詩未満

奥田たすく

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 何を語りだすのか
 僕は見上げた
 講壇の上はなんだか暑そうだった
 でもそれは僕も同じだ
 わくわくしていた
 いや、ざわざわしていた
 今から彼女が語りだすのは
 いや吐き出すのは
 最後の 最後の空気
 彼女には必要だったもの
 きっとみんなそうだ
 生きていくために
 口の中に必死でかくまっていた

 
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