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第三章 恐怖のメゾン、おおにぎわい!
七 逃げだしたお客さま
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メゾン・ド・ストレンジのストーリーラインナップが二十本目を超えた、ある日のこと。
サイコが子規の前に転がり出て、いった。
「子規さん! ストーリーランキングが出ましたよお!」
「ス、ストーリーランキング……って?」
「そのまんまですよ。人気のあるストーリーのランキングです。お客さまに選ばれたストーリーたちの集計が終わりました! ナンバーワンが決定したんですよ!」
「そんなことしてたんだ。知らなかったよ」
「子規さんが学校に行っているあいだ、ワタシたち頑張ったんですから~!」
えっへん、と丸い胸をはるサイコは、子規の目の前にカサッと一枚の紙をさしだした。
「これです!」
「なるほど……ふむふむ」
そこには、今まで子規がメゾン・ド・ストレンジのために書いてきたストーリーの名前がずらっとならんでいた。
「一位【百物語】、二位【ざわつくハンカチ】……」
納得の一位に、意外な二位、など。
こうしてランキングにすると、さまざまな気づきがあった。自分は気にしていなかったけれど、意外とランキングは上位だったり。そして、その逆も。
当然、一位があれば、最下位もあるわけで。
「最下位……【ギフトシード】……」
「あれ、なんだか残念そうですね。そりゃあ、順番をつけるからには、最下位は出るもんですから。気を落とさないでください」
サイコの早口の励ましに、子規はへらっと口もとをゆるめた。
「いや、でもなんで最下位なのかは知りたい。なおせるところがあるかもしれないし……」
「子規さんは勉強熱心ですねえ。よかったら、ワタシがお教えしましょうか~」
「えっ。サイコ、わかるの?」
「当然ですよお。ワタシは、子規さんのファンですから。営業時間外に、ゴーグルをつけて、VRホラーを満喫しているので~す」
お気楽なサイコのようすに、落ちこんでいた気持ちがちょっと軽くなる。
「それじゃあ、教えてもらおうかな」
「いいですよお。そうですね、ギフトシードのホラーシーンをもうちょっと、ハデな感じにするといいかもしれません!」
「ハデな感じかあ。でも、どういう感じのハデさがいいんだろう」
「子規さんはホラー映画好きでしたよねえ」
「うん。監督志望だからね。かなり見てるよ」
「最近、見た映画は何ですか? その映画のハデなシーンを参考にしたらどうでしょう」
「昨日は『スネイク・サマーナイト』っていう映画を見たよ。ヘビがたくさん出てくる映画で、大量に集まったフルCGのヘビの大群はさすがに怖かったな」
「そのゾッとした感じ、【ギフトシード】の参考になりませんかねえ」
サイコのアドバイスで、子規はいいアイデアをひらめいた。
クライマックスのシーンにもう少し、不気味さをプラスできそうだ、と思ったのだ。
「そうか! ラストの〝花が咲くシーン〟。本来は、ホラーシーンのはずなのに……今見直すと、ただ単純にきれいな花が咲いているシーンにも見える。これじゃあ、お客さまはあまり怖くないなと思ったはずだよ」
「それが、ランキング最下位の理由ですかあ。ちょ~ショックですね」
「『スネイク・サマーナイト』みたいな不気味さを【ギフトシード】でも上手に表現できたら、しっかりとしたホラーに生まれ変われるかも知れない!」
「おお、さすがオバケ屋敷プロデューサー! かっこいいですよお~!」
「ちょっと。からかわないでよ、サイコってば」
顔を赤らめつつも、子規の頭にはすでに新たな演出が組みあがりつつあった。
そして、数時間後。
あっというまに、改訂版のストーリーと演出が完成した。
キュウビにさっそく提出すると「おお」と、感心したような声があがった。
「いいね。【ギフトシード】がさらに進化してるよ」
「本当っ?」
「ああ、これはいいよ。クフフ。かなり不気味になった。お客さまの恐怖にゆがむ顔が目に浮かぶようだ……クフフ……フフ……!」
キュウビの顔が一瞬、狐にもどる。けものらしいその口がニヤリと笑みにひきつった。
「よし! 今すぐ【ギフトシード】のVR空間をアップデートだ!」
キュウビの掛け声に、ほうぼうに散っていた妖怪たちがワーキングスペースへと飛んでいった。
午後四時。メゾン・ド・ストレンジはいつもよりも盛況だった。
以前からあったストーリー【ギフトシード】にアップデートがほどこされたらしい、というウワサはすでにSNSで話題になっていた。
