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宝石ゴーレム

第40話 コッコ

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コケコッコー!

結局コイツらを運んでたら朝になっちまった。

地下を進んでいたネクは随分前に到着している。
鶏達は最初は運んでいる俺を警戒してジッと見つめていたが時間が経つにつれて警戒時を解き、揺れが心地良くなったのか運んでいるというのに眠っていた。

「ん?
あんなにゴーレムが集まって何やってんだ?」

1番外側の門の前にゴーレムが大量に集まってる。
そこにはアメジストもおり、地面に手を置き険しい表情をしていた。

「どうしたんだアメジスト。」

俺の声に素早く反応し、地面に警戒をしたまま話し始めた。

「ケント様、地下にそこそこの大きさの気配を察知しました。
敵の可能性も十分あると思われます、どうなさいますか?」

あー、なるほど地下にいるネクの事を警戒してたのか。

「それは大丈夫だぞアメジスト。
ネク出てこい。」
「ネク?……!」

ボゴン!

地面が盛り上がり近くにいたゴーレムを吹き飛ばしながら派手に登場した。

「ちょ、何してんだ!
はぁ、次からは巻き込まないように気をつけろよ。」

シュン…

ゴーレムを巻き込みながら地上に出てきたネク、破壊まではいかないが破損しているかもしれない、流石にアメジストに申し訳ない気持ちが湧き出る。

「これは…」
「砦の実験で出来た多分中級の上ぐらいのアンデットであるネクだ。
魔法は使えないが地下を素早く移動できて、物理的な力はかなり強い、撹乱に使えると思う。」
「なるほど、かなり良い戦力ですね。」

普通にネクに触るアメジスト。

ウネウネ 

コイツ、アメジストに撫でられて照れてるのか?
そういう気持ちがあるのかわからないが、ネフティー様に合わせるのは少し考えたほうがいいかもしれない。

「ネク持って来た物を出したら地面に潜ってその場で待機。
それとアメジストの指示なら地上に出てもいいからな。」

ブンブン

縦に頭を振ってから少し地面に戻って、武器と物資を外に出し始めた。

ガラガラガラ!

「アメジスト整理頼んでもいいか?
俺は鶏移動させたあとに手伝いに戻るから。」
「いえ、整理は私だけで十分です。
ケント様はネフティー様の所へ言ってください保護した人間のところに居るので…あ、案内用にゴーレムを渡します。」
「そうか?ありがとう。」

鶏を要塞内の小さめの庭に置く。
もちろん日陰になっているところでネクの持って来ていた水と植物の種も一緒に置いている。

「よし、あばよコッコ共また会おうな。」

コケー!コケー!

「あぁわかってる、俺も寂しいさ…」

コケー!!!

鶏達の鳴き声をバックに片手を上げて、廊下に出て待機していたゴーレムについて行く。

俺、鶏相手に何やってんだろ。
急に冷静になってからそう思った。

保護した人間が居るのは地下らしい、階段を降りて直ぐの場所にある扉の横でゴーレムが止まった。

コンコンコン

「健斗です。」
「開いてるので入ってください。」

中にはスプーンでご飯をあげているネフティー様と保護した子がベットに上半身だけ起こしていた。

「ケントさん、おかえりなさい。」
「ただいま戻りました。」

保護した子は俺が入って来たことには気づいてるはずだがネフティー様から視線を動かさなかった。

「この子の名前はシーラさんです。
どうですか?挨拶はできそう?」

シーラと呼ばれた子はゆっくりと視線を俺の方へ向けて、ギリギリ聴き取れる声で言った。

「シーラ…
助けてくれて、ありがとう……」
「調子はどうだい?」
「歩けない、って…」

歩けない?!
魔法でも治らないのか…

脚は毛布で隠れて見えないけど、アメジストとネフティー様の治療を受けて歩けないのはかなり酷い状況だったのだろう。

「でも、大丈夫…」
「そうか…」

話すことないな、ネフティー様も忙しそうだし…

「もう少し食べられそうですか?」
「はい…」

ネフティー様の邪魔になったら悪い。
シーラにとっても男である俺がいるのはあんまり良くないだろう。

よし、地上に戻って鶏達と戯れるか!

「ネフティー様、自分は上に戻りますね。」
「わかりました。
今日はずっと地下で過ごすのでお昼ぐらいの時間になったらご飯を持って来てくれると嬉しいです。」
「わかりました。
スープと卵焼き多めで作りますね。」
「お願いします。」

地下室から出た俺は案内でついて来たゴーレムと共に鶏を置いた庭へ走った。

「コッコー!」

コケー!

「元気だったかコッコ。」

別れてから30分も経っていないが、なんとなく言いたくなった。

コケー!

「そうかそうか…」

俺は鶏達と戯れ続けた。
その姿を道具の整理が終わって、俺を探しに来たアメジストに見られ、俺が恥ずかしくなるまで残り1時間ちょい。


ーーーーー

ネフティーとシーラは話していた。
だがシーラの様子はおかしい、どこか虚ろでフラフラしている。

「あの神は、嫌い…」
「私もですよ。」

そしてシーラの本音に対してネフティーが相槌を打つ形で会話は続いていた。

「友達、会いたい…」
「私達の用事が終わってからでいいなら合わせてあげましょう。
私はこれでも神なので!」
「神?」
「そうです、人間が邪神と呼ぶ1柱ですよ?」
「会えるなら、そんなのどうでもいい…」

最後の反応にネフティーは嗤った。

「これから、よろしくお願いしますね?」
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