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しおりを挟む美しいとは言い難い
空はすんでのところで白を保った
嵐の前の静けさなんて嘘だ
奴らは轟々と息巻いて止まない
つい最近夏の始まりを
アスファルトが焦げた匂いで知ったというのに
浅い色の多い部屋
年季の入ったエアーコンディショナー
汗臭い息を小さく垂らしこむ
(私たちよりずっと激しいのだ)
動機不十分
母は私を家の外へ出してはくれなかった
食器の擦れる音が
鉄の味を彷彿とさせる
勝者の歴史を見よ!
ほくそ笑んだのは玉座だけではない
モスキートーンの人払いが
生臭い息だけは拭えないような
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