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第一章
お嬢様の日常sideキュリー
しおりを挟む突然ですが、私はキュリー、エミリーお嬢様のメイドでございます。サーカスに行った日から、アルフレッドさんとお嬢様がらぶらぶしているので、それを観察しているのです。実は私大の恋愛話好きでして…というのはよくて、今回はこれを皆さんにお伝えしたくてお伝えしたくて…。
何をメタな発言をしているんだと思われるかもしれないが、とにかく私は二人のことを伝えたい!
_____________________
〇月✕日、天気:晴れ
今日からお嬢様とアルフレッドさんのことを記録しようと思う。なにせサーカスに行った日から、二人が前よりも仲良くなっているんだもの。これは何かあったか探らないといけないわよね。
8:00、お嬢様起床。朝服を着替えようとしたら「この髪留めつけてくれる?」だって。これアルフレッドさんが渡したものよね?
9:00、旦那様と奥様とお食事をとられる。昨日のことを聞かれて、お嬢様は顔を真っ赤にしてた。なにがあったんだ。
12:00、庭園でアルフレッドさんとベンチに座ってる。やっぱり前よりも距離が近い。観察を続ける。
15:00、アルフレッドさんが忙しかったので、私がお茶を用意しようか聞くと「アルがいれたものが好きなのよ、だからごめんなさいね」と丁重に断られた。よいぞよいぞ。
20:30、「明日はアルと町に出かけてくるからね」お嬢様は嬉しそうだ。お友達ができたそうで、その方に会ってくるのだとか。アルフレッドさんの殺気がすごい。お嬢様ご無事で。
〇月〇日、天気:曇り
7:30、いつもより早い起床。今日のドレスは動きやすいものをと言われたので、膝丈より少し長いくらいのワンピースを用意する。今日も髪留めはつけるのだそうだ。
9:05、お嬢様出発。キュリーもついていきたいです。でもお仕事が…(泣)
14:00、思ったよりも早い帰宅。お嬢様のお耳に可愛らしい緑の花のイヤリングが…。まさかと思い話を聞くと、お友達とのおそろいなんだとか。でも色を決めてくれたのはアルフレッドさんなのだと喜んでいた。アルフレッドさんと同じ瞳の色だ…まさかな。
15:30、アルフレッドさんに呼び止められる。仕事の話をされた後にイヤリングのことに聞いてみた。聞くんじゃなかった。他言無用だと念を押された。
〇月△日、天気:雨
9:05、いつもより遅いお目覚めのお嬢様。少し風邪気味のようだ。今日は一日寝ているんだそうだ。アルフレッドさんも心配そうに見ている。心配そうに声をかけるアルフレッドさんをみて、お嬢様は嬉しそうにはにかんでいた。
12:00、昼食を届けに行ったら眠っているお嬢様の手にアルフレッドさんがキスしてた!え!え!やっぱりアルフレッドさんって!!ドキドキしながら見てたらいつの間にかアルフレッドさんがこっちを見てた。11歳の子供だとは思えない眼力と殺気だぁ…。分かってます、これも他言無用ですよね…。
14:00、元気になったお嬢様とアルフレッドさんが廊下を歩いていた。すれ違いざまにアルフレッドさんにあとで話がある、と言われた。大丈夫ですって、言いませんって、お嬢様も不安そうな顔しないでいいですから!!
16:00、アルフレッドさんに呼ばれた場所へ行く。イヤリングのこととキスしていたことを口止めされた。その顔には焦りや照れや、他にも私には分からないが色んな感情がこめられていて私は応援したくなった。今までも応援はしていたんだけれど、やっぱり従者×お嬢様はなぁって…。でもこれからは、本気で応援しますよ!任せといてください!
18:45、お嬢様がーー…
「キュリーさん?最近何を書いてらっしゃるんですか?」
「あ、アルフレッドさん…」
お嬢様を見ながらメモをしていたら、お嬢様に用があったのだろう、やってきたアルフレッドさんに声をかけられた。
「最近熱心にメモをとっていると皆が噂してますよ」
「え?噂になってるんですか?」
私はきょとんとする。まだこの観察日記を書き始めて3日目だ。そんなに噂されるほどのことか?そんな私の様子にアルフレッドさんがにっこりと笑った。瞬間周りの温度が氷点下まで下がった、ような気がするほど冷たい笑みだ。ゴクリと生唾を飲む。
「キュリーさん、私やお嬢様の観察日記を書くのはやめてください」
「…な、なぜそのことを!」
「…やはり本当にしてましたか」
「あ!カマかけましたね!ずるい!」
私が半泣きしながらそういうと、アルフレッドさんがそんな私をみてため息をついた。
「キュリーさん、メモ書く時全部声に出てるそうですよ…」
「え?」
「最近なにかブツブツ言いながらメモをとることが多くなったなとは思っていたのですが…。近くにいたメイドが私たちのことを観察していたと証言しています」
前々から私はバカだと思っていたが、そこまでバカだったなんて…。私のバカバカ!
「お嬢様はキュリーさんからみると、嬉しそうだったりするのですか?」
いつの間にか私の観察メモがアルフレッドさんにとられている。それを興味深そうにアルフレッドさんが見ていた。
「え、ええ、まあ嬉しそうではありますね」
「左様ですか」
考え込むように顎に手を当てたアルフレッドさんを黙って私は見る。
「その観察日記、お嬢様のだけ続けてもらえますか?」
「はぇ?」
アルフレッドさんの唐突な申し出に私は驚き素っ頓狂な声をあげる。アルフレッドさんは照れたように長いまつ毛をふせ、
「私は鈍いものですから、お嬢様が本当に喜んでいるのかよく分からなくて」
と言った。
なんだかんだ言ってアルフレッドさんは、お嬢様の従者になって日が浅いのだ。お嬢様のことで分からないことがあって当然かもしれない。まして、恐らくだがアルフレッドさんはお嬢様にほの字なのだ。相手のことが気になって仕方ないに違いない。
「ええ、わかりました!このキュリー、全力でお嬢様とアルフレッドさんを応援させていただきます!!!」
その日から私とアルフレッドさんは、良き(?)仲間となった。私の観察日記は、2冊目を迎えようとしている。
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