状況の人、異世界で無敵勇者(ゲームチェンジャー)を目指す!―加筆修正版―

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状況の人、異世界で無双する

状況の人、外注先を得る2

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「アデリアvs魔導国のみならず、国内でも意見の対立とか考慮すべきなんかな?」
「さっきの事かや? しかし、世代間の対立なんてものはどこの国でも、いつの時代でもあるのではないかの?」
「いざ開戦となれば、そういった軋轢は棚上げして、敵に備えて結束するとは思うんですけど……」
 二次会会場は龍海とロイの男部屋。そこにカレンが押し入っての酒盛り、と言ういつものパターン。
「最終的な敵は帝国・皇国だからなぁ。そう言った隙を両国に突かれたら間抜けな話だし、避けるべきだし」
「分断を煽る工作……ですか? まあ開戦前から敵国民に対する撹乱工作等は常套手段ですけど、今の段階で注視すべきは、やはり魔導国側では?」
「順当に考えればそうだよな」
「さっきの酒場でのゴタゴタも、そ奴らが吹き込んでいても可笑しくないのう」
 と言いながらカレンは窓の方をチラ見した。
「今日のウルフたちの一件は笑わせてもらったけど、ちょっと調子乗りすぎたかな~。ん? 燻製肉切れちゃったか? 背嚢に、まだ入ってたよな?」
 つまみにしていた馬の燻製肉を食べ切り、龍海は背嚢を置いた壁際に寄って中を物色。
「カレン?」
「何か?」
 龍海に呼ばれてカレンが腰を上げて龍海に近寄る。
 で、窓を横切る手前で、

ガタ!

目線は龍海に向けたまま、カレンがシングルハングの窓を全開した。

 スバ!

 同時に龍海が手を伸ばし、
「ふん!」
窓の外に潜んでいたらしきを掴んで、部屋の真ん中に引っ張り込んだ。
「うあ!」
 ドタ――ン!
 虚を突かれ、いきなり中に引き摺り込まれて、床に押し付けられ呻く
 その鼻先にロイが自分の長剣を抜いて突き付ける。
「ふむ、やはり瞬発力はヨウコに追い抜かれておるな~。もそっと鍛錬の時間を増やすかや、タツミ?」
 とカレンが窓を閉じながら。
「我々常人からすれば、卿の速さも飛び抜けてますよぅ」
 言いつつ、万歳する格好で仰向けになった賊の右手首を踏んづけて抵抗に備えるロイ。
「洋子にバカにされない程度には頑張らないとな~。さて……」
「こやつ、我らの隣の卓に居た奴だの?」
「やっぱ気付いてた?」
「うむ、あの騒ぎに全く動じておらんから、逆に目立って見えてのう」
 ち……
 軽い舌打ちが聞こえた気がした。どうやらその時の自分の失態が、このザマとなる原因だったのを自覚したらしい。
「ロイも、なかなかいい反応してたな?」
「お褒めに預かり光栄です! 自分は卿やカレンさんのような索敵能力は全くダメですので……」
「でも、俺らの動きを察知して、すかさずこいつの抑えに回ったのは、さすが未来の将校様だねぇ?」
「はい!」
 龍海に褒められて、にっこりニコニコのロイ。対して賊は、
「なあ、いつまで踏んづけてんだよ! 観念するからもう放してよ!」
 ――女?
「そう簡単には行きませんよ。緩めた途端に反撃なんて、よくある事ですからね!」
「マジで降参だって! これでも気配を隠す技には自信があったんだ。それをあっさり破られてさぁ。一応ヘコんでんだけどね!?」
「とは言っても、酒場の一件と言い、そんな手練れともなれば俺たちの周りをうろついていた理由なんて、そう簡単に吐く気は無いんだろ?」
「高く値踏みして貰えるのは嬉しいけどね、あたしはそれ程のもんじゃ無いんだ。言ってしまえばフリーの情報屋でね」
「情報屋?」
「国境警衛隊の奴に『バーバスがっつき犬に一泡吹かせた冒険者がいる』って聞いてさ。それが保護者付き少年少女のパーティだってんで興味が出て……」
「ほ、保護者付き!?」
 龍海くん、素っ頓狂な声を上げるの図。続いてカレンも。
「な! なにか!? 我が、あの小娘らの母親に見られておるのか!?」
「え? 違うの? おかげですぐに見つけられたから隣で張り付いて聞き耳立てていたんだけど? 和気藹々だったじゃない?」
「違います! 卿は自分らの親じゃありません! 自分にとって運命の人なんです!」
「運命の? え? そっち?」
「おい二人共! 誤解を生む発言は止めようか!?」
 アセアセ龍海くん。こやつが情報屋だというのが本当なら、とんでもない情報が尾鰭足鰭付いて飛び交い、妙な二つ名とか貰ってしまいそうだ。勘弁である。
「ねえ、もう起き上がらせてくんない? マジで降参だから」
「俺たちに害が無けりゃ力ずくとかはしないけど? ただ、こちらの質問には答えてほしいから逃げるのも無しだ」
「わかってるよ。逃げようとしたって、そこのおば……姐さんが黙ってなさそうだし?」
「言い直さなければマメ炭にしとったぞぉ?」
 などと凄みつつ、カレンは指先から炎をチョロチョロ出して見せた。
 龍海は、それなりに空気を読んだ情報屋の勘にホッとしつつ、ロイに彼女を放すように促した。
「やれやれ、ドジ踏んじゃったかなぁ。こうも簡単に気付かれるなんてさ」
 女はフードを外した。
 外した彼女の頭には、フードの窮屈から解放されたケモ耳が、ピロン! と立ち上がってきた。どうやらアープのダニーと同じ、猫系の獣人らしい。歳の頃は、有翼種のセレナくらいの20代中盤と言ったところか? この二階にある部屋は、屋根伝いで接近しないと窓から中を窺うなどと言う事は出来ないわけだが、その辺の身の軽さはダニーも優れていた。猫系あるある?
 と、それはとりあえず後回し。それよりこのフリーの情報屋とやらが何を以て自分らを標的としたか? そちらが優先事項だ。
「どこかの誰かに依頼されて嗅ぎ回っている訳じゃない、ってのか?」
「そういう仕事も有るには有るよ? でもそんなの頻繁にあるワケじゃないし、噂や話に聞く人物やパーティとかの素性や実力、履歴とか、依頼する時の材料にしたい連中が欲しがるネタの方が即金になるんだよ。だから、あのバーバスから一本取った奴の情報なら需要有るかな? って思って……」
「それを信用しろと?」
「それしか言えないよ。あたしはどこかの組織にケツ持ちして貰ってるわけじゃない、ホントのフリーランスなんだ」
「……報酬次第では魔導国の依頼も?」
「…………」
「君はどちらの臣民なんだ?」
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