魂だけで優しい？女神様に異世界へ召喚された俺は異世界を征服する事になってしまいました

異世界転移

第5話 過保護騎士団

木の上に身を潜めしばらく経った頃。
俺は騎士達に囲まれてる女神様を確認して、念話を試みていた。

(大丈夫そうですか？)
(はい！
ただ、夜にならないと騎士達の監視が減りそうにありませんね？)

女神様の護衛は減るどころか増え続けている。

(了解です、なら暫くは休憩していますね。)

監視が多いというより、騎士達が頭を撫でて女神様を可愛がっている。

だが最初は痛みに耐える時のように目をギュッと瞑り体に力をこめて、プルプル小刻みに揺れていた。

その様子を見た騎士が事情を知る者は聞くを繰り返したことで、この世のものとは思えない美少女である女神様が劣悪な環境に置かれていた話は一気に広まった。
その話しで不憫に感じたのか各々お菓子などの甘いものを渡している。

バレるといけないから頻繁には見れないけど、女神様の周りにはドンドン人が増えていった。

大半が男で告白をされたりもあるようだが、近くで警備をしている騎士達によって保護された女神様見てる。

スキル未満の技量だが読唇術を使って口の動きから会話内容を盗み聞く。

「コレも食べるかい？」
「いいん、ですか…？」
「いいんだ、君はよく頑張ったからね。」
「ありがとうございます…」

(離脱するの明日でも良いですかね？)

餌付けをされてる！

ご飯やお菓子を与えられた影響か、もう此処に保護されても良いかなって思い始めてるであろう女神様、流石にチョロすぎませんか？！

(ふふ、冗談です。
なんとか隙を作って離脱するのでそれまで待っててくださいね。)
(わかりました…)

またまた時間が経ったあと、
騎士達を引き連れた1人の男が女神様へと近づいてきた。

「初めましてお嬢さん。
私はアーレス王国第二騎士団長のダニス、少しお話を聞かせてもらいたいのだが大丈夫かい？」

髭を生やした屈強な男は自らを騎士団長と名乗った。

保護された奴隷と思われる少女に話を聞きにきたようで、流石に武器は持っているようだが鎧は軽めの物を着ている。

「は、い…」
「ではどのような事をされたのか言える範囲でいい教えてくれないか？」
「え…
あ、あぁぁぁ！」

質問をされた女神様が叫び始めた。
その姿は辛い事を思い出してしまって苦しむ少女にしか見えなかった。

思わず、『あれ、演技だよね？』と思ってしまうほどであった。

それは演技であると知っている筈のおれでさえ動揺するほどであった。
周りの騎士達はもっと慌てており、落ち着かせようとお菓子を差し出したりしている。

「落ち着いてくれ。
…すまなかった、もう怖いのは居ない安心してほしい。」
「嫌だぁ…
ごめん…ごめんね……」

叫ぶ演技はその言葉で辞めたが啜り泣く演技は続行している。

やがて諦めたのかダニスと名乗った男は女神様へと手を向け魔法を放った。

「【スリープ】…誰か医療班の所へ暫く休ませてやってくれ。」
「「了解です！」」

周辺にいた者達が落ち込んでいる。

だが、

(完全勝利しましたよ！
やってやりました！)

念話だけでわかるほどニッコニコで報告している女神様、騎士団長の魔法で眠らされたように見えたのは演技だった。

(魔法受けて眠ってしまったのかと…)
(いくら弱っているとはいえ私にはあの程度の魔法は効きません！
コレから寝たふりを続けます、タイミング見て連絡するので迎えに来てください。)

だが女神様の演技がうますぎたせいか、見張りに立候補する騎士がとても多い。

それに断ったとしてもきっと勝手に見張るだろうし何かしらのアクシデントが起こらない限り難しいよなぁ…

途中まで作戦は上手く行っていると思われていたが、此処で女神様の演技が上手すぎたという問題が発生したのだ。

女神様は誰から見ても超美少女。
そんな少女が奴隷として苦しい思いをしていたと聞いた騎士達は絶対に守ってあげなくてはと使命感抱いており、隙を見て離脱する作戦が騎士達の視線が多すぎて実行できないのである。

魔法使ってテントで爆発でも起こすかな。

「は？」

俺は自分が何を考えたのか一瞬理解できなかった。

コレは肉体がなくなった影響か？
ラノベには主人公が人間では無い作品もある、段々人間っぽさを失っていく主人公をヒロインが救う展開が好きだった。

「いや待て、そんな事あり得ないだろ…」

俺は人間のはずだ。

「誰かいるのか？」
「！」

声を出したせいで近くにいた騎士にバレてしまったのだ。
だが場所まではバレていないようだったが近くに居た騎士はかなり警戒しているようだ。

「気のせいか…？」
「おーい、飯の準備手伝えー。」

危なかった…

他の騎士に呼ばれなんとかバレずに済んだようだ。
あの騎士も気のせいだと思うだろう。

何考えてたっけな？
えっと…そうだ魔法で爆発起こして見張りの騎士を減らすって作戦だ、女神様にも連絡しておかないと。

(という訳でもう少し暗くなったら魔法撃つので準備しておいてください。)
(了解した。
私も出来るだけバレないように移動します、お互いの位置はなんとなく感じ取れますよね？)
(はい。)

日が沈み始め暗くなってくる、騎士は松明に火を付け始めた。

さぁ、コレからが勝負だ。