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神と私
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私が今からお伝えする事は
1000人いたらそのうち1人の方が
信じるか信じないくらいの話で、
私自身もとても信じがたい事です。
私に物心がついた頃からよく語りかけて来る何かが居ました。
最初は何だろうと思い母に相談したら、『絶対に他の人にその事を話たら駄目だよ』と言われました。
そうですよね。
今思えばその事を他人に知られたら
私が精神疾患でいつも語りかけて来る何かは、一般的に言うと幻聴だろうと診断されて治療を勧められるだけだろう。
では、何故あの時母は子供である私の言葉を信じたのだろう。
後々母が亡くなった後に完全に
分かった事であるが、
母にも不思議な力があったのです。
その不思議な事を
母から口止めされて誰にも言えないまま
幼少期を送っていました。
私の家族構成は
母、父、10歳上の姉、5歳上の姉
5歳下の弟が居ます。
父は私が5歳の時に戦死した。
父が出征した後、母と私と弟3人は
突然家から追い出されたのです。
家の外に荷物を出され、
私はびっくりしました。
その家には父の兄家族も同居していた。
2人の姉は要領が良く
おじさんに気に入られていた。
しかし、母と私と、弟だけは口減らしの
為に追い出されました。
母は私と弟に明るく接しようとしているけど、心の中で泣いているのがわかった。
これからどうなるんだろう。
私は子供ながらに思った。
母が泣きたいのを我慢しているのが
伝わってきて私も泣きたいのに
我慢していました。
でもまだ幼い弟はお腹が空いたのか
大きな声をあげて泣き続けていた。
母は無言のまま弟を抱き上げ、
私の手を引いて何も言わず
ゆっくりと歩き続けました。
今思えばあの時の母は私達に
声を出して何かを話そうとすると
きっと涙が出て止まらなくなると思い
何も話さないまま歩き続けたのだと思う。
どれくらい歩き続けたのか、
泣き出したいのを必死に堪えながら
ひたすら歩いていたので
時間の感覚など分かる由も無い、、、
しばらくすると、暗い夜道の向う側に
踏切が見えて来た。
私達はその方向に黙って歩き続けた。
弟はまだ泣き続けている。
するとカンカンカンカンカーンと
警報機の音が鳴り始め、
遮断機が降り始めた時に
母が私の手を強くギュッと握り締め、
踏切の中に入り込んで
立ち止まった。
灯りを照らして汽車が私達に
近づいて来た。
私は怖くて立ちすくんでしまった。
弟の泣き声はどんどん大きくなり、
母は弟と私に
ごめんね。ごめんね。と
言い続けていた。
そのごめんねと言う母の
声は泣き震えていた。
と、その瞬間、
何かが現れて抱き抱えられた様な気がした。とっさの事で
何が何だか分からなかった。
気がつくと母も弟も私も
線路の外に放り出され、
座り込んでいた。
その後すぐに汽車は
通り過ぎて行った。
その後いつも私に語りかけている者が
『かあちゃんを守れ』と
言っていた。
姿は見えないが、いつも私を
守ってくれている様な気がした。
私が遊んでいて転びそうに
なった時も手を差し伸べて
助けてもらっている様な気がしていた。
近所のいじめっ子達にいじめられていた時も、後でそのいじめっ子が
転んで怪我をしていた。
まるで私への仕返しを
しているかの様に。
この時私は子供ながらに
少しだけ確信していた。
この声の主は私を守ってくれていたんだと。
4歳くらいの頃から聞こえないフリを
していたけど、この時初めて私の方から
話しかけてみた。
「あなたは誰?」
何も返答は無かった。
助けられたのになんだか怖かった。
その後、
栃木の叔母の家に連れられて行き、
暫くの間そこでお世話になっていたが、
そこでも邪険に扱われ、
北海道の知り合いの所に
行く事になった。
北海道に着いた時
母はいわし場の船に乗せてもらい
暫く働いていた。
しかし元々病弱な母は寝込んでしまい、
まだ7歳だった私がお金を
稼がなきゃいけなくなり
