて体勢を整えようとする。が、
バアァァン!
2発目を喰らい、これまた失速、落下していく。
3頭目はさすがに身の危険を察知したらしく反転して上昇に転じた。しかし、
バアン! ジャカ! バアァァン!
それを読んだ洋子が2連射。
距離はあったがペレットには肉に食い込むほどの威力が残っていた。
翼のあちこちにも穴を空けられ、これも2頭を追う様に墜落する。
バァン! シャカ! ドバァン!
間髪おかず龍海の銃が2連射された。
上空で滞空中の2頭にも散弾が放たれたのだ。
ギギャアー!
いくつかは被弾したらしい、龍海と洋子は初めてラプターの鳴き声を聞いた。
2頭のうち1頭はバランスを崩しはしたが必死に羽ばたいて体勢を立て直し、もう1頭と共にこの空域から逃げ出した。
「お見事、洋子」
「シノさんも。散弾はピッタリだったけど、威力が心許ないかなぁと思ったんだけどね」
「確かに。バードショットだともっと当たるかもだが威力がなぁ。結構ごつい奴だし、OOバックで正解だったな」
お互いをねぎらい合う二人。
対してイーミュウの方は初めて見る銃火器の威力に見開いた目が、まだ収まらないご様子。
「イーミュウ?」
ロイが声を掛けた。
イーミュウは目を開いたまま、ゆっくり、ゆ~っくり首をロイに向けた。
「わかったろ? サイガ卿方は、あのラプターをいとも簡単に屠るほどの方々なんだ。キツイ言い方だけど、君の出る幕は無いんだよ」
「……」
「ね? ここは大人しくアープに戻って……」
「ステキ!」
「はいぃ!?」
目を輝かせて感激の声を上げるイーミュウ。そんな彼女を見て、ロイの眉間にしわが寄った。
龍海に洋子はもちろん、カレンの眉間までも歪んでしもた。
「すばらしい! すばらしいわ! さすが国の未来を託された勇者様ですわ、あのラプターをこれほど容易く仕留めるなど! あれはやはり爆裂魔法ですか!? 火球魔法なら火球が飛んで行きますけど、そんなの見えてませんでしたもの! いきなりラプターのお腹が吹き飛ぶとか、もしかして魔獣の内部で炸裂させたのでしょうか!?」
呆ける4人を無視してイーミュウは感嘆しまくった。喋りまくった。称えまくった。
「いや、これは魔法って言う訳じゃ無くて、銃って言う道具……」
と龍海が落ち着かせるように説明するが、
「異世界の魔法ですか!? あ、魔道具ですかしら! いずれにしても是非ともご教授願わないと!」
てな感じで、まさに興奮冷めやらぬご様子。
「落ち着いてってばイーミュウ!」
「ロイも知ってるでしょ!? あのラプターの悪さは、この界隈の悩みどころだって事! 飛び回るし俊敏で弓も当てにくいし、遭遇したら餌をばらまいて喰らってる内に逃げるってのが定番だったじゃない! アレを仕留めるなんて軍の、火球の乱れ撃ちが出来る高位魔導士くらいなものよ! もしヨウコ様方の退治法を伝授していただければ、街道の安全度は飛躍的に跳ね上がるわ!」
龍海たちは荒野や国境の森周辺あたりから北上していたのでラプターとは出くわさなかったが、こちらでは珍しいことでは無いらしい。
餌をばら撒いてそのスキに逃亡と言う方法が一般的なら、確かに人間の多い街道沿いの方がラプターも確実に餌にありつけると言うものか? 逆に招き寄せている気も?
それはさておき、目の当たりにしたラプターの撃退法。それをすぐに領民の安全や商活動に結び付けて思考するなど、さすが領主の一族たるの面目躍如だな、と龍海ちょいと感嘆。領民思いだというロイの評価にも納得。
「あ~、魔獣退治の話もいいのだが昼飯はどうするのだ? 我は大変、空腹なのだがのう?」
カレンが話を割った。
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