それを一目確認しようと、以前来たことがあるお客さまもおとずれていたのだ。
【ギフトシード】はおかげさまで、悲鳴と絶叫の嵐。
ストーリーが終わったお客さまがVRゴーグルを外せば、その顔は必ず汗か涙でぐしょぐしょになっているのだ。
そして、たった今も。
アップデートしたてほやほやのストーリーを選択しに、一人の少女がやって来た。
キュウビがさっそくもてなしていく。
「メゾン・ド・ストレンジへようこそ。お客さまのお名前をいただけませんか」
「あ……ミノリ、です」
「ミノリさま。本日はどんなストーリーをお探しですか」
「アップデートされたお話しのウワサを聞いて……」
「おお、頼もしい。では、そちらのゴーグルをはめ、ストーリーを選択してください」
ミノリは言われるがままにゴーグルをはめ、〝UP DATE!〟というアイコンがついたタイトルを選択する。
「それでは、いってらっしゃませ。ミノリさまが心地よい恐怖に出会えますように……」
【ギフトシード】
「ミノリ。この種、何かわかる?」
アコにそういわれ、ミノリは小さな種をつまみあげた。
薄だいだい色をした、米粒大ほどの大きさ。
しかし、何の種なのかはわからなかった。
朝顔やひまわりの種なら、小学校のころ理科の授業で育てたこともあったので、一目でわかったかもしれない。
しかし、アコに渡されたのは何の種なのか、見当もつかなかった。
「どこで買ったの?」
「もらったの。通りすがりの人に」
「えっ、知り合いに?」
「ううん、知らない人」
怪しすぎる。
まさか、毒のある種だったり、異臭を放つ花の種だったりしたら。
ミノリはあわてて種を袋に戻し、アコに返した。
「捨てようよ。何かわからないものなんて育てないほうがいいと思う」
「そっかあ。くれたおじいさんが困ってるみたいだったから、ついさ」
「困ってるって、何に?」
「それがね……」
アコの話によると、種をよこしてきたのは近所では見かけたことのないおじいさんだったらしい。
そのおじいさんが、すれ違いざまに奇妙なことをいった。
——あのう……『ギフト・シード』いりませんか。
聞いたこともない単語に、ミノリは首を傾げた。
「何それ」
「でしょ。めちゃめちゃ怪しかったんだけど、どうしても気になっちゃってさ」
「いや、危ないよ……。それで貰ってきちゃったの、その〝なんとかシード〟」
「ギフト・シード! 直訳すると『才能の種』ね」
「才能の……種? 何それ」
思わず、食いついてしまった自分に、ハッとする。
案の定、目の前にいるアコが「ウフフ」といいながら、いやらしい笑みを浮かべていた。
「ほーらね。しょせん、人間なんてそんなもんよ。欲望にうえてんの。フフフ」
「からかってないで、続きは? 結局、そのおじいさんは何者だったの」
「知らない。〝ほしいです。種をください〟っていったら、ポンと渡されて、サーッとどっかに行っちゃったんだもん」
あまりにも怪しすぎる。
しかし、それ以上にアコが持つ種がなんなのかが気になった。
得体の知れない種〝ギフト・シード〟……才能の種。
もし、本当だったらすごいことだ。
種が育ち、花開いたとき、自分にすごい才能が目覚めたとしたら。
自分はそのおじいさんを現世に降りてきた神さまだったのかも知れないと思うだろう。
「ねえ、ミノリ。育てるだけならタダだもん。一緒にやってくれないかな」
小学校のころから、朝顔ですらまともに育てられなかった、アコ。
夏休みの課題だったミニトマトの観察は、アコだけずっとしおれたミニトマトだった。
中学生になっても、それは相変わらずらしい。
「しょうがないな。私も、気になるもん。才能の種。一緒に育てよう」
ミノリの返事に、アコは嬉しそうに喜び、ホッと胸をなでおろしていた。
その日の夜。
ミノリはさっそくネットで『ギフト・シード』について調べた。
しかし、いくら検索しても目ぼしい結果は出てこない。
やはり、ただのなんの変哲もない種だったのだろう。
アコはだまされたのだ。
あの老人は家の畑であまった種をそれっぽい名称をつけ、すれ違った人間におしつけていただけ。
早めに、アコに伝えたほうがいいだろう。
がっかりする前に。
親友であり、何でも言える仲だからこそ、本当のことを伝えなければ。
次の日、アコの家にやってきたミノリ。
ドキドキしながら、インターホンを押す。
すると、裏庭から「ミノリー」と自分を呼ぶ声がした。
急いで声のしたほうへと回ると、アコがジョウロを持ってニコニコと手を振っている。
「ねえ、見て見て! すごいよ」
「何が?」
「あっ。ご、ごめん。待ちきれなくてさ……」
