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第二章
ゲーム開始3
しおりを挟む「おお、エミリー。お前の従者相変わらずイイよな。俺にくれよ」
扉をくぐりしばらく廊下を歩いていると、私の婚約者様、ラルクとその隣に銀髪、碧眼の青年がいた。こ、このお方は…!!
「ラルク、この子が君の婚約者なのかい?良ければ紹介しておくれ」
銀髪、碧眼のイケメンが私をみて微笑んだ。
「ああ、こちらはフォンテーヌ侯爵家令嬢、エミリーだ。エミリー、こちらはランドルセン公爵家のユリウス様だ」
「はじめまして、エミリー嬢。君の話はよくラルクから聞いていたんだよ」
「ごきげん麗しゅうございます、ユリウス様」
私はユリウスに対し、カーテシーを行った。この方はユリウス=リーテ=ランドルセンというランドルセン公爵家のご子息様だ。ランドルセン公爵家は、代々王の側近をしており、貴族の中で最も発言権のある家である。私より一つ年上のユリウスは、幼い頃から王の側近となるため育てられてきた超エリートだ。そんな彼だがもちろん、攻略対象なのである。
「エミリー、良ければ彼らも紹介してはくれないだろうか?」
「は、失礼致しましたわ。彼はわたくしの従者のアルフレッドにございます。そして彼女は、アンダルシア侯爵家令嬢、アリス様にございますわ」
「ご、ごきげん麗しゅう…です」
「おお、お前がアリスなのか」
『アリス』と呼んだラルクを私は睨みつける。いくらラルクといえど爵位の上であるアリスを呼び捨てにしてはならないだろう。アルも同じだったみたいで、冷たい目がラルクを捉えている。
「ごめんなさいね、アリスさん。彼はジートフォルテ伯爵家、ラルク様。わたくしの婚約者ですわ。ラルク、いくらわたくしの前だといえど身分をわきまえてお話なさい」
ユリウス様にも、と言おうとしたところでユリウスが私の言葉を遮る。
「エミリー、ラルクがこうなのは僕も仕方の無いことだと思っているから、大丈夫だよ」
「ユリウス様、なんて心の広いお方。そのお言葉に感謝申し上げますわ」
さすがユリウス、実は彼、私の最推しなのである。なんで伯爵家のラルクと仲がいいのかは全く分からないが、ラルクと仲良くできる相手に悪い人はいないと私は思っている。
「おっと、ラルク、そろそろ僕たちは行かなければ」
「おお、またな、エミリー」
嵐のように去っていった二人の後ろ姿を見つめ、私はため息をついた。
「ラルク様もユリウス様もすごくお綺麗な方ですね」
アリスがぽ~っと顔を赤く染める。その表情に私は固まった。なにしてるんだ、私は。ラルクエンドだけは阻止しなければならなかったのに!ラルクに会わせるのはもっと後にするつもりだった。なのにあのタイミングでラルクが出てくるなんて…。計算外だった。
「そうね、二人とも綺麗よね」
適当に返事を返し、私は少しだけ物思いにふける。
攻略対象は、ラルク、ユリウスを入れて全部で6人。あと4人の攻略対象者とアリスを会わせなければならない。ラルクさえ会わせなければ、他の人はどうでもいいか、なんて思っていたのだが、ラルクに会わせてしまった以上そういう訳にもいかない。
でもラルクもユリウスも、本来出会うシーンではないのよね。やはりゲームとは違うのか、私がアルを連れている以上ゲームと似ているといえど誤差が生じてくるのかもしれない。
これからは用心してないと、いつラルクエンドに傾くかも分からないわね。
とにもかくにも、これ以上廊下で出くわす訳にはいかないのでアルと分かれ、アリスと共に教室へ向かう。途中、マリーと出会いマリーと三人で教室を目指した。
マリーは公爵家の人間のため、マリーといると表立って誰も私たちに声をかけるものはいないが、やはり生徒たちがアリスの噂をしているのを耳にした。
「なによ、あの子庶民のくせに…」
「エミリー様だけでなく、マリー様まで…」
「あれが噂のアリス嬢か、なんて可憐なんだ」
「三人並ぶと本当に美しさが際立つな。誰も近寄れないぞ」
と、前半は主に女生徒の言葉で、後半は男子生徒の言葉だ。これは、女だけでなく男からもアリスを守らねばならないのではないかと私は頭を抱えた。
町で出会った頃よりも背の高くなったアリスは(恐らく160はあるのではないだろうか、なんにしろでかい)、水色の長い髪をゆるく巻き、ハーフアップにしている。清楚さがその身から溢れ、またキラキラてした金色の瞳は清楚さに拍車をかけていた。さすが主人公だ、でもこんなに綺麗にならなくていいのに。男子生徒のアリスを見る目が、草食動物を狙う肉食動物のそれであった。
ああ、早くお家に帰りたい…。
私はそう思いながらただ窓の外をみていた。
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