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4 そんなことするはずないのに
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隣にいる恵麻が、蒼白の表情で、くちびるをわなわなと震わせている。
しゃがみこんですすり泣いている出口の肩を、等々力が支えていた。
ウシトラが、空のようすを見あげている。
空が、夕方の夜のはざまで、紫に色に染まりつつあった。
「あとは……ふたりかあ。さっさと裁判、終わらせよう。もう、時間がないや」
「残念だったな。ウシトラ」
「ん?」
ウシトラが、気だるそうに閻魔パッドをいじる手を止めた。
「残るは、おれと、恵麻だけなんだろうが。恵麻にいたっては、これまで生きてきて、後ろめたいことなんてひとつもない。おれが保証する。だから、裁判なんてしようがない」
「へえ」
ウシトラの頬がぐにゃりと、いじわるく、吊りあがる。
「夕凪恵麻、が?」
ニヤニヤといやらしく笑うウシトラに、おれはいら立ちを感じた。
何がおかしいんだ。
恵麻のことは、生まれたときから知ってる。
親同士の仲がよくて、家も近くて、保育園からずっといっしょに育ってきた。
恵麻は、お人よしを体現したようなやつだ。
だから、裁判なんて起こるわけないんだ。
■
おれは昔から趣味がなくて、ゲームにも漫画にも興味がなかった。
だから、クラスでの会話にさっぱりついていけてなかった。
体力もないから、休み時間にサッカーに誘われてもあっさり断ってしまっていた。
みんなの会話についていけないので「それってどういうこと」と聞けば、「見てもないやつに話してもわかんないじゃん」と返されてしまう。
そんな感じでいたら、友達はどんどん離れていってしまった。
だんだんとクラスで浮いてきたおれは、いつしかほとんどの時間を自分の席でぽつんと過ごすようになっていた。
そんなとき。
ぐうぜん、帰り道がいっしょになった恵麻と並んで歩いていたら、一冊の本が差し出された。
「ねえ、これ。千弥がすきそうだから、借りてきちゃった」
図書館のラベルがはられた、小さめの分厚い本。
それは、今流行りの謎解き本だった。
だが、おれがすきそうって、どういうことだ?
「だって千弥。保育園のときから、みんなになぞなぞ出すの、得意だったでしょ」
「そういえば、そうだったかもしれないが。もう、今はそんなのやってないぞ。出しても、みんな答えないし……」
「みんな、あの時とは違うもんね。なぞなぞなんて恥ずかしいって、思っちゃう子もいるのかも。ひとりが答えないと、みんな答えなくなるよねー」
保育園のときはあんなに盛りあがったのに、小学生になったとたん、恥ずかしいと思うことはやらなくなってしまう。
だからおれも、なぞなぞを作るのも、出すのも止めたんだ。
そしたら、何をやったらいいのかわからなくなった。
「でも今、謎解きが流行ってきてるでしょ。なぞなぞと謎解きはちょっと違うもんね。これ、読んでみたら?」
恵麻にいわれ、しぶしぶと受け取る。
正直、今、謎解きというものが流行っているということすら知らなかった。
パラパラと本をめくってみると、面白そうな謎がいくつも載っていた。
「どう? わたしにはむずかしい謎ばっかりだったけど、千弥なら解けるんじゃない?」
「……恵麻、解けなかったのか?」
「あー! ばかにしてるでしょ」
「ふふ、してないしてない」
思わず、笑ってしまう。
恵麻だから、こういう軽い冗談もいえてしまう。
どうしたらいいのかわからなかったおれに、こうして本を借りて来てくれた、やさしい幼なじみ。
お人よしにも、ほどがある。
他のやつらは知らないが、恵麻だけは、無罪なんだ。
■
「夕凪恵麻は、殺人犯だぞー。判決は、有罪。決まってるじゃん」
「……は?」
ウシトラのいったことの意味がわからず、おれは自分の耳を疑った。
この鬼は、いったい何をいっているんだ。
恵麻が、殺人……? ありえないだろ。
何がどうなったって、いちばんありえないことだ。