見るとどうやら、アコは種を植えてしまったらしい。
好む土や、水の量もわからないのに。
相変わらず、植物を育てることに向いていないらしい。
しかし、アコは目をきらきらと輝かせながら、地面を指さした。
「〝芽が出たんだよ〟!」
「……は、はい?」
「これ!」
そこは耕してもいなければ、草も抜いていない、ただの地面だった。
一部、穴を掘った形跡がある。
アコが、例の種を植えた場所なのだろう。
新しい小さな芽が一本、ぴょこんと顔を出している。
「まさかっ? ええっ? い、いつ植えたの?」
「今日の朝かな。七時くらい。待ちきれなくてさ、植えちゃったんだ。そしたら、びっくり! もう芽が出てたの。すごくない?」
そんな植物、存在するのだろうか。
少なくとも、ミノリは聞いたことがなかった。
ミノリは改めて思った。
アコに、いわなければならない。
芽はひっこぬくべきだ。
そうそうに、処分するべきだ、と。
「ねえ、ミノリ」
「何?」
「本当に、この芽が才能をくれるすごい花を咲かせたらさ。まずはミノリにあげるね!」
「えっ」
「ミノリはいつも私を助けてくれるから。小学校の時、私のミニトマトが枯れかけた時。ミノリがお世話を手伝ってくれたから、何とか息を吹き返してくれたでしょ。それだけじゃない。私が石につまづいて転びかけた時、支えてくれたり。宿題忘れた時も、一緒に問題を解いてくれたり。いつもミノリには感謝してるんだよ」
「アコ……」
「この種もさ、早くミノリにあげたくて! だから、待ちきれなくて植えちゃったんだ。今度は……枯れないといいなあ」
「……大丈夫だよ」
こんなことをいうつもりじゃなかった。
しかし、口は勝手に動いてしまう。
「私も、一緒に育てるよ。だから、安心して。アコ」
ミノリの言葉に、アコはとても嬉しそうに笑った。
やがて、ギフト・シードは一週間でりっぱな花をつけた。
まるで炎のような真っ赤な花びらに、太い茎。
扇のような大きな葉っぱ。
だが、どれだけ特徴を検索ボックスに入力して調べても、花の名称はわからない。
「一体、どういう花なんだろう。大した世話もしてないのに、こんな短期間で咲くなんて……」
花が咲いてからも、ミノリはスマホをタップしていた。
何度も何度も検索ワードを変えて、ギフト・シードのことを調べ続けた。
今もこうしてアコの家をたずね、じっくりと花を観察しては、スマホに指を滑らせている。
しかしアコは、そんなミノリを不満そうに見つめた。
「ミノリってば、そんなことばっかり。それよりもさ、この花からどんな才能がもらえるのか気にならないの?」
そうだった、とミノリはスマホを下げた。
アコは自分のために、この花を一生懸命育てていたのだ。
毎日水をやり、『花には話しかけるといい』ということを知れば、時間があるときは欠かさず花に語り掛けに行っていた。
そんなアコの気持ちをむだにはしたくなかった。
「でも、どうしたら才能を貰えるの?」
「そうだよねえ。うーん、そうだ。花を食べるといいとか」
「ええっ、食べるの?」
「そうそう。テスト勉強の時とかさ、答えを書いた紙を食べると覚えられるって聞いたことがあるの!」
そんなわけはないのだが、アコはそれを心から信じているようだった。
「ねえ、ミノリ。食べてみて!」
「はあ? 何いってるの。毒があるかもしれないのに、そんなことできるわけないでしょ」
「そっかあ。でも私が食べたら、せっかくミノリにあげようとしてた才能をもらっちゃうことになるしなあ」
アコは、これがギフト・シードであるということを疑っていない。
きちんとわからせてあげたいが、自分のためにと思ってやってくれているアコにどういって伝えたらいいのか、ミノリは悩んだ。
なるべく、アコのことを傷つけたくはなかった。
「そうだ!」
アコが、ぱあっと顔を明るくさせた。
「半分こしようよ」
「えっ」
「ミノリの気持ち、わかってるよ。初めて食べるものは、誰でも怖いもんね」
「あ、アコ……?」
「ミノリに全部の才能を食べてもらえないのは残念だけどさ。でも、嫌いな食べ物をミノリにだけ押し付けるなんてしたくない。給食のとき、私の嫌いなセロリが出た時、ミノリが食べてくれたよね。ミノリの嫌いなブロッコリーが出た時は、私が食べる。私たち、そうやってやってきたんだもん!」
アコが、むじゃきに笑った。
降参だ、とミノリは思った。
(こんなの……食べるしか、ないよね)
花を摘んだアコが、それを真っ二つに裂いた。
そしてその片方を、ミノリに差し出す。
(お腹をこわすか、才能が開くか……どちらか。もしかしたら、死ぬかもしれない。でも、アコのためなら……)
