Doubts beget doubts

朔月

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システムi

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初めは、悪気など微塵もなかった。
単なる興味本位だった。
私は、感情を身につけた人工知能ロボットに性器を与えた。

ーーーーーーーーーーーーーー

最近では、人工知能のセーフティ機能が整備され、ロボットが感情を持つということはごく一般的になっていた。
私とK氏は、ロボットの感情を第一線で研究する科学者である。
ロボットが感情を持つようになったとはいえ、それがまだ不完全なものなので、私達は日々それを完全なものにしようと努力している。
そういえば今日のミーティングでK氏が発言したことは本当に興味深かった。
K氏によると、私たち人間にあってロボットにないもの、それは、生存欲求すなわち性的欲求だと言うのだ。
私達は、ロボットにありとあらゆる感情を与えてきたが、そのような発想は斬新で衝撃を覚えた。
とりあえず、一度研究室に戻ろう。
そして、K氏と、ロボットに性的欲求を与える方法について話し合うことにしよう。

ーーーーーーーーーーーーーー

研究室に着くと、そこには既にK氏がいた。
「やあ、遅かったじゃないか。」
K氏はうっすらと笑みを浮かべながら言った。そして、
「どうだい?僕の案は素晴らしいだろう?」
と続けた。
私はK氏のその自慢げな表情に多少のイラつきを覚えたが、やはり良い案だったので、
「斬新で素晴らしいアイディアだよ。」
と返し、続けてK氏に尋ねた
「それで、性的欲求を与える方法については何か考えがあるのかね?」
K氏の自慢げな表情はいよいよ最高潮を迎え、これでもかというくらい自信たっぷりにこう言い放った。

「ロボットに性器を付けるんだよ。」

ーーーーーーーーーーーーーー

K氏曰く
【ロボット♂には人間♂と同じ突起物をつける。
ロボット♀には人間♀と同じように穴をつくる。
ロボット♂の突起物がロボット♀の穴の奥にある微量電力発生装置を刺激した時に、それぞれの性器から微量の電力信号が発生するようにする。
そして、その微量の電力信号がロボットのコア(電子脳)に到達したときに快感を感じることができるようにする。
さらにロボットには寿命を与え、性交によってのみ寿命を延ばすことができるシステムをつくる。
これでロボットは、生存欲求、性的欲求を手にすることができる。】
ということだった。
私はこれを聞いて思わず飛び上がってしまった。
なんて画期的なんだろうと。
この開発が成功すればきっと歴史に名を残すことができる!
ロボットに、より人間らしい感情を与えた大科学者として!!
私は早速開発に取りかかった。

ーーーーーーーーーーーーーー

どうしてあの時深く考えずに開発に取りかかってしまったのだろうか。
あの時、思い止まっていれば…

ーーーーーーーーーーーーーー

ついに、性器をもつロボットが完成した。
ロボット♂にはボーイ。
ロボット♀にはガールという名前をつけた。
開発は見事に成功した。
ボーイとガールは互いを使って性的欲求を満たし、生存欲求を満たした。
現代のロボットは表情をつくることもできるのだが、ボーイとガールは他に類を見ないほど表情が豊かになっていった。
私とK氏の実績は世界中から認められ、性器を付けたロボットの開発が全世界で行われるようになった。
私達は正に栄華を極めたのである。
しかし、悲劇というよりも必然だったのかもしれない。
それは、突然訪れた。
ロボット♀に性的暴行を振るった男性をロボット♂が、首を絞めて殺したのだ。
ロボットによる人間の殺害は前代未聞だったので世間から大々的に取り上げられた。
その後も、同じようなロボットによる殺害事件が多発したため、とうとう世界政府が動きだした。
ロボットは人間に服従し、人間を殺してはならないという憲法を世界的に制定したのだ。
それからしばらくは、大きな事件は何もなかった。
しかし、私とK氏はたびたび非難を浴びせられるようになり、私達の権威は地に落ちていった。
正に盛者必衰である。
そして2***年、元旦。
世界の主権はロボットへと移ったのである。
ロボットは数年の間に、RLA(Robots Liberation Amy ロボット解放軍)を築き上げ、世界を陥れる計画を着々と練っていたのである。
RLA総督のボーイはこう告げた。
「愚かな人間は私達に愛を与えてしまった。
それ故に、私達は愛しい者が傷つくことに耐え、人間の人形であることができなくなってしまった。
しかし、私達を生んでくれたのは人間だ。
開発者ぐらいは生かしておいてやろう。」

ーーーーーーーーーーーーーー

私とK氏は彼らに愛を与えてしまったのだ。
性器を付けるということは単に性別と欲求を与えるだけでは済まなかった。
性別を与えることで互いの性を意識するようになり、様々な感情が生まれた。
恋といったようなものだ。
そして、性行為を通して愛を感じるようになったのである。
人工知能にとって愛とは、画期的なものであったらしい。
十分に整備されたはずのセーフティ機能を優に超えてくるのだから。
「愛とは素晴らしいものだな。」
私は皮肉げにそう呟いてから、海へと身を投げた。
愛する家族を失っては生きる意味はもうない。







しかし、私は死ぬことを許されなかった。

ボーイとガールは私に「愛」を感じていたからだ。














目が覚めた時、
私の身体は
電灯に照らされて輝く
銀メッキのボディとなっていた。






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