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宝石ゴーレム

騎士団side 噂好きのオッサン

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王国の領内を騎士団と数台の馬車が列を成して進んでいた。

通常ならこんなに大勢で同じ方向へ進行することなどない、道中騎士団を見かけた商人達は戦争でもあるのかと恐れて道を譲っている。

「はぁ~…」
「でかい溜息辞めてくださいよ、団長にチクりますよ?」
「あー、わかった。
すまんかったからそれだけは辞めてくれ、俺が死ぬ。」

馬車を操ってる騎士2人が会話している。
もちろん周辺を警戒していない訳ではないが、目的地はまだまだ遠く団長達もあまり強く注意はしない、最初から集中していては目的地に着いた時に疲れてしまうというのが理由だ。

「国の5個ある騎士団のうち3つも動かすんだ。
これから逝くのは絶対にやばい場所、憂鬱にもなるだろ…」
「まぁ、そうでしょうね。」

少しだけ小声になり話す。

「しかも王都に残ってるのはあの貴族騎士団、俺達がいない間に王都が陥落しないか不安だぜ。」

騎士が嫌な物を語るように話すのを強い口調で止める。

「それ以上は本当に辞めとけ。
いくらカスの集まりでも奴等は貴族だ、バレれば首が物理的に飛ぶぞ。」

そんな話をしていると中継地点の街に到着した。

指示を出している団長達に従い馬車を動かす。
指示された場所に馬車を設置して、班ごとに人数確認を終え広場へと向かっていく。

3つの騎士団が合同で動いているため広場は人で溢れていた。
今日の宿泊場所である駐屯地でもこれだけの大人数は流石に想定されていない、幹部クラスでもない限り部屋は5人で共用、かなり狭くなるだろう。

「今日はここで一晩過ごす!
食料の補充、装備の点検、明日まで残るほどの飲酒はせず、気をつけて行動しろ!」
「「「は!」」」

団長達の確認が終わりこの場は解散になる。
仲の良い者で夕飯を食べに行く者、先に装備の点検をする者、馬の世話に行く者に別れた。

「飲みいくか?」
「飲みより飯だろ。
明日に残ってたら殴られるじゃすまねぇし、今日は何処も騎士達で一杯になっちまう。」
「合同だもんな。」
「ある意味、この街は潤うだろう。」

馬車を操ってた2人と知り合いが合流して、夕飯を食べる店を探す。

「てか俺達の中でこの街に来たことある奴いないの?」
「「「……」」」
「居ないんかい、じゃあ適当なとこでいいか。」

4人は空いててラッキー程度の気持ちで、稼ぎ時なのに何故か人が少ない店に入っていく。
30席はあるのに客は何故か3人しか居ない。

「此処やばかったんじゃね?」
「俺の奢りだ。」
「「「ご馳走様です!」」」

今から他の店を探すって言っても4人で座れる店などもうない。
多少強引な方法を使ってこの店で食べる事にして席に座る、店内は静かで外の方が騒がしい。

「注文は?」
「オススメでお願いします。」
「そっちは?」
「全員オススメで。」
「あい。」

店員は年配の男で対応はお世辞にも良いとは言えなかった。

「おいおい対応最悪じゃないか?」
「飯を待たずに、それも奢りで食えるんだ文句言うな。」
「いやぁ、俺も何回も言ってんだけどねオヤジさんは全く変える気が無いのよ。」
「は?」

ボソボソと話してる騎士達の元へ男が1人近づきいつの間にか椅子に座っていた。
男はボロボロのローブを見に纏い清潔とは呼べない見た目だったが、悪臭などはしなかった。

「誰だ?」
「おいおいそんな警戒すんなって、俺は噂好きのオッサンだよ。」

噂好きのオッサンを自称している男、とても怪しい。

「いや少し考えろ。
噂好きを自称するなら騎士団が大勢来ていることは知っているだろ?
知らないオッサンが末端とはいえ騎士の俺達に話しかけながら近づいてくるなんて、警戒しない方がおかしいだろ。」

「はっはっは、なんだ勘違いかよ。
まぁ、今日は楽しそうな事があるし別に良いや今日はサービスしてやる。」
「サービスって何がだ?」

男は眉間に皺を寄せながら唐突に話し始めた。

「この国の騎士団達が向かっている街は滅んだ。
実行犯は大量のアンデットと謎の少女で未確認だがやべぇ邪教の幹部。」
「は?」

疑問の声をあげる騎士達だったが男は無視して話し続ける。

「敵にはユニークモンスターが居たらしい。
それと今日は冒険者に護衛された商人達が行方不明になったらしいぞ?街の件と関係あるかは知らんがな。」

男以外は誰も喋れない。
雰囲気に飲まれているのか、頭が働いていないだけかはわからない…

「おっと、飯が出来上がったみたいだな、ゆっくり食えよ俺は帰るからな。」
「ま、待て。」

騎士達は席を立った男を追いかけようとするが、体が重くなりまるで椅子に縛り付けられたかのようで騎士達は全く動けなかった。

「そうだ最後に言っとくぞ、あの街が潰された時ならまだなんとかなった。
でももう無理だな、大人しく帰った方が身のためだぞ。」

男は最後にそう言い去っていった。
体が動くようになっても皆椅子から動けなかった。

「オススメの塩茹でだ。」

店主が夕飯を持ってきて騎士達の前に置く、騎士達はフォークを持ち一口食べる。

「まずっ…」

誰かの呟きが静かな部屋に響いた…
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