悪くないかもしれない。
だってそんなの、まるで映画みたいじゃないか。
悔いは、なかった。
「私たち、親友だもん」
アコがぱあっと顔を輝かせ、はっきりという。
「うん……」
「一緒に才能の花、咲かせようね!」
「そうだね……」
二人同時に、鮮やかな赤い花を口に入れた。
——ぱく……ごくり。
酸味と、苦味、そしてほのかな甘味とエグみ。
思った通り、美味しくはなかった。
「やったー! 食べちゃったね。どんな才能が出るのかな」
やり方があっているのかもわからないのに、アコは大はしゃぎだった。
明日はお腹を下すかもしれないのに。
いや、毒だったとしたらすぐにでも反応が出るのだろう。
今のところは、体に異常はなさそうだが……。
「ううっ」
突然、アコが地面にうずくまった。
お腹を押さえているようだ。
「あ、アコ!」
「ううー、ううーっ」
「どうしたの、アコ!」
「はな……は、なが……」
間違いない、毒だ。
やはり危ないものだったのだ、あの花は。
「すぐに救急車、呼ぶから!」
「さく……」
「え」
「さく……さくう……」
「アコッ?」
「さくううううう……」
——ぼごっ。
アコのお腹のあたりから、その音はした。
腹部のくぼみから、細い管のようなものが伸びてきている。
ミノリはうねうねと波打つそれをつかみ、引き抜こうとする。
しかし引っ張った瞬間、アコが痛みからか悲鳴をあげ、その場にのたうち回る。
管から手を放すと、黄緑色の汁が付いていた。
つんと、鼻をつく青臭いにおい。
アコの腹部から伸びているのは、植物に違いなかった。
それはみるみるうちに成長し、葉をつけ、つぼみをふくらませている。
そのたびに、アコは恐怖に顔をゆがめ、うめく。
ミノリはどうすることもできなく、ただ見ていることしかできなかった。
アコのつぼみがゆっくりと開いていく。
べっとりとした、赤色が見えた。
アコの激しい息遣いが、ミノリの鼓動をより早めた。
なまぬるい風がアコの花をゆらす。
花びらが、開いていく。
みちみちと茎が揺れる。
かさり、と葉がこすれた。
見事な赤い花がアコの上に、咲いた。
あまりの鮮やかさに(きれいだ)とミノリは思った。
「さいた……」
「アコッ」
「これが、私の……あたらしい才能……」
「は……?」
「おはな……そだてられるように……なったんだ……私……」
うめくようにつぶやくアコに、ミノリはゾッとする。
その時、ミノリは腹部に〝ぼこり〟という違和感を感じた。
もぞもぞ、と腹のくぼみのあたりがうずく。
途端、全身の血の気が引くのを感じた。
自分も、アコと同じ花を食べたことをようやく思い出したのだ。
次は、自分の番じゃないかと思ったとたん、凄まじい吐き気がミノリを襲う。
「っうう……!」
「ミノリ」
アコの冷たい手が、ミノリの口をふさいだ。
「吐かせないよ……。私たち……親友だよね……」
アコの虚ろな目が、空中をさまよっている。
にも関わらず、その手はしっかりとミノリの口を掴んで離さない。
「これは、永遠に咲いていられる才能だったんだ。きれいな花のまま、私はミノリとずっと一緒。すごい才能だよ! ね……私たち、親友だもんね?」
その家の庭には、二本の赤い花が年中問わず、咲き続けていた。
枯れることなく、いつまでも、いつまでも。
【ギフトシード おわり】
子規はエントランスが見える階段の踊り場でサイコたちユーレイと、ミノリのようすを見守っていた。
ユーレイたちはVRゴーグルをつけ、顔を恐怖にゆがめているミノリに大喜びだ。
わいわいとはしゃいで、お腹を抱えている。
「ああ、最高だ~! あの怖がっている表情! たまらないねえ~! ヒーッ、お腹が痛い。ヒーッ、ヒーッ!」
「【ギフトシード】であんなに恐怖におびえるなんて、これまでにはなかったよなあ。子規のぼっちゃん、やるねえ。いい感じに書き直したんだなあ~!」
ユーレイのおじさんが褒めてくれ、子規は照れ笑いをする。
サイコも、床に体をポンポンと弾ませている。
「見てください。あのミノリって子、ゴーグルを外したとたん、カバンを持って出て行ってしまいましたよ~! キュウビさまが声をかける間もなく! フォーミュラカーも驚きの足さばき! 彼女は国際恐怖同盟によるスーパーライセンスをお持ちのようですねえ」
「サイコが何をいっているのかさっぱりわからないけど、喜んでくれているようでなによりだよ」
頭の上に乗っているサイコを見上げながら、子規はほほ笑んだ。
店内カメラに映るキュウビがこちらを見上げ、手を振っている。
最下位のストーリーでこの反応ということは。
他のストーリーも、手直しする価値があるかもしれない。