「恵麻は万が一、そういう場面になったとしても、サイアクの選択なんてできない。しろといわれても、できないやつだ。恵麻は、自分よりもひとの気を使うようなやつなんだ。ひとのために、何かできないかって考えてしまうようなやつが、『殺人犯』だなんて、いくらなんでも、めちゃくちゃだ。いいがかりもいいところだ。こっちが裁判を起こしてやりたいくらいだぞ」
すると、ウシトラが「クックック」と喉を鳴らした。
「そっちが裁判を起こすっていうんなら受けてたつけどさあ、その前に本人から話を聞いたほうがいいんじゃない」
「なんでだよ」
「夕凪恵麻に聞いてみ? 本当のことをさ」
振り返ると、真っ青になり、からだを小刻みに震わせた恵麻が、肩を丸めて立っていた。
「恵麻? どうしたんだよ」
いつもの恵麻だったら、こんなことをいわれて、黙っているはずがない。
いわれたことに悲しみ、反論するはずだ。
しかし、恵麻は何もいわない。ただ、黙って下を向いている。
「恵麻」
背筋に、ぶわりと冷や汗が流れる。
いや、まさか、ありえない。
でも……。
こんな気持ちになったのは、はじめてだった。
一瞬でも、恵麻を疑いたくないのに。
等々力のときも、樗木のときも、出口のときも、白金のときも、冷静に謎解きができたのに。
今、恵麻のおかしなようすを見ただけで、おれの心臓は弾け飛びそうになっていた。
「どしたー? 稲荷千弥」
ウシトラが目を三日月のように細めて、おれを見おろしてくる。
「……そんなの、うそだ。いよいよ、本性を現したな、鬼!」
「ええー。うそなんてついてないよ。おれは天邪鬼なんかじゃなくて、獄卒なんだけどなあ」
わざとらしく両手をあげる、ウシトラ。
おれは、みんなに目くばせした。
「……走れ!」
「わ、わかった」
とまどいながら、等々力が答える。
出口が、恵麻の手を引いてくれている。
恵麻、どういうことなんだ。
ウシトラのいったことなんて、うそに決まってるよな。
だって、恵麻が謎解き本をすすめてくれたから、おれは変われたんだ。
また、クラスの輪に入ることができたんだ。
謎解きキャラになったおれは、図書委員からの図書関連の謎解き企画や、放送委員からの給食の時間の謎解きコーナーの手伝いを頼まれたりと、いそがしくなった。
それでも、委員会づてにどんどんと人間関係が円滑になっていった。
恵麻が、趣味のなかったおれに、居場所をくれた。
昔から、やさしくて、みんなに気配りをしてくれる、最高の幼なじみだ。
だから、恵麻があんなことするはずがない。
なにかの間違いに、決まってる。
ウシトラから逃れるため、おれたちは屋上から、ひたすらに階段を駆けおりた。
一階にたゆたっていたぶきみな闇が消えてなくなっていたので、とりあえず保健室に飛びこんだ。
外はもう、陽が沈みかけていた。
しかし逢魔が時は、まだ終わらない。
保健室の時計を見あげ、おれは驚いた。
あんなに、色んな事があったのに、学校に来てからまだ三十分ほどしかたっていなかったのだ。
二床ある保健室のベッドに、おれたち四人は向かい合って座った。
恵麻は、肩を丸めて、ベッドのはしっこに座っている。
いつもの恵麻とは、まるで違う。
こんなに暗く、どんよりとした恵麻は見たことがなかった。
ずいぶんと長いあいだ、恵麻とは幼なじみだったはずなのに。
戸惑っているおれを見かねてか、等々力が「あのさ」と、恵麻に声をかけた。
「……夕凪ちゃん。大丈夫か?」
「……ごめんね。気を使うよね。こんな態度、してたら」
「い、いや。気を使うとかじゃなくてさ。心配なんだよ。……ようすがおかしいから。ウシトラがあんなこといったせいで、気にしてるんだよな。あんな内容の裁判、ありえないよな。……なあ?」
等々力が、おれと出口に話を振ってきた。
出口が黙ってうなずいたので、おれもベッドから立ちあがる。
「恵麻。あんな鬼のいうことなんか、気にするな」
「そう……だよね。夕凪さんが、殺人なんてするはずないよ。あたしもさ、あんなひどい裁判があるって知ってたら、こんなのに参加しなかったと思う。あんな、地獄に連れて行かれるくらいなら、不老不死なんてほしくない。早く、家に帰りたい。白金さんも樗木くんも、あんなことになっちゃったし……」
出口が、自分の肩を抱くようにして、身震いした。
