【ボイスサンプル台本】逆告白風ボイスシリーズ

逆告白風ボイス【人魚✖️王子様系】

逆告白風ボイス【人魚✖️王子様系】
　
　あっ、居た居た。
　お待たせ、随分と待たせてしまったよね。
　見張りが厳しくてなかなか城を抜け出せなくて…。
　
　あぁ、なんとか大丈夫だったよ。
　お菓子をあげたら見逃してくれたよ。
　
　ただ…持ってたのを全部渡しちゃったからもう残ってないんだ…。
　君に食べさせてあげる約束だったのに申し訳ない…。
　
　それはこっちのセリフだよ。
　いつもこの浜辺まで会いに来てくれてありがとう。
　
　波打ち際の境界線でこうやって君と話している時間は何物にも変えられない時間だよ。
　この時間のためなら私はどんなに辛い訓練であっても、たとえ苦手な勉強であっても耐えられる。
　そんな気がするんだ。
　
　だから…これからも私と友達で居てくれるかな？
　
　……どうしたんだい？そんなにくらい顔をして。
　
　ずっとずっと好きでした…か。
　
　はぁ…。想い人に先に想いを告げさせてしまうなんて私はダメだな…。
　
　あぁ、私もずっと前から君の事を想っていたよ。
　
　私も君も将来的には一国を担うはずの身だ。
　それなのに自分と違う種族の相手となるとお互いの家族が黙って居ないだろうね。
　それに君みたいな存在は私達、人間の世界では空想上の存在でしかないからね。
　
　正直、私も初めて君と会った時は心底驚いたよ。
　本当に人魚は存在したんだって。
　
　だから…まだ君と同じ世界で暮らす事は出来ないんだ。
　
　だから本当はもっと早くに伝えたかったのだがそうは行かなかったんだ。
　いや…ただ私が臆病だったのかもしれないな…。
　
　常に一緒には居れなかったとしても、本当の気持ちを伝える事は出来たはずだからね。
　
　長いこと苦しい想いをさせてしまった事、そしてこれからも辛い目に遭わせてしまうかもしれない事、本当に申し訳ないと思っている。
　どうか許してくれ。
　
　ただ、君に苦しい想いだけをさせるつもりは無いんだ。
　
　実は先日、こんな噂を耳にしたんだ。
　遠い西の国にはどんな生物にでも姿を変えられる魔法使いが居るらしいんだ。
　
　普通であればこんな噂を信じるわけは無いんだが…、今の私にはどんな嘘みたいな噂も真実に聴こえるんだ。
　
　だから、近いうちにその人に会いに行ってこようかと思う。
　そうすれば私も君と同じ姿になって一緒に海を泳げるからな。
　
　ただ、今の我が国は財政難で民達は苦しい生活を余儀なくされている。
　そんな民を放って私だけ他国に行くわけにはいかない。
　私は民達が愛する人と安心して暮らせる国を作りたい。
　そのためにも絶対に数年でこの国を立て直してみせる。
　
　だから、その後になってしまうのだが、私がこの境界線を越えて君の居る世界に入れた時は、沈んでしまわないように手を繋いでくれないか？
　恥ずかしながら実は、一度も泳いだ事が無いんだ。
　
　ふふっ、ありがとう。君に教えて貰えるなら心強いよ。
　
　あぁ、この想いは泡のように弾けて消えたりなんかしない。