子規は、ホラーストーリーを書く自分の腕が上がっていることを、今回のことで実感することができたのだった。
サイコが子規の前に転がり出て、いった。
「子規さん! ストーリーランキングが出ましたよお!」
「ス、ストーリーランキング……って?」
「そのまんまですよ。人気のあるストーリーのランキングです。お客さまに選ばれたストーリーたちの集計が終わりました! ナンバーワンが決定したんですよ!」
「そんなことしてたんだ。知らなかったよ」
「子規さんが学校に行っているあいだ、ワタシたち頑張ったんですから~!」
えっへん、と丸い胸をはるサイコは、子規の目の前にカサッと一枚の紙をさしだした。
「これです!」
「なるほど……ふむふむ」
そこには、今まで子規がメゾン・ド・ストレンジのために書いてきたストーリーの名前がずらっとならんでいた。
「一位【百物語】、二位【ざわつくハンカチ】……」
納得の一位に、意外な二位、など。
こうしてランキングにすると、さまざまな気づきがあった。自分は気にしていなかったけれど、意外とランキングは上位だったり。そして、その逆も。
当然、一位があれば、最下位もあるわけで。
「最下位……【ギフトシード】……」
「あれ、なんだか残念そうですね。そりゃあ、順番をつけるからには、最下位は出るもんですから。気を落とさないでください」
サイコの早口の励ましに、子規はへらっと口もとをゆるめた。
「いや、でもなんで最下位なのかは知りたい。なおせるところがあるかもしれないし……」
「子規さんは勉強熱心ですねえ。よかったら、ワタシがお教えしましょうか~」
「えっ。サイコ、わかるの?」
「当然ですよお。ワタシは、子規さんのファンですから。営業時間外に、ゴーグルをつけて、VRホラーを満喫しているので~す」
お気楽なサイコのようすに、落ちこんでいた気持ちがちょっと軽くなる。
「それじゃあ、教えてもらおうかな」
「いいですよお。そうですね、ギフトシードのホラーシーンをもうちょっと、ハデな感じにするといいかもしれません!」
「ハデな感じかあ。でも、どういう感じのハデさがいいんだろう」
「子規さんはホラー映画好きでしたよねえ」
「うん。監督志望だからね。かなり見てるよ」
「最近、見た映画は何ですか? その映画のハデなシーンを参考にしたらどうでしょう」
「昨日は『スネイク・サマーナイト』っていう映画を見たよ。ヘビがたくさん出てくる映画で、大量に集まったフルCGのヘビの大群はさすがに怖かったな」
「そのゾッとした感じ、【ギフトシード】の参考になりませんかねえ」
サイコのアドバイスで、子規はいいアイデアをひらめいた。
クライマックスのシーンにもう少し、不気味さをプラスできそうだ、と思ったのだ。
「そうか! ラストの〝花が咲くシーン〟。本来は、ホラーシーンのはずなのに……今見直すと、ただ単純にきれいな花が咲いているシーンにも見える。これじゃあ、お客さまはあまり怖くないなと思ったはずだよ」
「それが、ランキング最下位の理由ですかあ。ちょ~ショックですね」
「『スネイク・サマーナイト』みたいな不気味さを【ギフトシード】でも上手に表現できたら、しっかりとしたホラーに生まれ変われるかも知れない!」
「おお、さすがオバケ屋敷プロデューサー! かっこいいですよお~!」
「ちょっと。からかわないでよ、サイコってば」
顔を赤らめつつも、子規の頭にはすでに新たな演出が組みあがりつつあった。
そして、数時間後。
あっというまに、改訂版のストーリーと演出が完成した。
キュウビにさっそく提出すると「おお」と、感心したような声があがった。
「いいね。【ギフトシード】がさらに進化してるよ」
「本当っ?」
「ああ、これはいいよ。クフフ。かなり不気味になった。お客さまの恐怖にゆがむ顔が目に浮かぶようだ……クフフ……フフ……!」
キュウビの顔が一瞬、狐にもどる。けものらしいその口がニヤリと笑みにひきつった。
「よし! 今すぐ【ギフトシード】のVR空間をアップデートだ!」
キュウビの掛け声に、ほうぼうに散っていた妖怪たちがワーキングスペースへと飛んでいった。
午後四時。メゾン・ド・ストレンジはいつもよりも盛況だった。
以前からあったストーリー【ギフトシード】にアップデートがほどこされたらしい、というウワサはすでにSNSで話題になっていた。
それを一目確認しようと、以前来たことがあるお客さまもおとずれていたのだ。
【ギフトシード】はおかげさまで、悲鳴と絶叫の嵐。
ストーリーが終わったお客さまがVRゴーグルを外せば、その顔は必ず汗か涙でぐしょぐしょになっているのだ。
