軽音部の恋物語は音を奏でるだけでは成立しない?

ど~はん

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17.珍しいよくあるもの

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「おぉ~湖だぁ」

山間をひたすら突き進む電車の窓から見えるのは湖。

「あれは木崎湖だな。俺らが目指しているのはこのあとに見える中綱湖ってとこにある、やなば駅というとこだ」

龍人がそう言った直後、木崎湖は見えなくなりしばらく田畑が続く。
山沿いには車と多くのバスが行き交う。

※彼らの参加方法は実際の参加方法と異なりますのでご了承下さい。
ちなみに実際の参加方法は、当日に信濃大町駅という駅で受付し、バスで移動になります。
しかし、この物語ではあえて正規の参加とは異なったものとしています。

そのうちに踏切が見え始め、窓の外が広がって来る。

「また湖か」

成羽が見るのは中綱湖。
先ほどの木崎湖ほど大きくはないが、スキー場の近くということや民宿がいくつもある。そのため釣りに来たり観光に来たりする人が多い。

「お、やなば駅。ここで降りるのか?」

アナウンスとともに立ち上がって背伸びする達真。

「おう、そうだ。降りるぞ~」

ゆっくりと減速する電車。
そして龍人の一言で立ち上がる成羽たち。

彼らは中綱湖に到着。
それから今日は中綱湖周辺を探索し、近くの民宿で一泊するととなったようだ。
そこであった色々な出来事はまたいつか語ることとしよう。

次の日朝早く起きて出発する。
いよいよ塩の道祭りの始まりである……。

「え~、こんな遠いって聞いてないよぉ」

三葉は木陰で立ち止まる。

「いくつ湖あるの?」

立ち止まって湖を見ながら呟く千瀬。

「昨日の電車で見たのは木崎湖、そのあとは中綱湖。そして今歩いてるのは青木湖という湖の周りだな。これを総称して仁科三湖」

彼らがいる青木湖という湖はキャンプ場があり、よく部活や小学校などの課外実習に使われることもある湖である。
そんな青木湖で参加者が集まり、塩の道の大町湖畔コースがスタートする。

「あ、三葉。これ食ってみ」

さっきからずっと周りを見渡していた龍人が、突然三葉にあるものを渡す。

「え?」

当然のことながら、三葉は唖然とする。

「いいから、食べてみ?」

「なんだ 、それ?俺が食う!!」

三葉が首を傾げる中、達真が興味を持ち三葉から受け取って食べるのだが……。

「うぁっ、なんだこれ!にっっがぁ!なんてもん食わせてんだよ!」

達真はあまりの苦さに狂ったように暴れ始める。

「それは蕗の薹だな、この時期では珍しいぞ~」

彼らはいよいよ、地獄に足を踏み入れてしまったのだった──。
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