詩未満

奥田たすく

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 遠い遠い外灯に照らされた夜
 ナイロン弦 指で辿って
 夜道を迷う
 手の甲で触れるとそれは
 決して 音を出さないでくれる

 遠い遠い外灯は
 きっと辿り着くことはないんだろう
 かの昔 神様のあやとりだった電線は
 飽きられて ぽいと投げ出されて どこかの海で打ち上がったんだろう

 はだしの足は
 もうアスファルトに焦がされることもなく
 美しいとされたダイヤモンドは
 人の乗らない乗り物に引き回される

 
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