そして、たった今も。
アップデートしたてほやほやのストーリーを選択しに、一人の少女がやって来た。
キュウビがさっそくもてなしていく。
「メゾン・ド・ストレンジへようこそ。お客さまのお名前をいただけませんか」
「あ……ミノリ、です」
「ミノリさま。本日はどんなストーリーをお探しですか」
「アップデートされたお話しのウワサを聞いて……」
「おお、頼もしい。では、そちらのゴーグルをはめ、ストーリーを選択してください」
ミノリは言われるがままにゴーグルをはめ、〝UP DATE!〟というアイコンがついたタイトルを選択する。
「それでは、いってらっしゃませ。ミノリさまが心地よい恐怖に出会えますように……」
【ギフトシード】
「ミノリ。この種、何かわかる?」
アコにそういわれ、ミノリは小さな種をつまみあげた。
薄だいだい色をした、米粒大ほどの大きさ。
しかし、何の種なのかはわからなかった。
朝顔やひまわりの種なら、小学校のころ理科の授業で育てたこともあったので、一目でわかったかもしれない。
しかし、アコに渡されたのは何の種なのか、見当もつかなかった。
「どこで買ったの?」
「もらったの。通りすがりの人に」
「えっ、知り合いに?」
「ううん、知らない人」
怪しすぎる。
まさか、毒のある種だったり、異臭を放つ花の種だったりしたら。
ミノリはあわてて種を袋に戻し、アコに返した。
「捨てようよ。何かわからないものなんて育てないほうがいいと思う」
「そっかあ。くれたおじいさんが困ってるみたいだったから、ついさ」
「困ってるって、何に?」
「それがね……」
アコの話によると、種をよこしてきたのは近所では見かけたことのないおじいさんだったらしい。
そのおじいさんが、すれ違いざまに奇妙なことをいった。
——あのう……『ギフト・シード』いりませんか。
聞いたこともない単語に、ミノリは首を傾げた。
「何それ」
「でしょ。めちゃめちゃ怪しかったんだけど、どうしても気になっちゃってさ」
「いや、危ないよ……。それで貰ってきちゃったの、その〝なんとかシード〟」
「ギフト・シード! 直訳すると『才能の種』ね」
「才能の……種? 何それ」
思わず、食いついてしまった自分に、ハッとする。
案の定、目の前にいるアコが「ウフフ」といいながら、いやらしい笑みを浮かべていた。
「ほーらね。しょせん、人間なんてそんなもんよ。欲望にうえてんの。フフフ」
「からかってないで、続きは? 結局、そのおじいさんは何者だったの」
「知らない。〝ほしいです。種をください〟っていったら、ポンと渡されて、サーッとどっかに行っちゃったんだもん」
あまりにも怪しすぎる。
しかし、それ以上にアコが持つ種がなんなのかが気になった。
得体の知れない種〝ギフト・シード〟……才能の種。
もし、本当だったらすごいことだ。
種が育ち、花開いたとき、自分にすごい才能が目覚めたとしたら。
自分はそのおじいさんを現世に降りてきた神さまだったのかも知れないと思うだろう。
「ねえ、ミノリ。育てるだけならタダだもん。一緒にやってくれないかな」
小学校のころから、朝顔ですらまともに育てられなかった、アコ。
夏休みの課題だったミニトマトの観察は、アコだけずっとしおれたミニトマトだった。
中学生になっても、それは相変わらずらしい。
「しょうがないな。私も、気になるもん。才能の種。一緒に育てよう」
ミノリの返事に、アコは嬉しそうに喜び、ホッと胸をなでおろしていた。
その日の夜。
ミノリはさっそくネットで『ギフト・シード』について調べた。
しかし、いくら検索しても目ぼしい結果は出てこない。
やはり、ただのなんの変哲もない種だったのだろう。
アコはだまされたのだ。
あの老人は家の畑であまった種をそれっぽい名称をつけ、すれ違った人間におしつけていただけ。
早めに、アコに伝えたほうがいいだろう。
がっかりする前に。
親友であり、何でも言える仲だからこそ、本当のことを伝えなければ。
次の日、アコの家にやってきたミノリ。
ドキドキしながら、インターホンを押す。
すると、裏庭から「ミノリー」と自分を呼ぶ声がした。
急いで声のしたほうへと回ると、アコがジョウロを持ってニコニコと手を振っている。
「ねえ、見て見て! すごいよ」
「何が?」
「あっ。ご、ごめん。待ちきれなくてさ……」
見るとどうやら、アコは種を植えてしまったらしい。
好む土や、水の量もわからないのに。
相変わらず、植物を育てることに向いていないらしい。
しかし、アコは目をきらきらと輝かせながら、地面を指さした。
「〝芽が出たんだよ〟!」
