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しおりを挟む彼が口を開けば
もう些細なことなのだ
海に滑り落ちたときには
決まって底から見上げる自分がいるんだ
表面張力と一体になった自分と
何も感じなくなった僕
息をすることも
億劫でなくなった僕
両手を広げても
世界を感じられなくなった
なんでこんなとこまで来たのか
覚えてた日もある
しごく透明に 純粋な世界が
一番生きづらかった
唾も吐き飛ばせないような
自分でいたくなかった
揺れ動く水面が 光が
僕によってもたらされたものでないこと
まつ毛さえ見失ってしまった
口を開いても何も出なくなった
周りを見回すこともなくなった
果てがないことを知った
皆何も違わないことを知った
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