等々力が、気遣うように「だね」とうなずく。
「ウシトラに、もう不老不死なんていらないって、いってみようぜ。もしかしたらワンチャン、許してもらえるかも……」
しゃがみこんですすり泣いている出口の肩を、等々力が支えていた。
ウシトラが、空のようすを見あげている。
空が、夕方の夜のはざまで、紫に色に染まりつつあった。
「あとは……ふたりかあ。さっさと裁判、終わらせよう。もう、時間がないや」
「残念だったな。ウシトラ」
「ん?」
ウシトラが、気だるそうに閻魔パッドをいじる手を止めた。
「残るは、おれと、恵麻だけなんだろうが。恵麻にいたっては、これまで生きてきて、後ろめたいことなんてひとつもない。おれが保証する。だから、裁判なんてしようがない」
「へえ」
ウシトラの頬がぐにゃりと、いじわるく、吊りあがる。
「夕凪恵麻、が?」
ニヤニヤといやらしく笑うウシトラに、おれはいら立ちを感じた。
何がおかしいんだ。
恵麻のことは、生まれたときから知ってる。
親同士の仲がよくて、家も近くて、保育園からずっといっしょに育ってきた。
恵麻は、お人よしを体現したようなやつだ。
だから、裁判なんて起こるわけないんだ。
■
おれは昔から趣味がなくて、ゲームにも漫画にも興味がなかった。
だから、クラスでの会話にさっぱりついていけてなかった。
体力もないから、休み時間にサッカーに誘われてもあっさり断ってしまっていた。
みんなの会話についていけないので「それってどういうこと」と聞けば、「見てもないやつに話してもわかんないじゃん」と返されてしまう。
そんな感じでいたら、友達はどんどん離れていってしまった。
だんだんとクラスで浮いてきたおれは、いつしかほとんどの時間を自分の席でぽつんと過ごすようになっていた。
そんなとき。
ぐうぜん、帰り道がいっしょになった恵麻と並んで歩いていたら、一冊の本が差し出された。
「ねえ、これ。千弥がすきそうだから、借りてきちゃった」
図書館のラベルがはられた、小さめの分厚い本。
それは、今流行りの謎解き本だった。
だが、おれがすきそうって、どういうことだ?
「だって千弥。保育園のときから、みんなになぞなぞ出すの、得意だったでしょ」
「そういえば、そうだったかもしれないが。もう、今はそんなのやってないぞ。出しても、みんな答えないし……」
「みんな、あの時とは違うもんね。なぞなぞなんて恥ずかしいって、思っちゃう子もいるのかも。ひとりが答えないと、みんな答えなくなるよねー」
保育園のときはあんなに盛りあがったのに、小学生になったとたん、恥ずかしいと思うことはやらなくなってしまう。
だからおれも、なぞなぞを作るのも、出すのも止めたんだ。
そしたら、何をやったらいいのかわからなくなった。
「でも今、謎解きが流行ってきてるでしょ。なぞなぞと謎解きはちょっと違うもんね。これ、読んでみたら?」
恵麻にいわれ、しぶしぶと受け取る。
正直、今、謎解きというものが流行っているということすら知らなかった。
パラパラと本をめくってみると、面白そうな謎がいくつも載っていた。
「どう? わたしにはむずかしい謎ばっかりだったけど、千弥なら解けるんじゃない?」
「……恵麻、解けなかったのか?」
「あー! ばかにしてるでしょ」
「ふふ、してないしてない」
思わず、笑ってしまう。
恵麻だから、こういう軽い冗談もいえてしまう。
どうしたらいいのかわからなかったおれに、こうして本を借りて来てくれた、やさしい幼なじみ。
お人よしにも、ほどがある。
他のやつらは知らないが、恵麻だけは、無罪なんだ。
■
「夕凪恵麻は、殺人犯だぞー。判決は、有罪。決まってるじゃん」
「……は?」
ウシトラのいったことの意味がわからず、おれは自分の耳を疑った。
この鬼は、いったい何をいっているんだ。
恵麻が、殺人……? ありえないだろ。
何がどうなったって、いちばんありえないことだ。
「恵麻は万が一、そういう場面になったとしても、サイアクの選択なんてできない。しろといわれても、できないやつだ。恵麻は、自分よりもひとの気を使うようなやつなんだ。ひとのために、何かできないかって考えてしまうようなやつが、『殺人犯』だなんて、いくらなんでも、めちゃくちゃだ。いいがかりもいいところだ。こっちが裁判を起こしてやりたいくらいだぞ」
