軽音部の恋物語は音を奏でるだけでは成立しない?

ど~はん

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16.真っ赤に染まった頬

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「ん……、ついたの……か。」

千瀬に肩を揺らされて、ゆっくりと目を開ける成羽。

「ここ……、お……おぉ~!」

軽く寝ぼけていた成羽の目を覚ましさせたのは景色であった。

見渡す限り高々な山に囲まれている町。
成羽の視界に映ったのは、自然と共に育つ町【大町市】である。

バスはとある駅に到着する。

「よし、ここで降りるぞ。」

龍人の一言で、自分の荷物を手に持つ成羽たち。

「んっ、ん~~~!!」

「あぁぁわ~~。」

立ち上がって大きく背伸びする者もいれば、半分閉じた目を擦る者もいた。

「あざーした~。」

ゆっくりとバスを降りた成羽たちである。
そんな彼らに……、

「さて、今の時間は……と。」

腕時計と手元の資料を照らし合わせるものが1人。

さぁ、この時点で察した方はいるだろう。

「20分後の電車乗るぞ~。」

というまたまた移動という鬼畜な発言を言い始める龍人。

『はぁ!?』

これには全員目を覚ました……、というか怒り新党な様子で……。

「一体いつになったら移動終わるんだよ!」

「もう勘弁だって!!」

「鬼だな……ほんと。」

という罵倒が飛び交った。

「まぁ、そう怒らんでくれよ。」

『怒るわぁ!!!』

「ぐっ…………あ……あの、次で最後だから……ね……ね?うぐっ……。」

「ちょっとこっちに来てもらえるかな~。」

優しく笑っている三葉に離れたところに連れていかれる龍人。

「あっちょっ……あぁっ!誰かぁ!!た……たすげぇでぇ~!」

「うるさぁい!そこに正座っ!」

「あ……やってるよ。」

「まったく……。」

呆れる成羽たちの耳には、断末魔のような声や、頬を思いっきり叩かれる音がしばらくの間聞こえたのだった。

「ふぅ、スッキリしたわ。」

両手の誇りを払うような仕草をしながら戻ってきた三葉。

「そろそろ電車来るな……、あっ、切符切符!」

切符という大事なものを手に入れていないことに気づいた達真

「あっそうだ!!」

「早くいこう!」

達真の一言で気づいた千瀬は、成羽の手を引っ張っていち早く駆け出した。

「行くぞぉ!」

「行きましょ~。」

達真と三葉も遅れて駆け出す。

「お……おい!お前ら、俺を置いてくなよ!まったくいきなり元気になりやがって~。」

それを追うように、ふらふらと駅に駆け込むのは左の頬だけを、まるで日に焼けたかのように真っ赤に染めた龍人だった。

彼らはなんとか電車になるのであった―。



ここで、いつになったら信州野草フェスティバルなんだよ!と思っている方が多いと思いますので言っておこう。



次回!信州野草フェスティバル

開幕っ!!
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