学校にも行かず、働き続けました。
水くみをしたり
港に入ってきた船の網から
魚を外したりしてお駄賃をもらったりしていた。そのお金を知り合いのおじさんに
渡してご飯を食べさせて
もらっていた。
時には仕事が無く、
お墓のお花を盗んで
それを売っていた時もあった。
いつも満足するほどお腹いっぱいに
ご飯を食べる事が出来なかったので、
弟はいつもお腹を空かせて
泣いていた。
たまに私はお墓に飾ってある
お供えの果物をこっそり
盗んで弟に食べさせていた。
今思うと凄く罰当たりな事を
していたと思いますが
私は毎日毎日必死だった。
そんな私達の姿を見ていた
母は泣いていた。
私もずっと泣くのを堪えていたが、
その日はなんだか悲しくて
たまらなくなり我慢が出来なくなり、
母に気づかれない様に
1人井戸の側で泣いていた。
次の日、母が散歩に行こうと
言ってきた。
その時の母の様子はあの夜と似ていた。
そう、線路に飛び込もうとしていた時の
様子と同じだったのだ。
何となくおかしいと思いながらも
弟の手を引き、母の後をついて行った。
私の予感は的中した。
なんと崖だった。
私は無意識に母の気持ちを
受け入れていた。
その時、目の前が
急に周りが明るくなった瞬間に
「死んだら駄目だ」と聞こえた。
そしてその声の主の姿も
はっきりと見えたのだ。
その姿は男の人で
綺麗な刺繍の織り物を羽織っていた様な
感じでした。
その後すぐに弟が泣き出して
母は我に返って泣いていた。
その時私は幼いながらに確信した。
いつもこの人が私を
助けてくれていた人なのだと。
ほんの数秒で姿が見えなくなったので
私はその人に「あなたは誰ですか?」と
呼び掛けながら姿を探した。
そうすると
「お前にはするべき事がある。だからまだ何があっても死んではならない。」
と、初めて答えが帰ってきた。
私は何の事かさっぱり分からなかった。
その後、この出来事を
母に話した。
母もさっぱり何か分からないと
言っていた。
母と私と弟はその後も苦しいながらに
なんとか生活を送りました。
そして年月が経ち私は大人になりました。
次へ続く
1000人いたらそのうち1人の方が
信じるか信じないくらいの話で、
私自身もとても信じがたい事です。
私に物心がついた頃からよく語りかけて来る何かが居ました。
最初は何だろうと思い母に相談したら、『絶対に他の人にその事を話たら駄目だよ』と言われました。
そうですよね。
今思えばその事を他人に知られたら
私が精神疾患でいつも語りかけて来る何かは、一般的に言うと幻聴だろうと診断されて治療を勧められるだけだろう。
では、何故あの時母は子供である私の言葉を信じたのだろう。
後々母が亡くなった後に完全に
分かった事であるが、
母にも不思議な力があったのです。
その不思議な事を
母から口止めされて誰にも言えないまま
幼少期を送っていました。
私の家族構成は
母、父、10歳上の姉、5歳上の姉
5歳下の弟が居ます。
父は私が5歳の時に戦死した。
父が出征した後、母と私と弟3人は
突然家から追い出されたのです。
家の外に荷物を出され、
私はびっくりしました。
その家には父の兄家族も同居していた。
2人の姉は要領が良く
おじさんに気に入られていた。
しかし、母と私と、弟だけは口減らしの
為に追い出されました。
母は私と弟に明るく接しようとしているけど、心の中で泣いているのがわかった。
これからどうなるんだろう。
私は子供ながらに思った。
母が泣きたいのを我慢しているのが
伝わってきて私も泣きたいのに
我慢していました。
でもまだ幼い弟はお腹が空いたのか
大きな声をあげて泣き続けていた。
母は無言のまま弟を抱き上げ、
私の手を引いて何も言わず
ゆっくりと歩き続けました。
今思えばあの時の母は私達に
声を出して何かを話そうとすると
きっと涙が出て止まらなくなると思い
何も話さないまま歩き続けたのだと思う。
どれくらい歩き続けたのか、
泣き出したいのを必死に堪えながら
ひたすら歩いていたので
時間の感覚など分かる由も無い、、、
しばらくすると、暗い夜道の向う側に
踏切が見えて来た。
私達はその方向に黙って歩き続けた。
