アポロ・ファーマシー

丸玉庭園

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1-7  ソレイユの花の種

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【アポロファーマシー 今日のお薬
『ソレイユの花の種』 一日二回水やり
 効能:一週間で咲かせることができたら、一生の友情を咲かせます。
 副作用:一週間で咲かせなければ、一生の友情を失います。
用法・容量を守って正しくお使いください】
(ソレイユの花の種って、友情を咲かせる薬だったんだ……)
 モコは雨でびしょびしょになってしまった処方箋の説明書をぼうぜんとながめる。ユナは、ずっと泣いていた。もう雨なのか涙なのかわからないものをぬぐいながら。
(なんで、こんな薬をっ? 玉野さん、一体なにを考えてるの……)
 アポロ薬局の数ある薬の中で、玉野は『ソレイユの花の種』を選んでくれた。それがモコと、そしてユナにとって一番効き目のある薬だと判断してくれたのだ。
 モコはもう一度、処方箋の説明書を読み直す。
 ――副作用:一週間で咲かせなければ一生の友情を失います。
「ふざっけんな……こんなの、薬じゃない! 薬局に訪れた人の病が治り、明るい太陽のような笑顔に戻る……それがアポロファーマシーじゃないの! アポロファーマシーには、万能薬しかないんじゃなかったのっ!」
 モコは、持っていた傘をにぎりしめ、叫んだ。
「せっかくユナちゃんが笑ってくれそうだったのに! これじゃあ、意味ないじゃん!」
「モコちゃん……」
 雨の雑音のなかに、ユナの声が重なる。
「私、モコちゃんがくれたソレイユの花、一生懸命育てたんだ。その間は悲しいことも忘れられてたよ」
「そうだよ! だから、咲かせなきゃ、花! また……ユナちゃんが笑えるように……」
「違うよ」
 ザーッと言う雨音が、二人に降り注いでいる。二人から、太陽を隠すように。
「花を咲かせるのは、私が悲しかったことを忘れるためじゃないよ」
「えっ?」
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