「……は、はい?」
「これ!」
そこは耕してもいなければ、草も抜いていない、ただの地面だった。
一部、穴を掘った形跡がある。
アコが、例の種を植えた場所なのだろう。
新しい小さな芽が一本、ぴょこんと顔を出している。
「まさかっ? ええっ? い、いつ植えたの?」
「今日の朝かな。七時くらい。待ちきれなくてさ、植えちゃったんだ。そしたら、びっくり! もう芽が出てたの。すごくない?」
そんな植物、存在するのだろうか。
少なくとも、ミノリは聞いたことがなかった。
ミノリは改めて思った。
アコに、いわなければならない。
芽はひっこぬくべきだ。
そうそうに、処分するべきだ、と。
「ねえ、ミノリ」
「何?」
「本当に、この芽が才能をくれるすごい花を咲かせたらさ。まずはミノリにあげるね!」
「えっ」
「ミノリはいつも私を助けてくれるから。小学校の時、私のミニトマトが枯れかけた時。ミノリがお世話を手伝ってくれたから、何とか息を吹き返してくれたでしょ。それだけじゃない。私が石につまづいて転びかけた時、支えてくれたり。宿題忘れた時も、一緒に問題を解いてくれたり。いつもミノリには感謝してるんだよ」
「アコ……」
「この種もさ、早くミノリにあげたくて! だから、待ちきれなくて植えちゃったんだ。今度は……枯れないといいなあ」
「……大丈夫だよ」
こんなことをいうつもりじゃなかった。
しかし、口は勝手に動いてしまう。
「私も、一緒に育てるよ。だから、安心して。アコ」
ミノリの言葉に、アコはとても嬉しそうに笑った。
やがて、ギフト・シードは一週間でりっぱな花をつけた。
まるで炎のような真っ赤な花びらに、太い茎。
扇のような大きな葉っぱ。
だが、どれだけ特徴を検索ボックスに入力して調べても、花の名称はわからない。
「一体、どういう花なんだろう。大した世話もしてないのに、こんな短期間で咲くなんて……」
花が咲いてからも、ミノリはスマホをタップしていた。
何度も何度も検索ワードを変えて、ギフト・シードのことを調べ続けた。
今もこうしてアコの家をたずね、じっくりと花を観察しては、スマホに指を滑らせている。
しかしアコは、そんなミノリを不満そうに見つめた。
「ミノリってば、そんなことばっかり。それよりもさ、この花からどんな才能がもらえるのか気にならないの?」
そうだった、とミノリはスマホを下げた。
アコは自分のために、この花を一生懸命育てていたのだ。
毎日水をやり、『花には話しかけるといい』ということを知れば、時間があるときは欠かさず花に語り掛けに行っていた。
そんなアコの気持ちをむだにはしたくなかった。
「でも、どうしたら才能を貰えるの?」
「そうだよねえ。うーん、そうだ。花を食べるといいとか」
「ええっ、食べるの?」
「そうそう。テスト勉強の時とかさ、答えを書いた紙を食べると覚えられるって聞いたことがあるの!」
そんなわけはないのだが、アコはそれを心から信じているようだった。
「ねえ、ミノリ。食べてみて!」
「はあ? 何いってるの。毒があるかもしれないのに、そんなことできるわけないでしょ」
「そっかあ。でも私が食べたら、せっかくミノリにあげようとしてた才能をもらっちゃうことになるしなあ」
アコは、これがギフト・シードであるということを疑っていない。
きちんとわからせてあげたいが、自分のためにと思ってやってくれているアコにどういって伝えたらいいのか、ミノリは悩んだ。
なるべく、アコのことを傷つけたくはなかった。
「そうだ!」
アコが、ぱあっと顔を明るくさせた。
「半分こしようよ」
「えっ」
「ミノリの気持ち、わかってるよ。初めて食べるものは、誰でも怖いもんね」
「あ、アコ……?」
「ミノリに全部の才能を食べてもらえないのは残念だけどさ。でも、嫌いな食べ物をミノリにだけ押し付けるなんてしたくない。給食のとき、私の嫌いなセロリが出た時、ミノリが食べてくれたよね。ミノリの嫌いなブロッコリーが出た時は、私が食べる。私たち、そうやってやってきたんだもん!」
アコが、むじゃきに笑った。
降参だ、とミノリは思った。
(こんなの……食べるしか、ないよね)
花を摘んだアコが、それを真っ二つに裂いた。
そしてその片方を、ミノリに差し出す。
(お腹をこわすか、才能が開くか……どちらか。もしかしたら、死ぬかもしれない。でも、アコのためなら……)
悪くないかもしれない。
だってそんなの、まるで映画みたいじゃないか。
悔いは、なかった。
「私たち、親友だもん」
アコがぱあっと顔を輝かせ、はっきりという。
「うん……」
「一緒に才能の花、咲かせようね!」
「そうだね……」