弟はまだ泣き続けている。
するとカンカンカンカンカーンと
警報機の音が鳴り始め、
遮断機が降り始めた時に
母が私の手を強くギュッと握り締め、
踏切の中に入り込んで
立ち止まった。
灯りを照らして汽車が私達に
近づいて来た。
私は怖くて立ちすくんでしまった。
弟の泣き声はどんどん大きくなり、
母は弟と私に
ごめんね。ごめんね。と
言い続けていた。
そのごめんねと言う母の
声は泣き震えていた。
と、その瞬間、
何かが現れて抱き抱えられた様な気がした。とっさの事で
何が何だか分からなかった。
気がつくと母も弟も私も
線路の外に放り出され、
座り込んでいた。
その後すぐに汽車は
通り過ぎて行った。
その後いつも私に語りかけている者が
『かあちゃんを守れ』と
言っていた。
姿は見えないが、いつも私を
守ってくれている様な気がした。
私が遊んでいて転びそうに
なった時も手を差し伸べて
助けてもらっている様な気がしていた。
近所のいじめっ子達にいじめられていた時も、後でそのいじめっ子が
転んで怪我をしていた。
まるで私への仕返しを
しているかの様に。
この時私は子供ながらに
少しだけ確信していた。
この声の主は私を守ってくれていたんだと。
4歳くらいの頃から聞こえないフリを
していたけど、この時初めて私の方から
話しかけてみた。
「あなたは誰?」
何も返答は無かった。
助けられたのになんだか怖かった。
その後、
栃木の叔母の家に連れられて行き、
暫くの間そこでお世話になっていたが、
そこでも邪険に扱われ、
北海道の知り合いの所に
行く事になった。
北海道に着いた時
母はいわし場の船に乗せてもらい
暫く働いていた。
しかし元々病弱な母は寝込んでしまい、
まだ7歳だった私がお金を
稼がなきゃいけなくなり
学校にも行かず、働き続けました。
水くみをしたり
港に入ってきた船の網から
魚を外したりしてお駄賃をもらったりしていた。そのお金を知り合いのおじさんに
渡してご飯を食べさせて
もらっていた。
時には仕事が無く、
お墓のお花を盗んで
それを売っていた時もあった。
いつも満足するほどお腹いっぱいに
ご飯を食べる事が出来なかったので、
弟はいつもお腹を空かせて
泣いていた。
たまに私はお墓に飾ってある
お供えの果物をこっそり
盗んで弟に食べさせていた。
今思うと凄く罰当たりな事を
していたと思いますが
私は毎日毎日必死だった。
そんな私達の姿を見ていた
母は泣いていた。
私もずっと泣くのを堪えていたが、
その日はなんだか悲しくて
たまらなくなり我慢が出来なくなり、
母に気づかれない様に
1人井戸の側で泣いていた。
次の日、母が散歩に行こうと
言ってきた。
その時の母の様子はあの夜と似ていた。
そう、線路に飛び込もうとしていた時の
様子と同じだったのだ。
何となくおかしいと思いながらも
弟の手を引き、母の後をついて行った。
私の予感は的中した。
なんと崖だった。
私は無意識に母の気持ちを
受け入れていた。
その時、目の前が
急に周りが明るくなった瞬間に
「死んだら駄目だ」と聞こえた。
そしてその声の主の姿も
はっきりと見えたのだ。
その姿は男の人で
綺麗な刺繍の織り物を羽織っていた様な
感じでした。
その後すぐに弟が泣き出して
母は我に返って泣いていた。
その時私は幼いながらに確信した。
いつもこの人が私を
助けてくれていた人なのだと。
ほんの数秒で姿が見えなくなったので
私はその人に「あなたは誰ですか?」と
呼び掛けながら姿を探した。
そうすると
「お前にはするべき事がある。だからまだ何があっても死んではならない。」
と、初めて答えが帰ってきた。
私は何の事かさっぱり分からなかった。
その後、この出来事を
母に話した。
母もさっぱり何か分からないと
言っていた。
母と私と弟はその後も苦しいながらに
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そして年月が経ち私は大人になりました。
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