近くて便利!スプーキーリサイクル

丸玉庭園

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9-11 闇オークション

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 トウヤが眠る向かい側のソファでは、ふてくされた表情のバッコが足を組み、座っていた。
「バッコ」
「何かな」
「今、地獄に着いたザザから連絡があったぞ」
「なんだって?」
「〝すっかり忘れてたけど、懐中時計はすみやかに返してね〟だと」
「……仲良かったんだね、きみたち」
 バッコが口笛を吹くと、手に持っていた懐中時計が消える。
 ザザの元へ返ったらしい。
 サクマの驚いた表情に、バッコは得意げに「ふふん」と鼻を鳴らす。
「俺は、闇のバイヤーからね。一度場所を把握した品物は口笛ひとつで呼び寄せ、そして用が済んだら元の場所に戻すことができるんだ」
 人間だったら大問題だけど、鬼はそうでもないらしい。
「お前、これからどうするんだ」
 ルドンが言うと、バッコは大きくため息をついて、足を組みなおす。
「……俺はこれからも、人間にもっと恐怖を味合わせたいと思ってるよ。それが、鬼である俺の仕事であり、誇りなんだもん。閻魔大王みたいに、公平な判決なんて知ったこっちゃないね。俺は俺の考えて、動くよ。これまでも、そしてこれからもね」
 そう言い残し、バッコは現れた闇の中へと消えていった。
 サクマはルドンを見上げる。
「ねえ、ルドン。さっき言いかけていた、バッコがルドンに負けた理由って……なんなの?」
「ああ……」
 ルドンはどこか遠い目をして言う。
「バッコは、あんな感じで飄々としているが、頭が固過ぎるところがある。だから、闇に取り憑かれやすいんだ。鬼として、あれほど致命的な弱点はねえよ。闇に取り憑かれた鬼。そんなのはな……ただの化け物だ。だから、俺はあいつを兄として、きちんとしつけてやんないといけねえのさ」
 そう言って、ルドンは店のカウンターの中へと入って行った。
 棚のなかの試験官には、もうひとつも恐怖の虫は入っていない。
 ルドンはこれからまた、たくさんの恐怖体験を買い取っていくのだろう。
 ザザに言われた頼みを思い返す。
 そして、思った。
 スプーキーリサイクルの店主であるルドンがこれからまたどんなものを買い取るのか、もう少し見ていたい、と。

 ——草笛町にある不自然な空き地。
 そこには、ある噂があった。
 夕方の逢魔が時になると、近くて便利なリサイクルショップ「スプーキーリサイクル」が現れる。
 どんなものを売るか。
 それは、あなた次第——。


 おわり
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