二人同時に、鮮やかな赤い花を口に入れた。
——ぱく……ごくり。
酸味と、苦味、そしてほのかな甘味とエグみ。
思った通り、美味しくはなかった。
「やったー! 食べちゃったね。どんな才能が出るのかな」
やり方があっているのかもわからないのに、アコは大はしゃぎだった。
明日はお腹を下すかもしれないのに。
いや、毒だったとしたらすぐにでも反応が出るのだろう。
今のところは、体に異常はなさそうだが……。
「ううっ」
突然、アコが地面にうずくまった。
お腹を押さえているようだ。
「あ、アコ!」
「ううー、ううーっ」
「どうしたの、アコ!」
「はな……は、なが……」
間違いない、毒だ。
やはり危ないものだったのだ、あの花は。
「すぐに救急車、呼ぶから!」
「さく……」
「え」
「さく……さくう……」
「アコッ?」
「さくううううう……」
——ぼごっ。
アコのお腹のあたりから、その音はした。
腹部のくぼみから、細い管のようなものが伸びてきている。
ミノリはうねうねと波打つそれをつかみ、引き抜こうとする。
しかし引っ張った瞬間、アコが痛みからか悲鳴をあげ、その場にのたうち回る。
管から手を放すと、黄緑色の汁が付いていた。
つんと、鼻をつく青臭いにおい。
アコの腹部から伸びているのは、植物に違いなかった。
それはみるみるうちに成長し、葉をつけ、つぼみをふくらませている。
そのたびに、アコは恐怖に顔をゆがめ、うめく。
ミノリはどうすることもできなく、ただ見ていることしかできなかった。
アコのつぼみがゆっくりと開いていく。
べっとりとした、赤色が見えた。
アコの激しい息遣いが、ミノリの鼓動をより早めた。
なまぬるい風がアコの花をゆらす。
花びらが、開いていく。
みちみちと茎が揺れる。
かさり、と葉がこすれた。
見事な赤い花がアコの上に、咲いた。
あまりの鮮やかさに(きれいだ)とミノリは思った。
「さいた……」
「アコッ」
「これが、私の……あたらしい才能……」
「は……?」
「おはな……そだてられるように……なったんだ……私……」
うめくようにつぶやくアコに、ミノリはゾッとする。
その時、ミノリは腹部に〝ぼこり〟という違和感を感じた。
もぞもぞ、と腹のくぼみのあたりがうずく。
途端、全身の血の気が引くのを感じた。
自分も、アコと同じ花を食べたことをようやく思い出したのだ。
次は、自分の番じゃないかと思ったとたん、凄まじい吐き気がミノリを襲う。
「っうう……!」
「ミノリ」
アコの冷たい手が、ミノリの口をふさいだ。
「吐かせないよ……。私たち……親友だよね……」
アコの虚ろな目が、空中をさまよっている。
にも関わらず、その手はしっかりとミノリの口を掴んで離さない。
「これは、永遠に咲いていられる才能だったんだ。きれいな花のまま、私はミノリとずっと一緒。すごい才能だよ! ね……私たち、親友だもんね?」
その家の庭には、二本の赤い花が年中問わず、咲き続けていた。
枯れることなく、いつまでも、いつまでも。
【ギフトシード おわり】
子規はエントランスが見える階段の踊り場でサイコたちユーレイと、ミノリのようすを見守っていた。
ユーレイたちはVRゴーグルをつけ、顔を恐怖にゆがめているミノリに大喜びだ。
わいわいとはしゃいで、お腹を抱えている。
「ああ、最高だ~! あの怖がっている表情! たまらないねえ~! ヒーッ、お腹が痛い。ヒーッ、ヒーッ!」
「【ギフトシード】であんなに恐怖におびえるなんて、これまでにはなかったよなあ。子規のぼっちゃん、やるねえ。いい感じに書き直したんだなあ~!」
ユーレイのおじさんが褒めてくれ、子規は照れ笑いをする。
サイコも、床に体をポンポンと弾ませている。
「見てください。あのミノリって子、ゴーグルを外したとたん、カバンを持って出て行ってしまいましたよ~! キュウビさまが声をかける間もなく! フォーミュラカーも驚きの足さばき! 彼女は国際恐怖同盟によるスーパーライセンスをお持ちのようですねえ」
「サイコが何をいっているのかさっぱりわからないけど、喜んでくれているようでなによりだよ」
頭の上に乗っているサイコを見上げながら、子規はほほ笑んだ。
店内カメラに映るキュウビがこちらを見上げ、手を振っている。
最下位のストーリーでこの反応ということは。
他のストーリーも、手直しする価値があるかもしれない。
子規は、ホラーストーリーを書く自分の腕が上がっていることを、今回のことで実感することができたのだった。
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