すると、ウシトラが「クックック」と喉を鳴らした。
「そっちが裁判を起こすっていうんなら受けてたつけどさあ、その前に本人から話を聞いたほうがいいんじゃない」
「なんでだよ」
「夕凪恵麻に聞いてみ? 本当のことをさ」
振り返ると、真っ青になり、からだを小刻みに震わせた恵麻が、肩を丸めて立っていた。
「恵麻? どうしたんだよ」
いつもの恵麻だったら、こんなことをいわれて、黙っているはずがない。
いわれたことに悲しみ、反論するはずだ。
しかし、恵麻は何もいわない。ただ、黙って下を向いている。
「恵麻」
背筋に、ぶわりと冷や汗が流れる。
いや、まさか、ありえない。
でも……。
こんな気持ちになったのは、はじめてだった。
一瞬でも、恵麻を疑いたくないのに。
等々力のときも、樗木のときも、出口のときも、白金のときも、冷静に謎解きができたのに。
今、恵麻のおかしなようすを見ただけで、おれの心臓は弾け飛びそうになっていた。
「どしたー? 稲荷千弥」
ウシトラが目を三日月のように細めて、おれを見おろしてくる。
「……そんなの、うそだ。いよいよ、本性を現したな、鬼!」
「ええー。うそなんてついてないよ。おれは天邪鬼なんかじゃなくて、獄卒なんだけどなあ」
わざとらしく両手をあげる、ウシトラ。
おれは、みんなに目くばせした。
「……走れ!」
「わ、わかった」
とまどいながら、等々力が答える。
出口が、恵麻の手を引いてくれている。
恵麻、どういうことなんだ。
ウシトラのいったことなんて、うそに決まってるよな。
だって、恵麻が謎解き本をすすめてくれたから、おれは変われたんだ。
また、クラスの輪に入ることができたんだ。
謎解きキャラになったおれは、図書委員からの図書関連の謎解き企画や、放送委員からの給食の時間の謎解きコーナーの手伝いを頼まれたりと、いそがしくなった。
それでも、委員会づてにどんどんと人間関係が円滑になっていった。
恵麻が、趣味のなかったおれに、居場所をくれた。
昔から、やさしくて、みんなに気配りをしてくれる、最高の幼なじみだ。
だから、恵麻があんなことするはずがない。
なにかの間違いに、決まってる。
ウシトラから逃れるため、おれたちは屋上から、ひたすらに階段を駆けおりた。
一階にたゆたっていたぶきみな闇が消えてなくなっていたので、とりあえず保健室に飛びこんだ。
外はもう、陽が沈みかけていた。
しかし逢魔が時は、まだ終わらない。
保健室の時計を見あげ、おれは驚いた。
あんなに、色んな事があったのに、学校に来てからまだ三十分ほどしかたっていなかったのだ。
二床ある保健室のベッドに、おれたち四人は向かい合って座った。
恵麻は、肩を丸めて、ベッドのはしっこに座っている。
いつもの恵麻とは、まるで違う。
こんなに暗く、どんよりとした恵麻は見たことがなかった。
ずいぶんと長いあいだ、恵麻とは幼なじみだったはずなのに。
戸惑っているおれを見かねてか、等々力が「あのさ」と、恵麻に声をかけた。
「……夕凪ちゃん。大丈夫か?」
「……ごめんね。気を使うよね。こんな態度、してたら」
「い、いや。気を使うとかじゃなくてさ。心配なんだよ。……ようすがおかしいから。ウシトラがあんなこといったせいで、気にしてるんだよな。あんな内容の裁判、ありえないよな。……なあ?」
等々力が、おれと出口に話を振ってきた。
出口が黙ってうなずいたので、おれもベッドから立ちあがる。
「恵麻。あんな鬼のいうことなんか、気にするな」
「そう……だよね。夕凪さんが、殺人なんてするはずないよ。あたしもさ、あんなひどい裁判があるって知ってたら、こんなのに参加しなかったと思う。あんな、地獄に連れて行かれるくらいなら、不老不死なんてほしくない。早く、家に帰りたい。白金さんも樗木くんも、あんなことになっちゃったし……」
出口が、自分の肩を抱くようにして、身震いした。
等々力が、気遣うように「だね」とうなずく。
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